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労働組合員の殺害が増加

ITUC年次労働組合権調査によると、2009年に殺害された労働組合員数は前年比30%増の101人だった。

全世界国際労働組合総連合の年次労働組合権調査によると、2009年には労働組合員殺害件数が激増し、前年比30%増の101件となった。6月9日に発表されたこの調査によって、世界経済危機が雇用に及ぼす影響の悪化に伴い、世界中で労働者の基本的権利に対する圧力が強まっていることも明らかになった。

殺害された101人の内訳は、コロンビア48人、グアテマラ16人、ホンジュラス12人、メキシコ6人、バングラデシュ6人、ブラジル4人、ドミニカ共和国3人、フィリピン3人、インド1人、イラク1人、ナイジェリア1人だった。コロンビアで殺された労働組合員のうち、22人が組合幹部、5人が女性で、過去数年同様に激しい攻撃が続いている。グアテマラとホンジュラスにおける暴力事件の増加も、ここ数年の傾向に従っていた。

今年の報告もまた、労働者の利益を守るために闘う労働組合員に対する侵害を幅広く記録しており、今回取り上げられた国は140カ国に上った。労働者は意見を主張するための手段を奪われていたり、雇用や身体上の安全に影響が及ぶことを恐れて発言しなかったりするため、そのほかにも未報告の侵害が数多くある。この調査は衝撃的な殺害事件とともに、嫌がらせ、脅迫、その他の形態の反組合的な迫害も詳しく報告している。

使用者は相変わらず、幅広く組合つぶしを画策したり圧力を加えたりしている。いくつかの国々では、企業が「労働組合を結成したり組合に加入したりすれば生産拠点を閉鎖あるいは移転する」と言って労働者を脅している。多くの場合、使用者は合法的な労働者代表との交渉にまったく応じようとせず、当局は何も措置を講じていない。「柔軟性」の向上や社会福祉制度の解体を狙って労働法が修正され、その結果、しばしば既存の労使関係制度に影響が及び、労働組合権が削減された。

国際的に認知された労働基準の弱体化に伴い、ますます多くの労働者が不安定かつ脆弱な雇用に追い込まれており、今や世界の労働者の約半分が不安定雇用に就いている。最も被害の大きかった部門の多くは女性労働者の割合が高い。さらに、地域や産業を超えて不安定な雇用形態が増加した。これらの労働者は組織化や労働組合権の行使にあたって困難に直面しているが、これは労働市場で非常に弱い立場に置かれていることと直接関係がある。

このITUC報告書によると、2009年は団結権および団体交渉権に関するILO条約第98号の60周年に当たるが、カナダ、中国、インド、イラン、韓国、メキシコ、タイ、アメリカ、ベトナムといった国々は、この条約をまだ批准していない。したがって、世界の経済活動人口の約半分が同条約の適用を受けていない。

調査報告書全文を読むには:http://survey.ituc-csi.org

アフリカに関するプレスリリースを読むには:http://survey.ituc-csi.org/-Africa-.html

アジア太平洋に関するプレスリリースを読むには: http://survey.ituc-csi.org/-Asia-and-Pacific-.html

ヨーロッパに関するプレスリリースを読むには:http://survey.ituc-csi.org/-Europe-.html

中東に関するプレスリリースを読むには:http://survey.ituc-csi.org/-Middle-East-.html

南北アメリカに関するプレスリリースを読むには:http://survey.ituc-csi.org/-Americas-.html

[2010年6月10日――アニタ・ガードナー]