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ヴァレオが韓国での平和的な座り込み参加者への電気・水道を遮断

年商数十億ドルの多国籍自動車部品メーカーのヴァレオは、パリで開かれた年次総会において8年ぶりの高い営業利益率見通しを発表しておきながら、約100人の労働者が一方的な工場閉鎖に抗議している韓国・チョナン工場への水道・電力供給を断ち切った。

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フランス/韓国ヴァレオ・コンプレッサー・コリア(VCK)の清算人が韓国電力公社に繰り返し要求した結果、2010年6月3日午後2時に韓国・チョナン工場への主電源が止められ、約100人の韓国金属労組組合員は電気もなく、トイレや洗濯、飲用の水もない状態に置かれた。VCK労働者は2009年10月27日から同工場で平和的な座り込み抗議を実施しており、機械の手入れや工場の掃除をしながら、経営側が戻ってくるのを待っている。韓国では、「労働者にヴァレオに対する要求を撤回するよう促すために水道・電気を断つという型破りの方法は、会社側が同工場の労働者に対してさらに高圧的な行動を起こす前兆ではないか」と懸念する向きが多い。

2009年10月26日、いつものように出勤した労働者たちは、午前11時ごろにVCK代表取締役のキム・スンホから電話を受け、まさにその日に工場が閉鎖・清算されることを知らされるとともに、家に帰るよう指示された。工場閉鎖の噂はまったくなく、会社側は財政状態に関する証拠書類を組合に見せていなかったため、労働者は驚き、座り込みに入った。

労働者は7カ月以上にわたって週7日・1日24時間、工場の中で座り込みを続けており、工場閉鎖に取りかかる過程で組合を排除するというこの極端なやり方に抗議するとともに、会社側に前提条件なしで労働組合と真の対話に入るよう要求している。予告・交渉の省略は、90日前に予告して合意するよう義務づける労働協約に違反している。

この工場の平均的な労働者の勤続年数は15年で、韓国のルノー三星工場と双竜自動車工場に供給されるコンプレッサーの製造は、ほとんどすべての労働者にとって、社会に出て初めて就いた仕事だった。フランス系多国籍自動車部品メーカーのヴァレオは27カ国に工場があり、5万2,000人の労働者を雇用している。倒産する気配もなく、ルノー三星工場や双竜自動車工場への供給を停止していたとも思えない。同社は、この工場を2005年に買収したばかりで、その後、不動産を売却し、ロイヤルティーや手数料を毎月取り、再投資はしていない。

このようにヴァレオによる買収前にも長い歴史があるにもかかわらず、ヴァレオ・グループ側が工場閉鎖について事前に公表しようと努力せず、代替策を探そうとせず、労働組合と権限を持つ会社側代表との真の協議も行わなかったため、地域・全国の約120組織が「ヴァレオ・コンプレッサー・コリア工場を正常化するための市民対策委員会」を設置した。

KMWUも同社との協議を要請するために、フランスにVCK労働者代表団を派遣した。代表団は2010年5月24日からパリの同社本社前で昼夜の座り込み抗議を実施しており、フランスの組合は権限を持つヴァレオ当局者との真の対話を求める労働者の努力を支援している。ヴァレオを組織化しているフランスの5組合すべてが、全国ヴァレオ従業員代表委員会(ヴァレオCGE)で採択された韓国人労働者の闘いを支援する決議を支持している。ヨーロッパの主要自動車労組もヴァレオに、組合との真の対話に入って解決策・代替策を見つけるよう要求している(ここを参照: http://www.imfmetal.org/index.cfm?c=23252&l=2)。

2010年6月3日、ヴァレオ・グループはパリ国際会議場で年次株主総会を開催、ヴァレオ・グループCEOのジャック・アシェンブロッシュが2010年の営業成績見通しについて説明し、「ヴァレオは2010年上期の目標として、売上高47億ドル(前年同期比35%増)と売上高のおよそ6%の半期営業利益率(過去8年間で最高)を設定している」と発表した。一方、株主は臨時決議15および16を採択し、アシェンブロッシュ氏の業績に対して10万株のストックオプションと5万株の無償株を与えた。

[2010年6月4日――チョン・ヘウォン]