IMFニュース・ブリーフス

バルカン諸国の労働安全衛生改善

健康は売り物でない――健康は守るべき基本的権利である。

サラエボ2010年6月29日から7月1日までボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボで、旧ユーゴスラビアの加盟組織を対象とするIMF労働安全衛生プロジェクトの最終第3段階が実施された。2008年にセルビアのベオグラードで開始されたこのプロジェクトは、鉄鋼部門と非鉄金属部門を標的にしている。この2つの部門は地域の金属労組と特に関連性があり、業務災害や職業病が多発している。その大きな原因は、適切な訓練が行われず、安全衛生上の危険に対する認識が不足していることだ。このプロジェクトは、労働組合開発協力機関(ISCOD)を通してスペイン開発協力局(AECID)の支援を受けており、スペインのIMF加盟組織MCA-UGTと緊密に協力して実施されている。

このプロジェクトは、3回のセミナーのテーマとなった3大活動分野を中心に構成された。すなわち、(a)法的枠組みと労働安全衛生基準、(b)リスク分析・防止技術、(c)3回目のセミナーの主なテーマとなった社会的対話と団体交渉である。

スペイン政府とクロアチア政府、それにスペインの鉄鋼団体UNESIDの代表が、社会的対話と団体交渉の発展に関する円卓会議に参加し、労働安全衛生の分野で集団的な要求を推し進めるための基礎を作った。リスク防止手段として、活動的・効果的な安全衛生委員会と労働者の健康の継続的監視の重要性が、特に強調された。参加者は、カリキュラムの一環として行われたグループワーク活動で交流することができた。

セミナーの1つのセッションでは、地域全体で予防政策の弱点として特に確認されている労働監督を取り上げた。スペイン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ILOブダペスト事務所および欧州労働組合研究所の専門家が啓発的なプレゼンテーションを行い、地域において労働監督の効果・影響を強化し、より予防重視の組織を目指す必要があることについて、全国・欧州・国際レベルの考え方を示した。

IMFはアクション・プログラム2009-2013実施の一環として、労働組合の強化を視野に入れて、地域での労働安全衛生活動の発展を引き続き促進する。それによって労働組合が、安全衛生訓練を実施するとともに、より安全でより良い職場に基づく組織化戦略を策定するために、全国・企業レベルで取り組めるよう支援していく。プロジェクトの過程で現地語の資料を作成し、この地域で労働組合の目標を促進するための情報・教育手段として利用する予定である。
健康は売り物ではない。健康は守るべき基本的権利である。これは地域における労働組合行動・キャンペーンの主なスローガンとなっており、さらに推し進める必要がある。

関連資料入手:
http://www.imfmetal.org/index.cfm?l=2&c=23476&nb=2


[2010年7月6日――アンヌ=マリー・ミューロー]