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韓国最高裁で不安定労働者に有利な判決

非正規労働者の不当解雇に関する最高裁判決を受けて、KMWUは、現代をはじめとする自動車会社や製造会社で違法派遣労働者に関する特別団体交渉を要求している。

韓国不安定労働者と韓国金属労組(KMWU)にとって、大きな勝利となる出来事があった。7月22日、最高裁判所が現代自動車労働者のチェ氏に有利な判決を下したのである。チェ氏は2002年から現代蔚山工場で社内下請業者の社員として働いていたが、組合関連活動を理由に2005年2月に解雇された。

最高裁は、「チェ氏は下請労働者ではなく違法派遣労働者であり、現代は工場での同氏の勤続年数が2年を超えた時点で、同氏を直接雇用労働者とみなさなければならない」との裁定を下した。

チェ氏は2005年に解雇されたとき、労働委員会(LRC)に救済を申し立てるとともに、行政訴訟を起こした。同氏は、「これは不当解雇であり、下請会社ではなく現代自動車が実際の使用者だ」と主張した。しかしLRCと下級裁判所は、社内下請契約は事実上派遣労働だという同氏の主張を退けた。加えて下級裁判所は、「派遣労働は2005年に製造業で禁止されたため、チェ氏に派遣労働者法を適用することはできない」と裁定した。

しかし最高裁判所は、「同氏は現代自動車の下請会社の1つに雇用されたのち、現代自体による人的資源管理の対象になっているという点で、下請労働者ではなく、現代自動車に違法に派遣された労働者である」との判断を示した。さらに最高裁は再び、「派遣労働者法の目的にかなうように、みなし『直接雇用』の条項を違法派遣労働に適用すべきである」と裁定した。そこで最高裁は下級裁判所に事件を差し戻し、最高裁の判断に基づいてチェ氏が起こした訴訟の再審理を命じた。

違法派遣労働者の地位に関するこの決定は、製造業部門の企業が偽の使用者を仕立て上げるために日常的に社内下請業者を利用している韓国で、大きな影響を及ぼす。これらの違法派遣事件では、いわゆる「下請」労働者または非正規労働者が主たる使用者の施設内で、主たる使用者の常用・正規従業員と並んで、主たる使用者に属する消耗品や工具、機械を使って働き、主たる使用者の指示を受けてその支配下で、主たる使用者が販売する製品を生産しているが、賃金は直接従業員より50〜60%少ない。

7月26日の記者会見で、KMWUは最高裁の決定を歓迎し、「この裁定は使用者による非正規労働者に対する差別・強要にブレーキをかけた」と発表した。

KMWUは、「現代自動車をはじめ、現在違法派遣労働者を雇用しているすべての使用者に対し、特別団体交渉の実施を要求するとともに、不当解雇された他の労働者の権利を擁護して一連の集団訴訟を起こす」とも述べた。

現代その他の企業における偽装された雇用関係の利用は、2006年にKMWU、韓国民主労総およびIMFが国際労働機関結社の自由委員会に申し立てた苦情の主題でもある。

この苦情は、韓国政府が非正規労働者の結社の自由、団体交渉権、集団行動権の保護を怠り、逆にその侵害を助長してILO条約第87号および第98号に違反していることに対するものである。この提訴(事件第2602号)は、蔚山・牙山・全州の現代自動車工場と、ハイニックス/マグナチップ、キリュン電子、KM&Iで発生した一連の権利侵害を詳述している。

ILOは2009年11月と2008年7月にこの苦情に関する報告書を発表、韓国政府に対し、本格的な労働法改革を実施し、不安定労働者の組合加入や団体交渉を妨げる障壁を撤廃するよう要求している。

IMFは引き続きKMWUを支援し、労働法改革に関する未解決の問題について韓国政府に圧力を加えるとともに、韓国の労働法を国際基準に従わせるよう努める。

[2010年7月29日――アニタ・ガードナー]