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バングラデシュの船舶解撤労働者の権利改善

IMF代表団は産業大臣および労働大臣と会談し、現在労働者が堪え難い条件のもとで働いているチッタゴンの船舶解撤場で、労働者の安全衛生・権利を改善することの必要性について議論した。

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バングラデシュ「労働者の権利を保護する『船舶解撤法、間もなく成立』」というディリップ・バルアク産業大臣の言葉が、バングラデシュの全国紙の見出しを飾った。これに先立つ7月18日、IMF代表団が同大臣と会談し、船舶解撤産業における労働条件・権利の改善について議論した。 IMF代表団は同じ日にカンダケル・モシャラフ・ホセイン労働大臣とも会談し、チッタゴンの船舶解撤場における堪え難い労働条件と船舶解撤場所有者に対する検査メカニズムの不備に関して、国際労働組合の深刻な懸念を強調した。 最近、ある船舶解撤場で6人の労働者が死亡し、うち2人は生きたまま焼死した事件に言及した。保護対策がまったく講じられず、国際的なガイドラインが守られていないために、災害発生率が容認できないほど高くなり、致命的な労働災害が発生していることから、船舶解撤場は「死の落とし穴」と呼ばれるようになっている。 IMFは閣僚との会合で、船舶解撤場所有者や下請業者に脅されたり直ちに解雇されたりすることなく団結する船舶解撤労働者の権利を守る必要がある、と強調した。バングラデシュは結社の自由と団体交渉権に関する国際労働機関条約第87号および第98号も批准しているからである。両大臣は、「状況は承知しており、労働者の権利を保護する法律の制定を目指して努力している」と述べた。 バングラデシュのIMF加盟組織とインドの船舶解撤労働者を代表するIMF加盟組織が参加するIMF代表団は、両大臣に「IMFと国際労働組合運動は政府の施策を注意深く監視していく」と断言した。IMF代表団は次のように述べた。「バングラデシュ政府は、船舶解撤が産業原動力の1つだと本気で考えているなら、労働者の権利を実施するという政治的意志を示し、船舶解撤がバングラデシュの恥ではなくバングラデシュの誇りになるようにしなければならない」 これに先立ってIMF代表団は、加盟組織とともにチッタゴンの船舶解撤場を訪問し、2日間のワークショップを開催した。このワークショップには船舶解撤場の労働者、ジャーナリスト、それにチッタゴン労働局のアルン・カンティ・ダス次長が参加し、IMFはバングラデシュの状況をより明確に把握することができた。 バングラデシュ労働安全衛生・環境財団(OSHE)も招かれ、船舶解撤労働者の権利に関する意識高揚の分野における同財団の活動について発表した。南アジア初の船舶解撤労組を組織化したインドのIMF加盟組織が、貴重な経験や専門知識をバングラデシュの加盟組織と共有した。 IMF地域事務所は今後、IMF加盟組織がバングラデシュで船舶解撤労働者を組織化する案を練り上げられるようフォローしていく。

[2010年7月21日 ――スドハシャン・ラオ]