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パキスタンで船舶解撤労働者がスト

使用者側が労働条件改善について交渉するという約束を破ったため、ガダニの船舶解撤労働者は7月に2日間のストを決行した。交渉が再開し、7月21日に法廷審問が予定されている。

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パキスタンパキスタン・バローチスターン州のレス・ベラ地区にあるガダニ解撤場で働く船舶解撤労働者は、使用者側が「現場の労働条件を改善する」という以前の約束を破り、相変わらず労働者に基本的な権利を与えなかったため、7月5〜7日にストを実施した。このストは総会で出席者全員による全会一致で決定され、7月5日から以下の要求が満たされるまでの無期限ストが招集された。
●賃金の倍増
●社会保障・老齢年金機関への登録
●各船舶解撤場に薬局・救急施設を設置
●各造船所にきれいな飲料水と食堂を設置
●すべての労働者への辞令交付
●契約労働(JAMADARY)制度の廃止
●労働者居住地の提供
●労働長官によって登録を取り消されたガダニ船舶解撤民主労組(GSBDWU)の承認
●職場で労働安全対策を実施
●労働者に対する警察の嫌がらせの中止

このストを受けて、使用者側は組合と交渉に入ることに同意した。レス・ベラの地方裁判所はスト終結命令を出し、2010年7月21日に聴聞会を設定した。労働者は直ちに職場に復帰し、現在交渉中だが、「これは労働事件であって民事事件でも刑事事件でもないため、地方裁判所には管轄権がない」と主張している。

それに先立つ2010年6月16日、ガダニ船舶解撤場で働く約1万5,000人の船舶解撤労働者が、劣悪な労働条件、低賃金、過酷な労働時間といった数々の不公正に抗議して2日間のストを決行した。

労働者たちは、労働長官によって登録を取り消されたガダニ船舶解撤民主労組に所属していた。この登録抹消をめぐって同労組は裁判所で争っている。この間に船舶解撤労働者は、ガダニ船舶解撤進歩的労組を結成した。

6月16日に最初のストが始まったとき、使用者側は地元の警察と対テロ機動部隊(ATTF)の助けを借りて、ガダニ船舶解撤進歩的労組のバシル・メームード・ダニ会長をはじめとする同労組役員を逮捕した。労働者はその日のうちに警察署へ行ってデモを実施し、逮捕された労働組合幹部らを釈放させた。そして警察の立会いのもと、労使が交渉することについて使用者側と合意に達した。

ガダニ船舶解撤場の所有者は、当初は6月16日から30日まで予定されていたストを組合側が6月17日に取りやめることと引き換えに、2010年6月30日までに労働者の要求に応じることに合意した。その後、所有者は合意の遵守を拒否し、脅迫・威嚇によって組合の士気をくじこうと陰険な策を弄したが、逆に労働者の決意を強めただけだった。

[2010年7月16日――チェリッセ・フレドリクス]