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UAW、組合設立に向けた労使協約を要求

UAW会長は、全世界で労働者の組合結成権を尊重するよう企業に要求し、米憲法修正第1条で保障された労働者の権利として、公正な組合選挙に関する協約を目指している。

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アメリカ全米自動車労組(UAW)新会長のボブ・キングは、8月2日に自動車研究センターの年次経営セミナーでスピーチを行い、労働者の権利を尊重して公正な組合選挙に関する原則を支持するよう企業に要求した。

UAWは、民主党が支配する議会で行き詰まっている従業員自由選択法(EFCA)の可決を受動的に「座視」するつもりはない、とキングは述べた。そうではなく、現在労働組合抜きで活動している自動車および関連産業の経営幹部に、労働者が妨げのない自由な組合認証選挙において基本的な権利を確保できるよう保証する「原則と公正な組合選挙」協約を提示する。

UAWは次の執行委員会後、その原則を公表する予定である。しかしキングによると、この原則は、組合を結成しようとする労働者に労使双方が平等にアクセスできるようにする規定を盛り込み、労使双方による軽蔑的・侮辱的な虚偽の声明を禁止する内容になるだろう。UAW原則は、選挙前後の労使による脅迫や強制、圧力も禁止する。

キングは米自動車産業の主要経営セミナーで、この原則を支持・遵守する企業について、「私たちは、その会社の労働者がUAW加入を票決するか否決するかに関係なく、労働者の決定を尊重する」と語った。しかしキングは、企業がこの原則に同意しなければ、「UAWは米憲法修正第1条で保障された労働者の権利の侵害を容認しない」と警告した。

6月に組合員40万人の組合の指導者に新たに選出されたキングは産業界に対し、「21世紀のUAW」は対立色を薄めるつもりであり、柔軟性、革新、品質、チームワーク、生産性、継続的なコスト削減、相互尊重の推進において、すでに3大自動車メーカーのパートナーになっている、と語った。この精神で、キングは米国内に工場を建設している多国籍企業の存在も歓迎し、これらの企業が雇用創出とアメリカの製造基盤の確立において役割を果たしていることに感謝した。

「米国企業であれ外国企業であれ、企業がアメリカの労働者の権利を尊重しないことを選択した場合、UAWは持てる限りの資源を利用し、それらの企業を説得して民主主義を遵守させる。特に気がかりで容認できないのは、ある企業が他の国々では組合設立を認めていながら、アメリカの労働者を組合結成権のない二流市民として扱うことだ」とキングは付け加えた。

キングは、1946年から1970年までUAW会長を務めたウォルター・ルーサーが国際連帯において先駆的な役割を果たしたことを回想し、次のように述べた。「かつて活力のあったアメリカの都市は、グローバル化の影響で厳しい混乱状態にある。地域社会のニーズはもっともな要求であり、それに応えなければならない」

「グローバル化のおかげで、発展途上国では何億人もの人々の生活水準が改善している。中国、メキシコ、バングラデシュで最近見られる労働行動からも明らかなように、世界中の労働者が同じものを求めている――適正な賃金、良好な労働条件、自由組合を結成する権利だ。アメリカの労働者の利益は世界の貧困者の願望と分かちがたく絡み合っている」

「ちょうど20世紀のUAWがアメリカの中産階級の確立を援助したように、21世紀のUAWはグローバルな中産階級を生み出すという目標に貢献しなければならない。これは社会的公正を求めて闘うという私たちの伝統の本質だ」とキングは述べた。

[2010年8月12日――アニタ・ガードナー]