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IMF、フィリピンにおける労働組合権侵害の根絶に向けた行動を要求

フィリピンにおける持続可能な組合機構の構築に関するIMF全国ワークショップに続いて、小規模IMF代表団が、この機会を利用してアキノ新政権に人権・労働組合権侵害の問題を提起した。

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フィリピンロブ・ジョンストンIMF産業政策担当エグゼクティブ・ディレクター、オーストラリア製造労組(AMWU)のグレン・トンプソンおよびアルナサラムIMF東南アジア地域代表で構成される代表団が9月30日、ハンス・カクダック労働雇用省(DOLE)次官と会談した。この会合でIMF代表団は新政権に対し、前政権下で労働組合権・人権侵害が増加した問題に取り組むよう強く要請した。

IMFは、法的に認められない殺害について、また6月にIMF執行委員会が指摘したように、フィリピンの労働法・慣行が一般に受け入れられた国際労働基準を下回っている事実について、懸念を表明した。

それに対してカクダック次官は、新政権が採択したいと考えている22項目の労働計画について概説し、労働者の権利の保護を改善して社会対話メカニズムを確立することにより、労働権の尊重を奨励する意向を示した。一例は、労働組合が参加する三者構成産業別・部門別協議会の設置だろう。

これを受けてIMFは、「DOLEは、このプロセスにおいて労働組合と人権委員会の両方が積極的な役割を果たせるようにする必要がある」と述べた。組合と人権委員会はともに、労働組合権侵害に対処してきた経験があり、新しい計画が確実に最重要問題に取り組むよう確保するうえで力になれるだろう。現行労働法は結社の自由の行使を妨げており、一部の外国人投資家が、組合の結成を阻止したり組合に加入している労働者を虐待したりして、この状況につけ込んでいる。この点を念頭に置いて、代表団はDOLEに対し、国内法・国際法両方を尊重する方法に関する多国籍企業の訓練を検討するよう要請した。

カクダック次官は、「政府は新しい効率性向上措置に着手する予定であり、2011年4月までに全部署で過去の未解決事件の98%を解決することを目指している」とも述べた。

IMFは、フィリピン国内の移民労働者と海外のフィリピン市民の両方が直面している不安定労働の問題を提起した。カクダック次官は、「政府は特に中東とアジアのフィリピン市民を支援するためにネットワークを開発している」と応じた。次官によると、フィリピン政府は域内の他の国々に同様のアプローチの採択を促すためにも努力する。

会合の終わりに、ロブ・ジョンストンが次のように述べた。「フィリピンで基本的な人権・労働組合権を確立するために、論議された改革が実施されるのを楽しみにしている。IMFの目的は、不安を感じることなく組合員になりたいと考える普通の人々を支援・擁護することだ」

これに先立つ9月28日、フィリピンにおける持続可能な組合機構の構築に関するIMF全国ワークショップが開かれた。IMFへの加盟を申請しているフィリピンの3組合MWAP、PMAおよびALUメタルが、オーストラリア、日本、インドネシアから参加したIMF執行委員代表とともに出席した。このワークショップで各組合は、組織化目標、団体交渉訓練、全国レベルの労働組合連帯をめぐって議論した。

[2010年10月5日――ロブ・ジョンストン]