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アフリカとヨーロッパの金属労働者、EPAとアフリカの産業雇用について議論

アフリカ/ヨーロッパ諸国のIMF加盟組織とEMFは、EU貿易政策が開発に及ぼす影響を分析し、アフリカにおける工業化の未来を評価した。

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アフリカヨーロッパおよび英語・ポルトガル語を話すアフリカ14カ国のIMF加盟組合の指導者ならびに欧州金属労連(EMF)が、9月21〜23日に南アフリカのヨハネスブルグで会合を開き、EUとアフリカ諸国との経済連携協定(EPA)が発展途上国・新興国の雇用や工業化に及ぼす影響について議論した。

アフリカは世界貿易において商品(エネルギーや鉱物)の主要な供給源として、また拡大を続ける中国の大きな市場として役割を果たしており、この会合では、そのような役割に分析を加えた。EUが進行中のEPA交渉でアフリカ諸国政府に対し、労働集約度の高い部門や社会・開発政策にとって戦略的に重要な部門で市場開放を獲得しようと圧力を加えていることについて、アフリカの参加者から懸念が表明された。予想できる結果として、アフリカ諸国の政策余地が大幅に狭まり、それによって雇用・工業開発政策が著しく損なわれるだろう。

興味深いことに、カナダのような工業国からの参加者も同様の懸念を指摘し、カナダとEUとのFTAの潜在的影響に関して労働組合の否定的な評価を示した。また、貿易自由化に関するインドの経験にも徹底的に分析を加え、EU−インドFTA案についてもアフリカ/ヨーロッパからの参加者が表明したとおりの懸念があるとの結論に至った。

EUがEPAに例えばMFN(最恵国待遇)条項を盛り込むよう主張していることについて、批判が表明された。このような条項があれば、アフリカは南南協力を深めたり、他の貿易相手国を選んだりしにくくなるだろう。さらに、アフリカ諸国と個別に交渉するというEU戦略は、特に生産チェーンの統合や工業化に大いに必要とされる地域統合に向けたアフリカの努力を台無しにする。これに関して、地域統合プロセスをめぐるラテンアメリカの労働組合の経験について、徹底的な分析が発表された。

南アフリカ政府との円卓会議では、貿易産業省の代表が、重点的な貿易自由化措置と産業政策目標との戦略的統合に焦点を合わせた新しい貿易政策枠組みを発表した。この文脈において、関税政策が産業政策の1つの手段になる。この政策枠組みは、多国間・二国間交渉における南アフリカ共和国の政策余地の保護、南南関係、ディーセント・ワーク目標を基礎としており、統合的な地域別開発モデルに着想を得ている。産業補完性の確立による地域バリューチェーンの開発は、グローバル化時代のアフリカでもなお可能である。中国との経済関係において新しいアプローチが導入されている。経済開発省の代表が、200万人の新規雇用創出に成功したことを強調した。しかしながら、これらは製造業部門ではなく、富裕層しか就業できないサービス部門の雇用である。これは所得格差の拡大に緊急に取り組む必要があることを示している。さらに、産業開発政策とともに社会的措置を採用し、産業雇用を創出しつつ失業者の所得を確保しなければならない――これには時間がかかる。すべての開発政策措置を総合的に案出する必要があり、同時に不平等にも取り組まなければならない。スローガンによって地域開発目標に取り組むことはできず、現実的な措置を採用して雇用を失うことなく移行を管理しなければならない。

EPA交渉に関与する国々の金属労働者同士が永続性のある対話を確立し、労働者に損害を与えるおそれのあるあらゆる側面に直ちに取り組むとともに、関係各国の労働者の間で発生し得る利害の対立の公正な妥協解決手段を共同で模索する必要があることについて、参加者全員(特にアフリカ/ヨーロッパ諸国からの参加者)の意見が一致した。地域・国際労働組合機関は、そのような連帯の模索を促進するよう求められた。アフリカの代議員は、ヨーロッパの組合が具体的な施策によってアフリカ諸国の自己決定権を支援するとともに、共同行動を実施することを提案した。

間もなく関連文書すべてが公表される。

[2010年9月26日――カーラ・コレッティ]