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KMWUの不安定労働者が現代と交渉開始

韓国の現代で働く下請労働者が、1カ月の座り込みストを終了して職場に復帰し、会社側と交渉を開始した。争点は、労働者に完全な組合権を与え、先の最高裁判決に従って常用労働者として承認するよう求めることである。

韓国非正規労働者たちが12月9日に1カ月の座り込み抗議を終了し、会社側との交渉に入ることを決定したあと、12月14日に韓国金属労組(KMWU)と現代自動車との最初の交渉が行われた。

現代自動車の蔚山工場で働く社内下請業者の労働者は、社内下請業者ドンサン・インダストリーズによる事業閉鎖を受けて11月15日に座り込み抗議を開始し、他の現代工場で働く不安定労働者による同情ストに支援され、7月22日の最高裁判決に従って主に以下の3点を要求した。

●現代自動車は、最高裁判決を実施し、現代工場で間接的に雇用されている下請労働者の身分を直接雇用の常用・正規労働者の身分に切り替え、未払賃金を過去にさかのぼって支払うこと。
●現代自動車は、不安定労働者の身分を正規労働者に切り替えたあと、犠牲になった労働組合員の救済方法について組合と合意するとともに、違法派遣問題を提起するなど、適切な措置を講じる(解雇、強制異動、賃金カットを撤回し、亡くなった組合員リュウ・キヒョクが安らかに眠れるようにする)こと。
●現代自動車は、蔚山・牙山・全州工場の不安定労働者と韓国民に公に謝罪し、不法な不安定雇用契約の利用中止を約束すること。

10月14日に下請業者が事業閉鎖を通知し、11月15日に閉鎖を実施したため、労働者たちは解雇された。現代自動車は、「労働者はKMWUを脱退した場合に限り、新しい下請会社に再雇用される」と主張していた。

報告によると、このストが原因で現代は生産減少により3,150億ウォン(2億7,700万ドル)の損害を被り、11月の売上高が韓国の自動車メーカーの中で最低となった。

KMWUは、このストによって設定された交渉の場で4つの要求を掲げた。

1.スト参加者に対する刑事・民事訴訟を取り下げ、負傷したスト参加者の治療費を負担すること(暴漢に攻撃されて肋骨を折られるなど、約120人が負傷した)。
2.蔚山・全州・牙山工場でストを実施した下請労働者の雇用を保障すること。
3.スト指導者の身の安全を保証すること。
4.下請契約を偽装した違法派遣労働の犠牲となった労働者の正規雇用化をめぐる交渉枠組みに合意すること。

最初の本格的な交渉で、KMWU全国指導部と現代支部指導部、非正規労働者支部指導部は、現代自動車CEOおよびすべての現代下請業者の代表とともに、週に1回交渉を行うという日程表について合意し、2010年12月20日に次のセッションが開かれることになった。

韓国政府は、このストに関連して蔚山工場のスト指導者16人と全州工場のスト指導者5人の逮捕状を発行した。交渉のテーブルに着くための1つの前提条件は、会社の敷地内で指名手配中の組合幹部の身の安全を保証することに現代自動車が同意することだったため、スト指導者は同社敷地内でKMWU支部組合事務所の近くに抗議テントを張っている。

逮捕状が出されたのは、現代自動車がスト中の労働者を告発したためである。報告によると、同社は牙山工場のスト指導者を相手取って、月曜日に新たな訴訟を起こした。

2010年7月の最高裁判決を受けて事件がソウル高裁に差し戻されたあと、同高裁は12月16日、現代は工場での勤続年数が2年を超えた時点で、違法派遣労働者を直接雇用労働者とみなさなければならないかどうかについて、最初の審理を行った。KMWUの予想によると、高等裁判所は1月中に最終的な判決を下すだろう。

こうした中で、ろうそくデモをはじめ、同社に対するさまざまな抗議行動が続けられ、臨時労働者は現代自動車で労働組合権を有する常用労働者としての承認を求めて闘い続けている。

IMFは事態を密接に監視しており、UAWが12月6日にデトロイトの現代・起亜アメリカ技術センター前で実施した抗議など、加盟組合の連帯支援行動を後押ししている。

[2010年12月16日――アニタ・ガードナー]