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コロンビアで人権が犠牲に――聴聞会で実態を報告

12月7日にブリュッセルで開催された聴聞会で、コロンビアのサントス大統領が人権尊重を約束しておきながら殺戮をやめず、同国で暴力行為が続いている現状が取り上げられ、EUにコロンビアとの自由貿易協定を締結しないよう求める労働組合員の主張を後押しした。

コロンビア/ヨーロッパ「変わったのは言葉と声の調子だけで、政治・経済政策、『民主主義の安全保障』の考え方、労働組合員・反対派・国民の暗殺は、8年に及んだウリベ前政権の延長と言うほかなく、この状況があと少なくとも4年は続くであろうことを意味している」とタルシシオ・モラCUT会長は、ジャスティス・フォー・コロンビアが12月7日にブリュッセルで開いたコロンビアに関する聴聞会で警告した。

「コロンビアの現政権は明らかに実業家や主要TNCの利益を代表しており、いわゆる『民主主義の安全保障』を課すことによってコロンビア国民の大半を締め出し、生存や土地、仕事に対する最も基本的な権利を侵害している」と、先住民を代表する国会議員エルナンド・エルナンデスが続けた。

ファン・マヌエル・サントス新大統領が人権尊重を約束したにもかかわらず、コロンビアからのハイレベル代表団メンバーの報告によると、今年サントスが就任してから暗殺が続き、子どものレイプや拷問、労働組合員40人の暗殺、組合員24人に対する殺害の脅迫、ポロ・デモクラティコ(野党)活動家12人の殺害など、何件かの大量殺人が発生しており、これらの事件のほとんどにコロンビア軍や民兵組織、国家保安軍が関与しているという報告が次々に入っている。これらの犯罪は処罰されておらず、反対派に対する暴力は弱まる気配がない。

「国家テロ」として広く知られるようになっているこの状況において、驚くべきことに450万人の難民が発生し、1,000万ヘクタールの土地が民兵組織のボスに引き渡され、2,000万人が貧困線以下で生活し、800万人が失業している。だが、これらの事実にもかかわらずEUは、2011年にコロンビア政府との自由貿易協定締結をにらんで、明らかに人権より経済的利益を優先している。詳しくは、ジャスティス・フォー・コロンビアの報告書『人権が犠牲に』を参照。

聴聞会に続いてIMFは、12月7日にヨーロッパの労働組合、グローバル・ユニオン・フェデレーションおよびワーカーズ・ユナイティングの代表との会合に参加し、コロンビアの人権が悲惨な状況にあり、これが例えばラテンアメリカで議論されている他のFTAの悪しき先例になってしまうことについて、欧州議会議員に絶えず情報を提供して関与させる方法をめぐり議論した。IMFは、ヨーロッパの加盟組織の間で努力を調整し、特に組合・政治指導部の意識を高め、コロンビアの労働者と社会に何の利益も保証しないこの協定の締結を拒否させることの重要性を強調した。

[2010年12月8日――スザナ・ミラー]