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国際金融機関が雇用について議論

世界銀行・国際通貨基金首脳はワシントンDCで開かれた一連の会合で、組合指導者に「雇用は回復の中核を成す」と語った。

全世界ドミニク・ストラスカーン国際通貨基金専務理事とロバート・ゼーリック世界銀行総裁は、2011年1月18〜20日にワシントンDCで開かれたハイレベル労働組合代表団との会合で、雇用、社会的保護、労働組合との協力、経済成長の分配の拡大が重要であることに合意した。

「所得主導の成長は、回復を確保するとともに、チュニジアのような国々に見られる社会的隔離や窮状をなくすうえで重要だ」とシャラン・バロウ国際労働組合総連合(ITUC)書記長は述べた。「このたびの危機によって引き起こされた失業に労働者が今なお苦しんでいる時期にあって、金融エリートが支配権を取り戻し、差し迫った新たな危機の種をまくのを阻止しなければならない」

これを受けて、ストラスカーン国際通貨基金専務理事は、雇用危機、特にあらゆる社会的影響を及ぼしている長期失業の悲劇への取り組みが不可欠であることに同意し、「雇用は2011年に国際通貨基金の措置の中心的優先課題になる」と述べた。同専務理事は、普遍的な社会的保護フロアを確立するためにILOと協力するコミットメントを繰り返し述べた。

ロバート・ゼーリック世界銀行総裁は、国内レベルで、部門レベルで、また世界レベルでの協力協定改善によって、労働組合と効果的に協議することを約束した。同総裁は、世銀の措置によって食品価格危機に取り組む必要があることを大いに強調した。さらにゼーリックは世銀として、すべてのILO中核的労働基準を支持し、世銀が進めている労働市場関連活動に母性保護などの労働者保護措置を組み込むことも約束した。

ユルキ・ライナIMF書記長が世界銀行に対し、規制分野に関して183カ国を採点して順位をつけている年次報告書『ビジネス環境の現状』で、労働者雇用指標を廃止するよう強く要請した。労働者の保護が最も不十分な国々が、最も高い得点を獲得している。この報告書は世界各地で、労働法を弱体化させて社会的保護を削減するために利用されている。

改訂手続きが進められており、この指標は今年の報告書では一時中断されている。組合側は、特に各国がどのように中核的労働基準に従っているかといった事項を取り上げる労働者保護指標を促進している。

「『ビジネス環境の現状』は、不安定労働、長時間労働、十分な生活を送れない低い最低賃金、失業者の不十分な保護を促進してはならない。そうではなく、ディーセント・ワーク、質の高い雇用の創出、十分な社会的保護を促進すべきだ。それが世界銀行のスローガン『貧困のない世界を目指して』に沿った行動だろう」とライナは述べた。

フランスが議長国を務める2011年G8・G20への労働組合優先課題に関する声明を読むには、下記サイトを参照: http://www.ituc-csi.org/IMG/pdf/0811t_gf_G20_es-2.pdf



[2011年1月21日――アニタ・ガードナー]