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船舶解撤労働者、より強力な組合の構築を要求

IMF加盟組織は船舶解撤労働者を対象とする2日間の国際会議で、より強力な船舶解撤労組の構築、グローバルな組織化戦略の策定、造船労働者と船舶解撤労働者との戦略的連携の確立、労働者の権利を保護して生活状態を改善するための国際ネットワーク構築を要求した。

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インドスダルシャン・ラオIMF南アジア地域代表は、4月19〜20日にムンバイで開かれたIMF国際船舶解撤会議への参加者を歓迎し、「特に南アジアで船舶解撤産業が拡大して関連労働者数も増加している中で、船舶解撤労働者を組織化するためのグローバル戦略を策定する必要がある」と主張した。同代表はさらに、「環境的に持続可能で安全な船舶再利用の規制、安全衛生指針の提示、労働法の実施のために、南アジア諸国で司法介入が必要だ」と述べた。

松崎寛IMF造船・船舶解撤・事務技術職労働者担当部長が船舶解撤産業のグローバルな概観を提供し、「造船労働者と船舶解撤労働者との戦略的連携を確立することが重要だ。両活動は相互に関連しており、造船段階で創造的な設計変更を加えれば、船舶解撤の危険性が大幅に抑えられるからだ」と語った。

IMF加盟組織インド鉄鋼・金属・機械労連(SMEFI)会長のシャンティ・パテル博士が挨拶に立ち、「船舶解撤は五指に入る危険な産業であり、労働条件は劣悪だ」としたうえで、「組合は船舶解撤労働者の組織化にあたって、賃金や仕事の問題にとどまらず、労働者の家族の福祉や子どもの教育にも目を向けるべきだ」と強調した。バングラデシュ金属労働者連盟(BMF)のムジブール・ラーマン・ブイアン、バングラデシュ金属労働者同盟(BML)のナジム・ウッディン、バングラデシュ労働安全衛生環境財団(OSHE)のオマール・ファルークが、船舶解撤労働者を組織化して既存のネットワークと緊密に協力するために一層の努力を払うとの決意を表明した。

V・V・ラネーとマニシャ・ペンダルカールが、ムンバイとアランの船舶解撤場でアラン・ソシヤ船舶再利用一般労組(ASSRGWA)とムンバイ港湾トラスト・ドック一般従業員組合(MPTDGEU)が採用した組織化戦略の経験について話した。

アランとムンバイの船舶解撤場から、政府当局者と使用者の代表が労働条件改善に向けた政府の施策について報告した。船舶解撤場の労働者が日常的に直面している現実の労働条件や、労働者の訓練と組織的安全衛生が甚だしく軽視されている状況をめぐって、政府当局者および使用者と活発な意見交換や討議が行われた。組合側が省庁間委員会と国際海事機関(IMO)への組合代表の参加を要請したところ、当局者は積極的に検討すると約束した。

インドの国際労働機関(ILO)で労働者活動担当上級専門家を務めるアリエル・B・カストロが、ILOのディーセント・ワーク・イニシアティブと持続可能な船舶再利用に向けた取り組みについて概説した。労働組合員はILOに対し、船舶解撤産業の効果的な三者構成機構と国内・地域レベルでの社会的対話を生み出すために努力を強化するよう要求した。スザナ・ミラーIMFプロジェクト・オフィサーが船舶解撤労働者の組織化におけるIMFの役割を説明し、「全世界で不安定労働者を組織化することがIMFの中核原則だ」と述べた。

会議ではMPTDGUとパキスタン金属労連(PMF)が製作した2本のドキュメンタリーが上映され、事故の犠牲者の経験、嘆かわしい労働条件、労働組合イニシアティブのメリットが紹介された。国際代表団はムンバイ船舶解撤場も訪問し、労働者と交流した。代議員は連帯を表明し、労働者に組合を信じて強化するよう求めた。

関連リンク:
D J Mehta Presentation (pdf)
SS Gadkar Presentation (pdf)
Omar Faruque Presentation (pdf)
会議報告:
Kan MATSUZAKI
Ariel CASTRO


[2011年4月21日――G・マニカンダン]