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金属労働者がFTAに求めるのは質の良い雇用と開発

IMF貿易・雇用・開発作業部会は、持続可能な開発と労働権の尊重に基づく質の良い雇用の創出とを貿易自由化の中心に据えていない自由貿易協定交渉の急増について、懸念を表明した。

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全世界IMF貿易・雇用・開発作業部会は、すべての地域からメンバーを集めて2011年5月10〜11日にジュネーブで年次会合を開き、多国間システムが公正かつ効果的で民主的に合意された国際貿易ルールをどうしても設定できそうにない実態を分析した。ドーハ・ラウンドが行き詰まっている中で、貿易交渉において二国間・地域協定がますます大きな比重を占めるようになっている。したがって関係諸国の労働組合間で、それぞれの優先課題について透明な議論を行う必要がある。

金属労働者の地域調整が改善しており、各国のIMF加盟組織間の交流や南北対話も深まっている。大規模で効果的な企業ロビー戦略に対抗して、もっと声高に労働者の利益を主張する必要がある。作業部会は、特に自由貿易協定(FTA)が及ぼすと予想される経済的影響の評価に関して、IMF加盟組織間の協力をさらに深めるよう勧告した。

特にヨーロッパとインドからの参加者が、進行中のFTA交渉に関して透明性と労働組合の情報・関与が不足していることに懸念を表明した。過去1年間にIMFと欧州金属労連(EMF)との協力が改善したことが肯定的に評価された。

作業部会の議題の焦点となったのは、環太平洋パートナーシップ協定のような地域全体を巻き込んだ交渉、震災後の厳しい状況における日本の貿易戦略、EUによる韓国とのFTAおよびインド、アフリカ諸国、メルコスールとの交渉だった。メルコスール地域における中国の経済勢力拡大が及ぼす影響も、徹底的に分析した。インドの貿易政策における展開をめぐって討議し、特に同国の労働市場への影響と、貿易自由化の結果いわゆるインフォーマル雇用の割合が増大している状況に伴うリスクを取り上げた。

作業部会の今後の活動計画について議論した。参加者による提出資料や背景文書についての問い合わせは下記まで:ccoletti@imfmetal.org

[2011年5月12日――カーラ・コレッティ]