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メキシコで労働組合権をめぐる状況が悪化

メキシコにおける労働組合の自由に関する裁判所が新しい決議を発表し、結社の自由をめぐる状況と国家的暴力が悪化していることを指摘した。

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メキシコメキシコにおける労働組合の自由に関する国際裁判所が、4月28〜30日に再び審議を行った。今回の審議で、メキシコ政府が労働者・労働組合に暴行を加えているという構造的な問題が改めて明らかにされた。

同裁判所は1年ぶりの審議で、「組織ぐるみの労働基本権侵害をめぐる状況がさらに深刻化している」と警告を込めて述べた。

ヘクター・デラ・クエバ裁判所調整官は次のように説明した。「当裁判所は決議を発表した。これは2本目の決議であり、労働者の団結権が甚だしく侵害され、メキシコ全国においてのみならず、特に組織労働者に対して暴力的な環境が広がっている現状を報告している。メキシコの労働者組織に対する暴力は、メキシコ政府自体によってさまざまな方法で助長されており、当裁判所はこのような事態の打開を要求する」

調整官はこう付け加えた。「我が国は平和を必要としており、侵害行為を阻止する権限は国家にある。この決議は、国内で侵害されているすべての国際人権協定、特にILO条約を対象としている。さまざまな事件が提起され、メキシコ鉱山労組をはじめ影響を受けた組織の証言がある。当裁判所は、鉱山労組の事件においてのみならず、不幸にも労働権侵害の犠牲になっているSMEなど多くの運動の事件においても、ILOが結社の自由にとって重要と判断したすべての権利が侵害されていることに留意する」

同裁判所は、国内外の機関に向けて一連の決議と結論を発表し、すべての国際レベルの労働組合連合団体を含む国際労働組合運動に対し、これらの決議を採択して、さまざまなフォーラムで実施できる一連の施策を支援するよう要求した。調整官は次のように述べた。「ILOのような国際組織に提出された労働組合の決議を支援することが重要だ。そこで、当国際裁判所の組織委員会メンバーであるIMFなどの国際連合団体に対し、当裁判所の告発と決議を支持して、この文書、この決議を利用するよう求める。なぜなら、この決議は各種の国際フォーラムで取り上げるにふさわしいものであり、特にメキシコの鉱山労働者の事件で行動基準として利用できるからだ」

メキシコにおける労働組合の自由に関する裁判所は市民社会による裁判所で、メキシコも含めた各国の労働組合や市民社会組織によって開催・後援されている。裁判官はさまざまな分野の弁護士や労働権・人権専門家で、メキシコにおける結社の自由をめぐる状況を検討するために集められたメンバーだ、とヘクター・デラ・クエバは説明した。

この裁判所は良心に基づく機関であるため、その決議には拘束力がない、とヘクターは付け加えた。しかし、1年の決議には道徳的な重みがあるため、ILOなど他の国際機関に提示することができる。

同裁判所が他のラテンアメリカ諸国でも活動する可能性に関して、ヘクターは「労働基本権、特に結社の自由が甚だしく侵害されている他の国々でも裁判を開いてほしいとの要請がある」と述べた。ヘクターの説明によると、このような状況において「どの国際組織がラテンアメリカその他の地域で当裁判所の活動資金を供給してくれるか調べるために議論が始まっている。一部の労働組合が、結社の自由に関する裁判所はアメリカの状況を取り上げるべきだと言っている。そこで現在、当裁判所の対象範囲や組織委員会の構成を定義するために議論している。つまり、当裁判所が他の国々の状況にも取り組むとしたら、どの組織が活動資金を供給してくれるかという問題だ。例えばコロンビアで裁判を開いてほしいとの要請がある。その場合、多様かつ多元的な幅広い国家委員会と国際委員会を設置し、当裁判所の活動を継続できるようにする必要があるだろう。現在、それを実現するために取り組んでいるところだ」。

関連リンク:
Report on Tribunal
Declaration - International Tribunal on Trade Union Freedom - Mexico May 2011 (pdf)
Summary report on Tribunal (pdf)


[2011年5月10日――バレスカ・ソリス]