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スリランカ政府、抗議受けて年金法案を撤回

スリランカ政府は大規模な抗議行動を受けて、6月3日に新しい従業員年金給付基金法案を撤回した。5月31日のストで労働者1人が死亡し、数百人が負傷した。IMFは労働者に対する攻撃を非難し、ITUCの連帯要請を支持した。

スリランカスリランカの労働組合は、4月8日に政府が提出した個人年金基金法案に反対している。この法案の狙いは、スリランカが国際通貨基金から26億米ドルの融資を受けるための条件の1つを満たすことだった。労働組合同盟の旗の下に26の労働組合が結集し、新しい年金制度に反対している。

5月24日、労働組合は法案に反対してデモを実施、3万人を超える労働者が参加した。警察は催涙ガスでデモ参加者を追い払い、攻撃を加えた。5月31日、600人以上の警察官と特別機動部隊員がカトゥナヤケ輸出加工区の正門の近くに集まり、労働者が加工区から出られないようにした。その後、警察は労働者を乱暴に攻撃し、1人が死亡、250人以上が負傷した。

年金法案によれば、労働者が年金受給資格を得るには最低10年にわたって拠出しなければならず、さもなければ拠出金は還付されない。労働者が転職した場合は新たに勘定が設けられ、それまでの拠出金は無効となる。現在、労働者は給料の10%を退職金に、2%を年金に拠出している。

スリランカの輸出加工区では、労働者の80%以上が若い女性であり、そのほとんどが移民である。約20歳でEPZに就職し、7〜8年程度しか働かない。ほとんどの女性が結婚の時点で社会保障貯蓄を引き出す。現在、勤続1年当たり15日分の賃金に相当する年金基金と退職金を引き出すことができる。新しい年金法案では、これができなくなる。

IMFは1人の若い労働者が死亡した事件を非難し、スリランカ政府に対し、民主主義の原則を尊重するとともに、労働者の真の苦情を解決するために労働組合と交渉するよう要求している。

ITUCはスリランカの労働者との連帯を表明するキャンペーンを開始しており、スリランカ当局への抗議文の雛型を作成、各国のスリランカ大使館とITUC(turights@ituc-csi.org)にも写しを送るよう求めている。

関連リンク:
ITUC model letter (doc)
IMF Demands an End to Repression of Legitimate Workers' Protests in Sri Lanka (pdf)


[2011年6月22日――G・マニカンダン]