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労働組合が気候・環境論議で公平性を促進

インドの労働組合は、産業開発が進む中で最貧困層の利益を保護するために地方レベルで活動しており、国家の気候変動・環境政策に関して政府と会談する準備をしている。

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インドインドの労働組合運動、特にインド全国金属労連(INMF)とインド鉄鋼・金属・機械労連(SMEFI)は、インドが直面する開発・気候変動問題への取り組みにおいて積極的に貢献している。このところオリッサ州における土地の権利をめぐる武力衝突が国際レベルで重点的に報道されているが、あまり知られていないところで、両連合団体は公平性と持続可能な開発を確保しようと地方レベルで活動している。

オリッサはインドで最も貧しい州の1つで、インドの石炭埋蔵量の5分の1、鉄鉱石の4分の1、ボーキサイトの3分の1が同州にありながら、人口の47%が最低の貧困生活を送っている。製鉄各社はオリッサ州で最大50本の土地取得契約を締結しているが、取得された土地はインドで最も貧しい部族民の居住地である場合が多い。これらの人々は教育を受けておらず、新しい工場で働く機会がほとんどないため、当然ながら必死で土地の権利を守ろうとしている。

地方レベル組合はIMF/LOとTCO/SASKが後援するインド鉄鋼業組織化プロジェクトの支援によって、難民にセーフティーネットを提供している。INMFとSMEFIは、部族民(主に貧しい農民)が教育の機会を得て、食料や避難所、医療を確保できるようにしようと協力している。INMFは各地に学校を建設し、200人以上が通っている。多くの女性や子どもが初めて学校に通うことができた。両連合団体は今回、一部の難民の雇用権についても州議会と合意した。

スドハシャン・ラオIMF地域代表は次のように説明する。「2部構成の戦略を策定しなければならない。地方レベルで開発の社会的影響に焦点を合わせると同時に、インド政府の最高レベルで気候変動問題やグリーン・エコノミーの全体的問題にも取り組まなければならない」

労働組合は全国レベルで、昨年開かれたIMF気候変動会合を足場に活動を続けている。また、全米鉄鋼労組(USW)やブルーグリーン・アライアンスとの関係も深めている。組合は今年11月、インド政府が設置したグリーン・タスクフォースと初会合を開く予定であり、鉄鋼・風力設備メーカーに焦点を絞った戦略的アプローチも引き続き要求していく。政府の2008年気候変動国家行動計画を完全に達成すれば、インドは1,050万人の新規雇用を創出できるだろう。

レオ・ジェラードUSW国際会長は次のように述べた。「インドの組合運動は世界で最も貧しい人々の一部を擁護している。インドの組合が環境・気候問題への取り組みを立案するにあたって手助けできたことをうれしく思う。USWとブルーグリーン・アライアンスはともに、北米とインドの労働者のためになるように協力関係を発展させていきたいと考えている」

[2011年6月21日――ロブ・ジョンストン]