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OECD作業部会が造船業のグリーン成長を支持

海事設備、海運事業、船舶再利用・解撤などの関連産業を含む造船業で、環境や気候変動、持続可能な開発の問題に取り組むために、最優良「グリーン成長」慣行について幅広い議論が進められている。

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フランス造船や海運、船舶再利用・解撤などの海事産業が利用する材料や製造慣行は、環境に影響を及ぼし、気候変動をもたらし、持続可能な開発にも影響を与えている。OECD造船作業部会(OECD WP6)は7月7〜8日にパリで造船業のグリーン成長に関するワークショップを開催し、最優良事例を共有するとともに、非OECDエコノミーと関連海事産業に政策対話の対象範囲を広げることを目指した。

ライフ・サイクルに基づく考え方が、このワークショップで共有された最も重要な概念の1つである。例えば、石油タンカーのライフ・サイクルでは、海運事業段階がCO2排出の98%以上を占め、建設と再利用(船舶解撤)の割合は1.5%にすぎない。したがって、排出を削減するには海運事業段階に焦点を合わせるのが賢明である。しかしながら、造船業や機械・設備メーカーは、造船プロセスにおいて再利用しやすい「グリーンな」技術を利用することによって、すべての段階でCO2排出と環境への影響の削減に貢献することができる。

労働側からは、松崎寛IMF造船・船舶解撤担当部長がTUACを代表して参加した。松崎部長は、環境保護、持続可能な雇用創出、船舶解撤労働者を取り巻く状況について問題を提起した。これらの労働者は、ライフ・サイクルや「グリーン重視の」考え方への移行において取り残されている。同部長は、すべての海事部門で全労働者のためにグリーン成長を促進するには、造船部門と船舶解撤部門が協力する必要があることも強調した。

ワークショップ参加者は、部門を越えた協力が重要であることを認識していた。今後の問題は、このような協力をどうやって促進するかだ。このワークショップの結果に基づいて、OECD WP6事務局が報告書を作成する予定である。

ワークショップの関連文書やプレゼン資料はOECD WP6ウェブサイトで入手可能。

関連リンク:
Kan Matsuzaki OECD presentation (pdf)


[2011年7月12日――松崎寛]