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アルセロール・ミッタルで作業停止カードが有効性を発揮

鉄鋼生産は最も順調なときでも危険な仕事だ。労働者は1年のうち10カ月も異常な高熱にさらされるため、問題がさらに大きくなる。とはいえ、アルセロール・ミッタル合同グローバル安全衛生委員会から派遣された専門家グループは、米国ニューオリンズのアルセロール・ミッタル・ラプラス鉄鋼工場で安全実績が着実に改善していることを確認した。

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アメリカ欧州金属労連(EMF)、全米鉄鋼労組(USW)およびIMFの専門家は2日間の工場視察で、耐え難い高温・多湿環境をじかに確認した。専門家グループは、2011年2月に溶融作業場での爆発の結果起こった死亡事故の現場を検査した。それまで12カ月間、生産時間の損失をもたらす事故は1件も発生しておらず、労働者はこの惨事に大きな衝撃を受けた。

ラプラス工場は1979年に建設され、何度か所有者が変わったあと、2008年にアルセロール・ミッタルに買収された。2つの電気アーク炉があり、従業員423人と下請労働者131人が58万トンの鉄鋼を生産している。全米鉄鋼労組は280人の労働者を対象とする労働協約を締結している。組合員数は約150人である。アメリカの零細工場のほとんどが未組織であることを考えれば、ラプラス工場も以前に視察したビントン工場も珍しい部類に入る。

第9121支部で安全コーディネーターも兼任するキンリー・ポーター支部長の説明によると、アルセロール・ミッタルに買収される前、この工場では数カ月に1回どころか、毎日のように事故が発生していた。しかし同支部長は、より多くの時給制従業員を関与させ、より多くの組合資源を確保するといった共同アプローチに、もっと深く取り組んでいきたいとも考えている。

圧延工場の視察時に1人の労働者が話してくれた不満は、危険な慣行の存在を監督者に何度も指摘したにもかかわらず改善されていないことだった。その労働者は、今度そのような作業を遂行しなければならなくなったときは、全従業員に発行されている作業停止カードを使うよう勧められ、その後、実際にカードを使って生産作業を停止した。これがきっかけで多くの改善が加えられ、それ以降、労働者が危険にさらされる回数が減った。

欧州金属労連のトニー・マーフィーは次のように述べた。「私たちの視察の結果、この労働者がカード使用権を与えられたと感じてくれたことをうれしく思う。もっと多くの労働者が彼の例に倣って正しい行動を起こしてくれるよう願っている」

この視察とその後のフィードバックの結果、数々の改善分野が確認された。例えば、企業の基準に関する労使代表の訓練、合同安全監査、個人用保護具の標準化などである。電気保安とそれに関する訓練も改善しなければならない。今後、進展をチェックするためにフォローアップ視察が実施されるかもしれない。

関連リンク:
ArcelorMittal: Together for safety


[2011年8月29日――ロブ・ジョンストン]