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『フォーチュン』誌の世界で最も称賛される金属会社には組合が存在

組合つぶしで有名な世界有数の企業が作った資料を読んだり見たりしたことのある人は、労働組合のある企業が成功することは不可能だと思い込んでしまうだろう。これらの企業は、自分たちが働く企業の主要なステークホルダーである普通の労働者が組合を構成していることを忘れて、組合を第三者として扱っている。

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全世界: 組合つぶしで知られる企業が説明できないのは、『フォーチュン』誌の最新リスト「世界で最も称賛される企業1,000社」で、金属部門のトップ10企業のうち9社に組合があるという事実だ。CNNマネーによると、最も称賛される企業リストは企業の評判に関する決定的な通知表である。調査対象は32カ国の合計698社で、この結果は労働組合化を紛れもなく支持している。掲載企業の多くは経営幹部や取締役、証券アナリストに最も称賛されているだけでなく、組合組織率も最も高い部類に入っている。この調査では投資価値から持続可能性まで9つの基準を調べた。

労働組合員は、労働者は組合員として雇用を取り巻く状況に関して真の発言権を持っており、それは望ましいことだと考えている。そして、その考え方は調査結果によって裏付けられているようだ。職場レベルの決定にあたって協力し、強力な発言権を持つことは、コミュニケーション改善に役立つ。「労働組合ができると、労使は外部からの影響を受けずに一丸となって機能することができなくなる」という主張は精査に耐えない。掲載企業の1つであるタタ・スチールは、1920年からインドのジャムシェドプールで地方組合と協力している。最近、この工場はチーム活動文化の結果、世界最優秀鉄鋼工場に贈られるワールド・スチール・ダイナミクス賞を4度にわたって受賞した。

ロブ・ジョンストンIMFエグゼクティブ・ディレクターは次のように述べた。「労働組合化についてありのままに語ることが重要であり、もっと多くの企業が労働組合化の阻止に数百万ドルを費やすのではなく、積極的に組合と協力することに同じくらい多大な努力を注げば、結果は明白だろう」

組織化活動への企業の対応は多くの場合、その会社の本当の動機と、意思決定プロセスにおける労働者の役割に関する会社の考え方を示している。企業が労働組合化を受け入れ、労働者による決定を受け入れていれば、成功の確かな基礎がある。企業は、誤った情報を流したり不安を煽ったりする戦術を弄し、威嚇に頼っていれば、チームワークや労働者の選択権の正当性を信じることはできない。パートナーの一方がすべての決定を下し、もう一方に選択権を与えなければ、チームになりようがない。

[2012年3月28日 ロブ・ジョンストン]