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ILO発表――失業と社会不安は2012年も継続

国際労働機関は3月30日に発表した世界の労働条件に関する年次報告書で、各国政府が無謀な緊縮経済政策を推し進めているため、ヨーロッパの社会不安は今年さらに悪化すると予測している。また、2012年に世界の失業者数は2億200万人を超えるとも予測している

全世界: 『仕事の世界報告書』2012年版によると、2012年に世界の失業は2011年の1億9,600万人から2億200万人に増え、2013年にはさらに500万人増加し、2016年までには最大2億1,000万人に達する可能性がある。

「全世界的危機が4年目に入った今、労働市場の不均衡がより構造的になり、したがって根絶が難しくなっている」と報告書は述べている。「長期失業者などの特定グループは労働市場から排除されるおそれがある」

「就業者の中でも雇用が不安定になっている者の割合が増えている。非自発的なパートタイム雇用や臨時雇用が、それぞれ先進経済の3分の2、そして過半数で増加した」

ILO報告書は多くの先進工業国の緊縮経済政策を非難し、必然的な結果として、労働者を解雇する使用者の自由裁量が広がり、賃金が低下し、それに伴って社会的給付も減っており、この種の政策が「雇用保障を弱めて不平等を悪化させるだけで、雇用水準を引き上げていない」ことを明らかにしている。

その結果、長期失業者が大幅に増加しており、先進国では25〜49歳の求職者の40%以上が1年以上働いていない。

ILOは、社会は「ディーセントな雇用の不足をますます危惧するようになっている」と述べ、入手可能なデータがある調査対象106カ国中57カ国において、2010年と比較した2011年の社会不安指数が上昇したことを指摘している。

「不安の危険が世界で最も高い2つの地域はサハラ以南のアフリカと中東・北部アフリカだが、先進経済と中・東欧でもその危険が大幅に高まっている」

ILO報告書は、若年者が労働市場から締め出されていることと短期雇用が増加していることに深刻な懸念を表明し、この傾向は若年層と女性に最も大きな影響を与えていると述べている。「先進経済の約80%で若年失業率が上昇した」と報告書は指摘している。

報告書を読むには下記サイトを参照:
http://www.ilo.org/global/publications/books/world-of-work/lang--en/index.htm

[2012年4月30日 ICEM]