IMFニュース・ブリーフス

ILOで労働者の権利に対する前代未聞の攻撃

国際労働機関の歴史上初めて、使用者グループは、ジュネーブの年次ILO総会で労働者の権利侵害に関する最悪の事例をめぐる6月4日の議論を阻止した。

全世界: ILO総会は1926年から、著名な独立した国際法学者17人から成るILO専門家委員会の年次報告書に記載される、最も重大な事件をめぐって議論してきた。国際使用者連盟(IOE)は今年、いかなる事件についても議論しないことに決めた。

ユルキ・ライナIMF書記長は次のように述べた。「使用者グループは、完全な政治的奇襲としか言いようがない行動を起こして基準適用委員会(CAS)の閉鎖に成功し、その結果、批准済み条約に関する重要な監視メカニズムを弱体化させ、政労使協力の未来を危機にさらしている」

CASはILO総会の常設委員会で、毎年会合を開き、ILO条約の適用に関して労使が確認した特定の事件を調べる。労働者グループは組合やナショナルセンターと協議して25件の優先的事件を確認し、このリストをめぐって使用者グループと討議していたが、その議論がまったく行われないことになった。

シャラン・バロウITUC書記長は次のように述べた。「ILOの使用者グループは、最悪の侵害を秘密にしておき、国際社会の厳しい監視を避けようとしている。国際社会が監視すれば人命を救い、労働者の権利に対する最悪の攻撃のいくつかと闘うことができるだろう。昨年、コロンビアでは29人の労働組合員が殺害されたが、使用者はILOがその問題についても、グアテマラやスワジランドで続いている労働組合員に対する恐ろしい暴力についても、議論さえしなくてよいと考えている。エジプトはディーセント・ワークに対する最も基本的な権利を求める闘いの真っただ中にあるが、使用者は、労働者から発言権を奪いたがっている軍部と原理主義勢力に味方しているようだ」

「ILOの基礎は社会的公正であり、ILOが労働者に適用する法の支配の尊重への取り組みだ。世界で最も著名な労働法学者たちがILO総会に所見を提出したが、IOEはその検討を認めようとしていない」とシャラン・バロウは述べた。

「使用者グループは、国際システムで最も効果的な人権メカニズムの1つを弱体化させようとしている。これは最も無責任な企業の一部が利益を増やし、労働者に対する暴力を許容あるいは奨励さえしている政府を支えることになるかもしれないが、世界で最も脆弱な労働者の命と生活が犠牲になるだろう」とバロウは述べた。



[2012年6月5日 アニタ・ガードナー]