第3回戦術委員会確認事項
2005年2月25日
全日本金属産業労働組合協議会
(IMF−JC)
 金属労協は、本日午前10時より第3回戦術委員会を開催し、集計対象A組合を中心とした要求提出の状況を把握し、今後の交渉に臨む基本姿勢を以下のとおり確認した。
これまで各産別は、経営者団体との間で労使会議等を開催し、要求実現にむけた主張を展開してきた。また各企業連・単組も、産別の指導のもと2月中旬以降、順次要求提出を行い、団体交渉のスタートを切っている。この中では、職場実態を踏まえた成果還元のあり方や、仕事と生活の調和がとれた働き方などについて相手側の姿勢を質すなど、交渉序盤から本質的課題の解決にむけた交渉の展開となっている。
@ 賃金については、すべての組合が賃金構造維持分確保のための対応を進めている。金属労協全体約3,600組合では、現段階で約700組合がベアや賃金格差改善、賃金体系是正などに取り組む見通しである。
A 一時金については、集計対象A組合(組合員1,000人以上・65組合)のうち20組合が業績連動方式をとっている。一方、要求提出を行う組合では、18組合が昨年を上回る要求を提出している。
B 最低賃金協定については、現在、集計対象A組合のうち52組合が18歳最低賃金協定を締結し、13組合が全従業員対象の最低賃金協定を締結している。さらに、これまで未締結であった組合においても、協定締結の拡大にむけて最低賃金に取り組んでいる。
C 労働時間については、各単組の実態を踏まえた課題解決を図るべく、労働時間管理の適正化や年次有給休暇の完全取得、超過労働削減などについて、要求提出や労使協議を行っている。
D 60歳以降の就労確保についても、各組合において、制度導入に向けた交渉や協議を行っている。
E 仕事と家庭の両立支援では、次世代育成支援対策推進法や改正育児・介護休業法への対応に取り組んでいる。
要求提出に対して経営側は、業績回復に対する組合員の貢献を認めながらも、原材料費の高騰や円高、グローバル競争の激化など、企業をとりまく環境が先行き不透明であることを強調し、慎重な姿勢を示している。
 しかし、われわれは、グローバル競争が激化する中で国際競争力を高め、企業の発展を図っていくためには、競争力の源泉である勤労者が能力を発揮し、やりがいを持って働くことのできる総合労働条件の確立が不可欠と考える。そのためには、日本経済の成長や企業業績回復の成果を労働条件全体に的確に反映させ、優位性ある金属産業の労働条件を確立していかねばならない。
 今次交渉はこうした観点から、金属産業全体の業績回復を生かしつつ、それぞれの産業・企業の状況に応じた的確な労働条件の改善を求め、強力に交渉を推進していくこととする。そして、金属産業にふさわしい労働条件の確立によって、堅調な個人消費による日本経済の好循環サイクルへとつなげていく。
金属労協は2005年闘争において、大くくり職種別賃金水準の構築など、次の共闘体制の整備に向けて、従来以上に個別賃金水準を重視した取り組みの推進を確認している。すべての組合でまず賃金構造維持分を確保した上で、賃金格差の積極的な改善を今次交渉の重要な取り組みと位置付けている。これは金属産業の生産性が高いにも関わらず、他産業に比較して賃金水準が低位にあることから、JC共闘全体の重要な課題と位置付けたものである。われわれはこうした問題意識を共闘全体の認識としつつ、産業・企業の状況を踏まえてベアや賃金格差改善、賃金体系是正などに取り組む組合を、JC共闘全体の取り組みとして共に理解し、その取り組みを全面的に支えていくこととする。
  一時金においては、年間総賃金の一部としてミニマム4カ月分の確保をしたうえで、積極的に水準引き上げを実現し、納得感ある取り組みを追求していく。
  また、各企業連・単組の実態を踏まえた働き方の確立に向けて、労働時間管理の適正化や年間総実働時間の短縮に取り組んでいく。さらに、公的年金満額支給開始年齢引き上げを踏まえた60歳以降の就労確保を推進するとともに、次世代育成支援対策推進法や改正育児・介護休業法への対応などに強力に取り組んでいく。
一方、ここ数年来の労働条件取り組みの環境は、様変わりの様相を示している。日本経団連「経労委報告」では、個別企業ごとの状況に応じた賃金の改善は容認しつつも、社会全体の成果配分システムとしての「賃金労働条件闘争」を頭から否定する考え方を前面に打ち出している。これは企業の社会的存在としての役割と責任を顧みない一方的な主張といわざるを得ない。しかし、われわれ自身も、そうした主張に対応できる早急な取り組みの態勢整備が急務と認識しなければならない。
 金属労協はこうした観点から、3年前には賃金水準の底上げ・下支えの取り組みとして「JCミニマム運動」を提起し、現在まで取り組みを展開してきた。未だ賃金実態の全体かつ明確な把握など注力すべき課題もあるが、早急に21万円以下の賃金水準で働く金属労働者の解消にむけて具体的な取り組み方を確立していかなければならない。また、そうした考え方において、「最低賃金の取り組み」は、これまで以上に安全網としての機能の重要性が増している。われわれは、こうした認識を共闘全体の考え方として再徹底するとともに、すべての単組において、最低賃金協定の締結をめざしていくこととする。そして、これを法定産業別最低賃金の取り組みと連動させ、未組織労働者を含めた産業全体の賃金の下支えを図っていく。
次回第4回戦術委員会は、3月3日(木)10時より開催し、山場にむけた対応を確認し、交渉の一層の追い上げを図っていくこととする。

以上