2012年闘争推進集会 議長挨拶要旨
賃金構造維持を取り切ることは至上命題
〜人への投資は未来への投資〜


2012闘争推進集会で挨拶する西原議長
◆日本の将来展望を切り拓く意気込みを持って労使の健全な危機感を共有することが重要
 
交渉環境は昨年を上回る厳しさである。われわれは危機を自らのものと受け止めて頑張ってきたが、経労委報告ではそのことに対する洞察力に欠けている。日本の将来展望を切り拓く意気込みを持って、労使の健全な危機感を共有することが必要である。おびえ、うろたえるのではなく、危機の本質を理解し、いかに乗り越えるか、前に進むのか、このことこそが問われる。方向性を見出したら、産業全体で合意形成をして乗り越える体制をつくる、それが健全な危機感の共有ではないか。
 
欧州危機をはじめ、世界経済全体に危機感が広がっている。長期のデフレ、歴史的な円高の継続、通商政策の遅れ、電力供給不安など、様々な困難の中での取り組みとなる。2012年度のGDPは、復興需要によってプラスとなることが見込まれるが、構造的な課題が解消される状況ではない。少子・高齢化によって経済が縮小することも否定できない。国内事業基盤を守り、経済発展をめざしていく曲がり角の中の取り組みとなる。
◆人への投資を最上位に位置づけることが重要
「人への投資」をいかに経営が考えるか。産業・企業を支える「人」に焦点を当てることでしか、今の状況を乗り越えられない。コスト管理、強化は当然だが、人への投資をどう位置づけるかが、産業・企業の行方を決める。昨年は、東日本大震災があり、まさに国難の状況となっている。速やかな復興を日本の再生にいかにつなげるかが問われる。そのためには、人の意欲、活力をいかに引き出すかに集約できる。これからの進むべき方向について、経営は誤りを犯してはならない。人への投資は、未来への投資であり、人への投資を最上位に位置づけることが重要である。過度にコストにこだわり、そのことだけで乗り切ることの限界が見えてきた。

◆賃金構造維持分を取り切ることは至上命題
 賃金構造維持分を取り切ることは至上命題である。経労委報告では、定期昇給に切り込むと言っている。定期昇給制度は、ライフサイクルを踏まえた生計費であるとともに、長期にわたる人材育成によって、能力発揮と生産性向上を促す人事処遇制度の骨格を成す制度であり、単なる勤続年数や年齢のみに基づくものではない。長期的な習熟と技術・技能の伝承によって成り立つものづくりの根幹に踏み込むことは容認できない。賃金改善に取り組む組合についてもしっかり支えていく。一律的な取り組みでないのは、主体的に議論をしてきたからであり、堂々と経営と議論してほしい。

 一時金は、生計費の中で大きな役割を担っており、その重みは軽視できない。ワーク・ライフ・バランス、60歳以降含め、すべての労働条件課題について、しっかり取り組んでいく。非正規労働者についても、コンプライアンスの徹底、処遇改善の取り組みなど、取り組みの重要性が高まっている。若年者雇用についても、企業の活力にどうつなげていくか、労使で議論することが必要だ。
◆マクロの視点でこれからの歩むべき道筋が示されていない経労委報告
 経労委報告は、マクロの視点でこれからの歩むべき道筋が示されていない。産業・企業を超えて、これからの日本のあり方を考えていかなければならない。もう一方で、職場で生じている問題の解決も重要である。マクロとミクロのバランスがJC共闘のベースにある。将来を見据えながら、しっかり足をつけて組み立てた要求であり、しっかり交渉していく。

◆国内事業基盤をいかに守るかの取り組み
国内事業基盤をいかに守るかの取り組みとなる。金属産業も痛手を受けたが、働く者の献身的努力と企業を超えたチームワークが日本の産業・企業を守るためのベースであり、そのことに対する評価を問うべきである。家族を含めた苦労に最大限報いるための結果が求められる。守るべきものを以下に守るか、変えるべきもの、変え方について論議すべき。JC共闘は、結果だけを求めるべきでない。交渉経過の中で、どのような言葉が交渉責任者から発せられたのか、交渉結果とともに経過にも責任を持つべきである。