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第157号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年5月26日)

インダストリオール航空宇宙部門、新興経済国の労働組合権を優先

2023-02-03

【JCM記事要約】

  • インダストリオール航空宇宙部門はモロッコにて会合を開き、同業界の戦略的ロードマップについて議論した。会合では、各国から問題の報告がされた他、脱炭素化やデジタル化等の将来的優先課題についても議論され、最終的にはモロッコ、チュニジア、インド、ブラジルの労働組合情勢に関する連帯決議及び問題の改善・解決を支援するという約束がなされた。
  • インダストリオール・ゲオルグ航空宇宙担当部長は、グローバルな労働組合ネットワークは知識や支援を構築する手段であり、参加者が拡大されることで様々な最優良事例が共有され、多くを学び合うことができる、とグローバルな組合活動の重要性を主張している。

 

2023年2月3日:航空宇宙部門のインダストリオール加盟組織は1月末にモロッコのカサブランカで会合を開き、この業界と今後の戦略的ロードマップについて議論した。この地域を選んだのは、メキシコ、インド、MENA地域(主にモロッコとチュニジア)のような新興航空宇宙経済の重要性を強調するためである。
                                                      

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール航空宇宙担当部長が、グローバルな組合活動の重要性を強調した。

「視野を広げ、参加を拡大する必要がある。私たちはみな同じ価値観を共有しており、世界中のサプライチェーンでそれを実現する必要がある。労働者にはグローバルな権利があり、グローバルな労働組合ネットワークは知識や支援を構築する手段だ。多くを学び合うことができる。最優良事例に焦点を当て、それを広めていく」

モロッコのニューサウス政策センターのMahmood Arbouchが、同国の航空宇宙産業の大要を説明した。この産業は現在、ワイヤリングハーネス部門を中心に女性を41%雇用している。航空宇宙産業はモロッコ、チュニジア両国で成長しているが、前途に待ち受ける課題として、世界的なCOVIDパンデミックの影響からの完全な回復、世界的な供給停止、デジタル化への対応、気候変動と業界への影響、技能の不足の縮小、旅客輸送の増加への準備が挙げられる。

Abdelaziz Arfaoul FGME-UGTT書記長が、チュニジアの航空宇宙労働者の課題を説明した。この国は失業率が高く、政情が不安定で、ウクライナの戦争と世界的パンデミックの余波の影響を受けている。組合は、低賃金だけでなく航空宇宙産業の危険な労働条件にも取り組む必要がある。危険で労働集約的な仕事が大量にMENA地域に外注されているという印象がある。

モロッコとチュニジアからの参加者は、社会的公正の必要性を主張し、どうやってそれを達成するかという問題を提起した。航空宇宙部門は急成長を遂げており、この地域では組合つぶしと並んで不安定な契約が問題になっている。多国籍企業が本国の組合とはうまく折り合っていながら、この地域では自社の行動規範を尊重していない例がある。

「モロッコとチュニジアはこの産業では新興国であり、労働者を組織化しようと本気で取り組んでおり、組合の力が増して組合つぶしに対抗している」とアーメド・カメル・インダストリオール地域事務所所長は述べた。

外部委託はブラジルのエンブラエルで大きな問題になっている。ブラジルの同僚は会合で、同社が労働協約への署名を拒否した結果、レイオフが実施され、外部委託が増えたと語った。

エンブラエルは2020年に2500人をレイオフし、同時に外部委託労働者数が19.11%増加した。高齢労働者をレイオフして、代わりに3分の1の給料で外部委託労働者を雇う入れ替えプロセスが急激に進んでおり、それらすべてが職場の安全に直接影響を与えている。

インドでは、タタ系列の航空宇宙企業数社で、労働者が劣悪な賃金・労働条件をめぐって行動を起こし、組合を結成して組織化を開始した。これを受けて使用者は労働者を解雇した。そこで組合は労働省に問題を持ち込んだが、同社は経済特区にあるため、労働省管轄下の法律が適用されない。

「最高裁判所に陳情書を提出した。お金がほしいわけではなく、復職を求めている。私たちは基本的人権を求めて闘っている。子どもたちのために、より安全でより良い未来を求めて闘う」とタタ・アドバンスト・エアロスペース・システムズ労働組合会議のR・D・チャンドラ・シェカール現会長は述べた。

程度の差こそあれ、世界中の航空宇宙労働者が同じ課題や問題に直面している。

全米機械工労組のジョン・ホールデンとリチャード・ジャクソンが、ワシントン州の現状と、地域社会で良質の組合雇用を維持・提供するための組合の取り組みについて説明した。機械工協会の創設により、労働者が職場で成長できるようにするために実地訓練を提供するチャンスが生まれた。夜間と週末の育児サービス提供も目指している。夜間・週末労働は特に女性にとって、進歩を利用することや、場合によっては今の仕事を維持することさえ妨げる障害になる場合がある。

英国ユナイト・ザ・ユニオンのイアン・ワッデルが、ヨーロッパが現在直面している三重の危機――エネルギー危機、原料危機、生活費危機――について話した。それに取り組むために組合は、気候変動、重要な原材料の不足の解消、労働者の賃上げを軽視せずにエネルギー危機に対処する緊急行動を要求している。

会合参加者は、脱炭素化、デジタル化、サプライチェーンのデュー・ディリジェンスなど、将来の優先課題についても討議した。

会合の終わりに、モロッコ、チュニジア、インド、ブラジルの労働組合情勢に関する連帯決議と、問題の改善・解決を支援するという約束が採択された。

「航空宇宙産業の未来は、航空運輸を脱炭素化できるかどうかにかかってくる。労働組合は、航空宇宙産業が社会的責任を負う正当な産業になるようにするために、この大規模な転換に最初からかかわらなければならない」とフランスの組合「労働者の力」出身のマリア・ペレス共同部会長が述べた。

声明文

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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