広報ニュース

第204号インダストリオール・ウェブサイトニュース

サーキュラーエコノミーの雇用

2025-12-04

全世界で1億2100万人から1億4200万人が、修理やリサイクル、中古品取引、廃棄物管理など、サーキュラーエコノミーに貢献する部門で雇用されている。Circle Economy、国際労働機関(ILO)および世界銀行グループが国連グリーン経済に関する行動のためのパートナーシップ(UN-PAGE)と連携して作成した新しい共同報告書によれば、これは世界雇用全体(農業を除く)のおよそ5〜5.8%に相当する。


この研究はサーキュラーエコノミーの雇用に関する初めての世界的な分析で、ほとんどのサーキュラーエコノミー活動がグローバルサウスに集中していることを示している。南北アメリカとアジア太平洋地域が循環雇用に占める割合が最も高く、それぞれ6.4%、5.8%となっている。

サーキュラーエコノミー労働者の過半数――7400万人以上――が、雇用規制も国による保護もないインフォーマル経済で雇われている。これはグローバルサウスで特に広く見られ、持続可能な開発を推進して地球に配慮している労働者の多くが、最も不利な状況に置かれている。彼らは不安定な労働条件、不安定な所得、低賃金にさらされている場合が多い。

「この報告書は労働組合のための戦略的ツールだ。サーキュラーエコノミーが雇用に及ぼす影響を予想するための動かぬ証拠を提供し、私たちが真の公正な移行を確保する産業・労働政策を要求できるようにしてくれる。今こそ生産・消費モデルを変革すべきときだが、このモデルは労働者とともに、労働者のために構築しなければならない」とCircular Employment Global Baselineの諮問委員会メンバーを務めるインダストリオールのダイアナ・ジュンケラ・キュリエル公正な移行担当部長は言う。

「サーキュラーエコノミーの雇用:循環性を活用してディーセント・ワークを創出」というタイトルの本研究の目的は、サーキュラーエコノミーへの公正かつ仕事が豊富な移行を加速させるために、政策当局や意思決定者にデータや実用的ツールを与えることである。

「私たちは本報告書により、すべての国で、経済のすべての部門で毎日、社会と地球に必要不可欠なサービスを提供している企業や労働者に新たな光を投げかけている」とILOの抽出物・エネルギー・製造ユニット責任者のキャスパー・エドモンズは言う。

「革新の先頭に立っている人たちもいる。だが多くの人々にとって、循環性は選択ではなく何とか生きていく方法だ。循環性への投資をディーセント・ワーク促進措置と組み合わせれば、サーキュラーエコノミーへの公正で仕事が豊富な移行が加速する」

いくつかの部門がサーキュラーエコノミー雇用を支配している。修繕維持が半分近く(46%)を占め、製造(24.5%)、廃棄物管理(8%)が続いている。対照的に、循環移行の促進に極めて重要な産業(建設、鉱業など)は、循環雇用に占める割合が非常に低い。報告書は、これらの部門で雇用を「グリーン化」し、サーキュラーエコノミーへの移行を加速させる重点的政策の必要性を強調している。

調査結果は政策当局に対し、サーキュラーエコノミー戦略に労働者の権利と社会的保護を統合するよう求めている。あまりにも頻繁に、環境立法は気候目標を優先させる一方で、社会的側面と移行を推進している人々を無視している。

報告書は、サーキュラーエコノミーへの公正な移行を確保するために以下のとおり勧告している。

  • 公的調達と高い可能性を持った部門(製造、建設など)への投資によって循環性を促進
  • 資金調達手段やビジネス開発サービス、能力強化プログラムによって持続可能な企業を支援
  • 青年とインフォーマル労働者、女性に焦点を絞って包括的な教育プログラムを策定
  • 労働安全衛生基準を実施し、社会的保護をインフォーマル労働者に広げて基本的労働権を支持
  • サーキュラーエコノミー活動と関連雇用傾向を監視・評価するために現地・国家・国際レベルでデータエコシステムを強化

【原文記事URL】
Employment in the circular economy | IndustriALL

 

香港条約、発効から半年後も未実施

2025-12-08

船舶解撤は世界で最も危険な仕事と言われることが多く、インダストリオールは、この産業を浄化する最も実用的な第一歩として、香港条約の批准を求めて長い間キャンペーンを展開してきた。加盟組織の支援を受け、条約を促進するために力を合わせて政府と船主、融資者、その他の業界関係者に圧力をかけ続けた。これらの努力もむなしく、しかも正式に批准されたにもかかわらず、実際に条約を完全実施している主要な船舶リサイクル国は1つもない。


インダストリオールは、より安全かつクリーンで公正な船舶リサイクルを長期にわたって支持し、香港条約を書類上の作業にとどまらないものにするために何年も運動してきた。2025年6月に香港条約が発効したとき、インダストリオールは、これが全世界の船舶解撤部門にとって「大きな試練であると同時に最も大きな機会」であることを強調した。

インドは新しい船舶リサイクル法をまだ公示していない。この法律を実施しなければ、インドは、解撤場が香港条約の要件を満たすことを認証するために、極めて重要な船舶リサイクル許可証(DASR)を発行することができない。これは条約に準拠した解撤場に船を送りたいと考える船主にとって深刻な問題である。

しかし、インドには確固たる船舶リサイクル手続きがあり、ほとんどの解撤場が香港条約の基準を満たし、解撤場所有者は正しい手続きに従っている。有力な組合があり、社会的対話が活発に行われ、事故の件数と深刻度が大幅に低下している。

バングラデシュの状況はまちまちで、政府は所轄官庁として船舶リサイクル委員会を設置し、DASRを発行している。つまり、バングラデシュに船を送る船主は、書類上は条約に準拠している。

さらにバングラデシュは最近、第155号条約など3つのILO条約を新たに批准した。同条約は労働者に危険な作業を拒否する権利を与え、職場における合同安全衛生委員会の設置を支持している。

しかし、多くの解撤場所有者は香港条約に従って船を解体していないため、今年は30件の事故が発生して4人が死亡、多数の重傷者が出ている。政府には新しい規制を実施する能力も政治的意志もないようである。

パキスタンはまだ改善の余地が大いにあり、ガダニ解撤場周辺地域には適切なインフラがない。連邦政府は今年の予算で4200万米ドルの投資額を発表したが、これはまだ改善をもたらしていない。一方、最初に改良された3つの解撤場はグリーン証書を取得している。

「肝心な点は、香港条約には敵がいること。つまり、この条約は船舶リサイクルの浄化には不十分な文書だと常に主張していた人々だ。香港条約を機能させるのは、この条約を擁護したすべての人の責任だ。労働者の生活と環境を保護できなければ香港条約は少しも役に立たず、一から出直しになる。香港条約を成功させることは万人の利益になる」とウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は言う。

【原文記事URL】
Six months after entry into force, the HKC still is not being implemented | IndustriALL

 

NUMSA、国有金融機関に鉄鋼危機への介入を要求

2025-12-11

南アフリカ全国金属労組(NUMSA)の組合員は、12月9日にヨハネスブルグの産業開発公社(IDC)本社前でピケを張り、行き詰まった鉄鋼メーカー2社、南アフリカ製鋼所(SASM)とアルセロール・ミッタル南アフリカ(AMSA)での緊急介入を要求した。


SASMで組織率が80%を超え、AMSAでも多数派の地位を得ているインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のNUMSAは、両社の最大の債権者であるこの国有開発出資機関に覚書を手渡した。同労組はIDCに12月12日までの回答を求めた。

南アフリカ製鋼所は2024年7月に企業救済手続きに入り、労働者の賃金は何カ月も不定期に支払われたり、まったく支払われなかったりしている。同労組によると、このプロセスは遅れており、透明性を欠いている。NUMSAは、労使関係法セクション197に従って労働者を保護する入札者を望んでいる。さらにNUMSAは、拘束力のある雇用創出スケジュール、現スタッフの優先的再雇用、労働組合・IDC共同監視フォーラムの設置を要求している。

「労働者が自分たちの生活や家族、地域社会に直接影響を及ぼすプロセスで脇役扱いされているときに、NUMSAは黙って傍観してはいない。SASMの労働者は長い間、十分な所得と保障を受けていない。主要利害関係者・資金提供者としてのIDCは、断固たる態度で介入し、開発マンデートに沿って行動しなければならない」とアンドリュー・チルワNUMSA会長は述べた。

労働裁判所は先ごろAMSAに対し、影響を受けた労働者3500人以上を復職させて未払賃金を支払うよう命令したが、同社はこの判決に対して上訴、その間に給料の支払いを拒否し、労働者とその家族は祝祭シーズンに無収入の状態にある。NUMSAの主張によれば、AMSAは経営がずさんであり、過去に国から数十億ランドの支援を受けていながら、労働者への支払いを拒否している

「当組合が裁判を起こしたので、労働者はAMSA経営陣から不当な扱いを受けている。経営側は労働者を利用して国により多くの金を払わせようとしているが、見返りに労働者に何も差し出していない」とNUMSAは申し立てで述べた。

AMSAに関するIDCへの同労組の要求には、解雇された労働者への即座の財政援助と同社の完全国有化が含まれている。さらに同労組は、労働者の要求を考慮する購入者を支持するとともに、資産の独立監査と、工場でのさらなる剥奪を阻止するためのNUMSA職場委員監視下での措置を求めていく。

パトリック・コレア・インダストリオール機械エンジニアリング・素材金属担当部長は次のように述べた。

「私たちは、南アフリカの鉄鋼業で労働者保護と雇用を守るためのイニシアティブを要求しているNUMSAを支持し、IDCに組合の申し立てにタイムリーに応えるよう強く促す」

南アフリカの主要な鉄鋼業は電気料金の高騰、鉄道・港湾の物流障害、安い輸入品を受けて数千人の直接雇用を失い、バリューチェーンで数十万人の雇用が危険にさらされている。

【原文記事URL】
NUMSA demands state-lender intervention in steel crisis | IndustriALL