「すべての人に価値がある。そうでなければ誰にも価値がない」――インダストリオール会長紹介
2026-03-11

2025年にシドニーの第4回インダストリオール大会で演説するクリスティアーネ・ベナー(iv)
冒頭の話は自分自身の経歴ではなかった。クリスティアーネ・ベナーは、昨年11月にシドニーの第4回インダストリオール大会で代議員に自己紹介した際、まず母親の話から始めた。ひとり親家庭だったこと。お金が月末までもたなかったこと。
「私の母はシングルマザーで、月末まで生活費がもたないことがたびたびあった」
彼女の政治活動はそこから始まった――講義室でも組合事務所でもなく、経済的不安定が日常の現実だった家庭で。彼女は機械製造会社で工業事務員としての訓練を受け、若い労働者としてIGメタルに加入、そして青年代表機関に、さらに従業員代表委員会に選出された。
「組合におけるフェミニズムとは、実践的で日常的な力関係の変化だ」
組合役員に就任する前はシカゴで過ごした。ジェンダー研究に専念し、マルコムXの友人である黒人公民権活動家とともに働き、貧困地域出身の若者向けにサマーキャンプを企画した。
「この時代は間違いなく、人種差別、特に黒人に対する構造的に根強い差別についての私の見解や感受性を方向付けた」と彼女は大会で語った。
ドイツに戻って産業社会学の研究を続け、1997年、IGメタルに組合役員として加わった。2023年、IGメタル会長に就任し、同労組の132年の歴史で初の女性指導者となる。2年後、インダストリオール加盟組織は彼女を会長に選出した。
彼女は自分の生い立ちと闘いの目的を切り離したことがない。
歴史的瞬間と次に起こること
彼女が選出されたタイミングは偶然ではない。同じシドニー大会で、インダストリオール加盟組織は画期的なフェミニスト決議を満場一致で採択し、反対票も棄権票もなかった。クリスティアーネ・ベナーにとって、この2つの出来事はつながっている。

2025年11月5日にシドニーの第4回インダストリオール大会で演説するクリスティアーネ・ベナー
「私にとって、全会一致での採択は力強い国際連帯の瞬間だった。これはフェミニズムがもはや周辺的な問題ではなく、私たちの共通の政治的枠組みであることを示している。インダストリオールにとって、この瞬間は私たちが進む方向性に関する明確な決断を表している――フェミニスト労働組合活動は、労働組合組織化や労働協約交渉、私たちのグローバルな方向性において戦略の中心にある」
この決議は、公正な移行からグローバル・サプライチェーン、団体交渉に至るまで、インダストリオール活動全体でフェミニストの原則を主流化することを求めている。それは重要な取り組みである。問題は、どのように実践されるかである。
「戦略的決定が下される場から始めたい。女性が組織的に協議に参加し、真の意思決定権を持つようになったら、変化が起きていることが分かる。フェミニストの視点が私たちの自然な活動の一部となったとき、変化が明らかになるだろう」
権限は与えられるものではない
IGメタル内部で20年以上にわたってフェミニスト機構を築いてきた経験から、彼女は何よりも学んだことが1つある。
「フェミニスト組合は自然に生まれるものではないことを学んだ。女性に実際に権限を与える構造が必要だ――透明な賃金体系、ワーク・ライフ・バランス、真の参加、女性が意見を表明できる場。そして家父長制のパターンを積極的に変える勇気が必要だ。組合におけるフェミニズムとは、実践的で日常的な力関係の変化だ」
これは特にいま重要である。世界中で、女性労働者が勝ち取った利益が攻撃を受けている。資金を得て成長している組織的な右翼運動が、生殖権、職場での保護、フェミニスト政治そのものの正当性を標的にしている。
その反発の最前線に立つ女性たちにとって、会長の主張は明確である。
「皆さんは1人ではない。この反発が私たちに向けられているのは、私たちの運動が強くなっているからだ。怖がることはない。組織化し、国際的にネットワークを築き、主張し続けよう。私たち世界の労働組合運動は、尊厳と安全と平等を求めて闘うすべての女性を支援する」
声を上げる
会長は大会で最年少の代議員たちに語りかけ、もう1つ明確に伝えた――彼女自身の道筋を作った組合の青年活動は、任意の活動ではなく、運動を広げていく方法である。

インダストリオール・グローバル青年大会(2025年11月3日、シドニー)でのクリスティアーネ・ベナー
所属組合で自分の意見を述べるようになったばかりの若い女性労働者への会長のメッセージは、彼女自身が聞きたかった言葉と同じである。
「皆さんの声には効果がある。声を上げれば、自分たちのために、そして将来世代のために構造を変えることができる」
生活費が月末までもたない家庭から、5000万人の労働者を代表するグローバル・ユニオンの会長に上り詰めた彼女は、抽象的な話をしているのではない。
彼女は何が必要かを知っている。そして、変化が可能であることも。
【原文記事URL】
“Everybody counts or nobody counts”: meet IndustriALL’s president – industriall-union
