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第37号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2015年6月4~15日)

インダストリオール・グローバルユニオンICT電機・電子世界会議

2015-06-12

 

挨拶する有野ICT・電機・電子部会長

6月11~12日にマレーシアのペタリンジャヤでインダストリオール・グローバルユニオンICT電機・電子世界会議が開かれ、16カ国・32組織から約100人の代議員が出席した。

  ICT電機・電子世界会議の参加者は、向こう4年間の行動計画で以下の活動に対する強い決意を確認した。

●グローバル資本に立ち向かうための組合の力の強化

●労働組合権を求める闘い

●不安定雇用との闘い

●産業政策と持続可能性の促進

  有野正治部会長は開会の辞で、この部門では多国籍企業の拡大が加速しており、不安定労働者を取り巻く状況が悪化していると主張した。

 「特に新興国や発展途上国で幅広い連帯行動を起こすために、組合の団結を強化しなければならない」と有野部会長は述べた。

 「あらゆる場所の労働者にとって容易ならざる時期を迎えている。したがって、労働者を組織化して教育し、権限を与えるのは私たち労働組合の任務だ」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は冒頭に歓迎の辞で述べた。

 松崎寛インダストリオールICT電機・電子担当部長が、グローバルな傾向の大要を説明した。

活動報告をする松崎ICT・電機・電子部会担当部長

「この部門への外国投資は一斉にASEANとインドに流入している。これらの国々では、結社の自由(第87号)と団体交渉権(第98号)に関するILO条約が尊重されていない」

  インダストリオール加盟組織「労働者の力」(FO)のアン=マリー・ショピネがヨーロッパの状況を概説。特に、ヨーロッパでは非常に厳しい債務削減政策が実施されているが、これは労働者、とりわけ25歳未満の若年者の状況に影響を及ぼしており、この年齢層の失業率は気がかりな水準に達していると説明した。

  2014年にグッドエレクトロニクス・ネットワークと協力して、欧州委員会の支援による5カ年プロジェクトが開始された。このプロジェクトはASEAN地域の電子労働者の組織化に焦点を合わせており、その30%が女性で、外注労働者や臨時労働者、移民、学生も含まれている。2014年には、インドネシア(FSPMIとロメニック)、マレーシア(EIWUとEIEU連合)、タイ(TEAM)、ベトナム(VUIT)、台湾(ROCMU)のインダストリオール加盟組織で、600人を超える労働組合員が組織化訓練を受けた。このプロジェクトは2015年からフィリピンでも実施される。

  タイ、マレーシア、インドネシアから参加したパネリストが、すでに具体的な成果が表れていることを説明した。タイTEAMのサンヤ・クロムタイソンによると、TEAMは移民労働者や派遣労働者が加入できるようにするために規約を変更する。

  マレーシアEIEU連合のサフル・ハミド・ビン・フセインは、経営側による強い抵抗と組合つぶし戦術にもかかわらず、EIEUは電子部門で労働者の組織化に成功したと説明した。そしてEIEUは初めて、移民労働者も対象とする団体交渉協約を取り決めた。

  「インドネシアでは、労働者の40%が社会的保護の対象に含まれていない。労働者は依然、労働組合権や労働者の権利に関する知識を得る必要がある」とロメニックのジュスマニアは語った。インドネシアの組合は不安定雇用の問題を解決しようと、不安定労働者に規則に関する情報を提供したり、権利について教育するワークショップを開催したりするために行動を取っている。

  マレーシアでは、組合が交渉力を失っていることも報告された。その会社に複数の人材派遣会社が入っている場合、不安定労働者を組織化するのが難しいからである。

 電子業界CSRアライアンス(EICC)のビリー・グレイソンの参加のもと、ILO世界対話フォーラムに対する組合の期待についても討議した。グレイソンの説明によると、EICCは、臨時労働者が若年労働者や勤労学生、移民労働者である場合、労働者が最も大きな危険にさらされることを認識している。「私の印象では、ILO対話フォーラムは積極的な活動だった。フォーラムの合意事項には満足している。このプロセスは非常に緩慢だが、関与することが重要であり、ILOの討議に引き続きかかわっていく必要がある」と同氏は述べた。EICCの詳細については、下記サイトでビリー・グレイソンへのフルインタビューを参照:

https://www.youtube.com/watch?v=LCIC4JC4fBU&feature=youtu.be

 「労働組合は契約労働者その他の未組織労働者を組織化しなければならない」とフィリピンMWAPのレデン・アルカンタラは述べ、「ILO世界対話フォーラムの課題は、このフォーラムがどのように実施されるかにある。組合は、需要の変動は不安定労働者を雇用する口実にならないと主張している」と結論づけた。

  労働組合は持続可能な産業政策に関する活動と、そのような政策を奨励するうえで組合が直面している問題や課題を共有した。参加者は、電子産業のグローバル・サプライチェーンで課題を克服する方法について議論した。

  この部門は大手多国籍企業に支配されているため、インダストリオールがグローバル・レベルで組合の力を強化し、多国籍企業に立ち向かうことが重要である。

  ドイツIGメタルのカール=ハインツ・ハゲニが、「雇用のデジタル・プラットフォームが新たに出現しており、労働条件や雇用に大きな影響を与えている。このような理由で、IGメタルはこれらの労働者を保護するためにwww.Faircrowdwork.orgを立ち上げた」と説明した。

  この会議では、インダストリオールの目標と基本戦略に基づいて部門の行動計画も採択された。

  参加者は、PTフィリップス・インダストリーズ・バタムで不当解雇された労働者に関する決議も承認した。この会議は同社に対し、労働者に対する嫌がらせをやめてFSPMIとの団体交渉を再開し、この紛争の公正かつ公平な解決の達成と建設的な労使関係の確立を目指すよう要求した。

  電機連合の有野正治とプリハナニ・ボエナディがICT電機・電子部門の共同部会長に選出された。

  会議終了後、代表団はマレーシアのパナソニックPAPAMY空調設備工場を見学し、地方組合幹部およびパナソニック経営陣と会談した。この見学によって代議員は、工場の歴史と建設的な労使関係を理解することができた。

 

会議終了後、全員での記念撮影

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