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第54回協議委員会 - 産別からの意見・要望

2011年12月02日

JAM | 電機連合 | 基幹労連 | 全電線 | 自動車総連 | 本部答弁

《JAM》データ開示ができる組合を一つでも増やしていくことが中長期の課題

木住野協議委員(JAM)

2012年闘争について

内容的には昨年と同じ取り組みを提起する。賃金実態の把握と分析を進め、ここ数年賃金水準の低下をきたしたところ、賃金分布から見て是正が必要なところについては、昨年に引き続き1500円以上の賃金改善・是正を求める要求を組み立てる。

こうしたデータ開示が出来る組合を一つでも増やしていくことが中長期の課題になっている。こうした賃金の取り組みにおいては、100人未満と100人以上のところで、大きな開きがあり、春季生活闘争という全体の運動の中で、小さいところに運動を広げていくことが重要だと考えている。

そういう取り組みの一環として、出来る単組はすべて賃金水準や賃金構造維持分の情報開示が必要だと考えている。個別で出せない事情はJAMにもあり、登録単組の平均値という形ででも公表している。情報開示は、常に可能な範囲でしか出来ないとは思うが、全体の運動として進めて行くことが重要であるし、その点での強化指導をお願いしたい

高齢者雇用・所得確保について

2012年闘争では、賃金・一時金と並んで、65歳年金接続までの高齢者雇用を大きな課題として取り組む。まず、大手が先鞭を付け、情報開示を行い、時期を追って、中堅や中小の取り組みにつなげていかなければならないと考えている。

将来的には高年齢者の基幹労働者化ということも戦略的に検討していくべきと思うが、まずは無年金状態の到来に先行して、在職老齢年金分の賃金への上積みを獲得していく取り組みが出発点だと考えている。

長期にわたる検討と取り組みが必要な課題だと思うが、高齢者雇用の今後の在り方、65歳まで働ける社会づくりについてお考えがあればお聞きしたい。

産別最賃問題について

今年、東京都で生じた産別最賃の問題は、産別最賃という制度の欠陥を突かれた事態だったのではないかと思う。

地賃と特定(産別)最賃との機能と役割の違い、産別最賃が対象とする基幹労働者の中身、関係労使のイニシアチブをどう担保するか、検討すべき課題は重大だと思う。今年度は、従来はクリアしてきた問題がクリアされていない状況がでている。然るべく検討の場と協議が必要だと思うが、お考えをお聞きしたい。

《電機連合》「賃金水準の維持」は組合員の生活を維持、底支えに加え、日本経済回復への重要な取り組み

黒木協議委員(電機連合)

賃金要求について

1点目は「賃金要求」についてである。

現在、私たち電機・電子・情報関連産業を取り巻く環境は、2011年度期末に向け、震災からの復興が本格化すると予想される反面、円高や欧米・新興国の景気減速、タイの洪水によるサプライ・チェーンの寸断といった要因から、業績動向等、より不透明さを増してきている。

この環境は、2012年度以降も当面、継続するとの見方が大勢を占める中で、大手、中堅・中小を問わず、企業は「生き残り」をかけた厳しい状況であると認識せざるえない事態となっている。

それだけに、勤労生活者を守り、着実な景気回復を図るため、「すべての組合で賃金構造維持分を確保し、賃金水準を維持する」という金属労協(IMF-JC)の方針は、現環境を的確に捉えたものであり、また、電機連合における賃金改善要求の根幹である「賃金決定の3要素(生計費、生産性、労働市場)」を慎重に検討した結果、賛同するものである。

2011年春闘同様、交渉は非常に厳しいものとなることが想定されますが、「賃金水準の維持」は、組合員の生活を維持し、底支えをはかることに加え、内需の底割れを防ぎ、デフレ循環からの脱却と日本経済の回復に寄与する重要な取り組みであることを認識し、電機連合として、金属労協の方針に沿った取り組みを推進していきたいと考える。

なお、一時金については、電機連合の従来の考え方である「業績に見合った一時金水準の確保」を目指し、産別ミニマムを確保したうえで、5カ月分を中心に取り組みを進めていく。

企業内最低賃金への取り組み

2点目は、「企業内最低賃金への取り組み」についてである。

電機連合は、金属労協(IMF-JC)の方針にもある通り、協定の締結促進を積極的に推進し、企業内最低賃金の水準の引き上げを図ることにより、「法定産業別最低賃金」の水準引き上げに、特に力を入れて推進してきた。この法定産業別最低賃金は、従来以上に非正規労働者を含む中小零細企業に働く未組織労働者の賃金の底支えに大きな役割を果たしており、電機連合としては、この制度のもつ役割と重要性を強く意識し、産別として、その役割を積極的に果たしていきたいと考えている。

特定最賃に対する取り組み

関連して、特定最低賃金に対する取り組みについても申し上げたい。

東京における特定最賃の金額改正必要性審議の結果において先日、東京における「特定最低賃金の金額改正審議の必要性」についての結果が出された。使用者側の「もはや、すべての特定最低賃金は廃止すべき」との頑なな姿勢により、誠に遺憾ながら、金額改正審議の必要性を求めた金属4業種のうち、「汎用機械(一般機械)」および「電気機械」については、「金額改正審議の『必要性あり』に至らず」という結論となった。

これは、これまでの特定最低賃金の趣旨を踏まえ、「労働者側の求める各産業における『企業内最低賃金』水準を目指すべきである」ことや、「現行水準における『影響率』の低さをかんがみて、実効性の確保につながる水準確保の必要性」などの主張が、伝わらなかったことが要因であり、誠に残念で仕方がない。

「金額改正の必要性審議」が公労使の「全会一致」が条件となっていること、この論議に当該産業の関係労使が参加できないことなど、制度面での制約をあらためて強く、課題認識した。とはいえ、この課題については、すぐに改善されることは困難なことであることも理解せざるを得ない。

私ども、電機連合としては、来年度の取り組みにおいて、電機産業の発展、労使関係の安定にとって特定最低賃金は重要な役割を果たしているという、信念は変わることがないものであり、この考え方を当該産業労使において共有化をさらに深めることを求めるとともに、さらに、実効性のある水準を求めるにあたって、これまで以上の取り組みに邁進していくことを表明することともに、金属労協本部および各産別とも連携した取り組みをお願いしたい。

非正規労働者の労働条件改善

3点目は、「非正規労働者の労働条件改善」についてである。

電機連合では、2010年度の定期大会において、2010年~2020年度の先行き10年間を見据えた「中期運動方針」を確立しており、その中にある産別活動として、「正規、非正規を問わず全ての職場において、電機連合が考えるディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を目指す」事を、一つの柱としており、派遣・請負労働者の雇用安定や労働条件の向上のための様々な取り組みを進めてきた。

具体的には、電機産業で働く派遣・請負労働者を「同じ職場でともに働くパートナー」として位置付け、職場点検活動の強化や受入れに関する労使協議の徹底を図り、コンプライアンスや処遇改善のための取り組み・働きかけを行っています。また、法改正を先取りした方針や、あるいは対応する施策や政策として、2000年には「電機産業における派遣労働者の権利保護ガイドライン」や、以降も「多様な働き方と処遇のあり方に関する基本的考え方と対応」などを策定し、均等・均衡処遇の実現に向けた取り組みを地道に、しかし、着実に推進してきている。

現在は、今般の労働者派遣法改正の動きや、派遣・請負労働者をとりまく状況を踏まえて、ガイドラインの補強・見直しを行っているところであり、2012年闘争においては、JC方針および「電機産業における派遣・請負労働者の権利保護ガイドライン」を踏まえ、引き続き精力的に非正規労働者の労働条件の改善に向けた取り組みを進めていきたい。

60歳以降の就労確保

4点目は、「60歳以降の就労確保」の取り組みについてである。

2013年4月から老齢厚生年金・報酬比例部分の段階的な引き上げが始まるなかで、高年齢労働者が60歳以降も雇用と生活の安定を確保し、やりがいを持って働くことが出来る就労環境の整備が、目下、喫緊の課題となっている。

これは日本社会全体にとって重要な課題であり、今後、労働力人口の減少が見込まれるなかで、年齢に関わらずスキルや技能をいかんなく発揮し、社会の担い手として活躍できるようなしくみづくりが、今、求められている。

電機連合では、他産業に先駆け、年齢に関わりなく活き活きと働くことができる「エイジフリー社会」の実現を目指し、65歳までの雇用延長について、①希望者全員とすること、②正社員に準じた安定した身分とすること、③産別最低賃金(18歳見合い)を保障すること、④組合員化すること、を産別指針として掲げ、取り組みを推進してきた。2012年闘争においても、JC方針、産別指針に沿って、積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えている。

加えて、JC指針である「ワーク・ライフ・バランスの実現」に向け、電機連合「WLB5ヶ年プログラム」最終年度との連動性も踏まえ、「総実労働時間の短縮」や「仕事と家庭の両立支援」などの取り組みも推進していきたい。

以上、JC共闘あるいは連合・金属部門連絡会議等、一層の結束した取り組みにより、金属労協(IMF-JC)傘下の全組合が前進を図れるよう、JC本部の指導力発揮を要望し、電機連合からの意見・要望としたい。

《基幹労連》2年サイクルの基本年度として「労働条件の底上げ」「格差改善」中心に積極的取り組みを展開へ

橘協議委員(基幹労連)

2012年闘争の推進の取り組み

まず、1点目は、2012年闘争の推進の取り組みについてである。

JCは、2012年闘争の基本的考え方として、賃金・労働条件の底上げ、格差解消に主眼を置き積極的に取り組むとしている。

パートや派遣労働者等の非正規労働者の比率が増加していることに起因する低所得者層の増加による内需低迷など、構造的問題を乗り越えるために、マクロの観点からも重要な取り組みであると認識するところである。

また、政策・制度課題への取り組みについても、ものづくり産業の国内基盤の強化を図るための取り組みとして、今まさに求められていると認識している。

基幹労連の今次春季取り組みは、2年サイクルの基本年度としての取り組みとなる。取り巻く環境に厳しさはあるものの、国内経済活性化に資する取り組みとすべく、「労働条件の底上げ」「格差改善」を取り組みの中心に位置付け、積極的な取り組みをしていきたいと考えている。具体的には、「好循環」の観点から「魅力ある労働条件づくり」につながる効果的な「人への投資」として、賃金改善のみならず、ワーク・ライフ・バランスの実現も重要課題として取り組むことを検討している。

あわせて、今回の春季取り組みにおいては、円高是正、電力不足の解消等の震災復興・産業空洞化防止に向けた産業政策領域の取り組みをパッケージで取り組むこととしている。

「賃金・労働条件の底上げ・底支え、格差解消」に向けては、実効ある取り組みこそが肝要であり、JC共闘のメリットの最大化に向けて、確実な推進を要請する。

また、政策・制度課題については、基幹労連としてもJCの取り組みと連携を強化した対応をはかっていきたいと考えており、JCとして課題提起やその対策について前広に対応するとともに、積極的に取り組むよう要望したい。

特定最低賃金の機能強化

続いて、2点目は、特定最低賃金の機能強化についてである。さきほど議長ご挨拶の中でも特定最低賃金にかかわる問題についてご発言があったが、基幹労連としても危機感を同じくする立場より意見を申し上げたい。

近年、地域別最低賃金の水準が急激に上昇してきた中、地賃と特定最賃との水準が接近している。当該労使が理解を深めて取り組むことがますます重要となっており、基幹労連としてもJCと同様の受け止めをしている。

そうした中、東京都における今年度取り組みにおいて、当該産業を代表する立場にない一部の使用者側委員の非協力的姿勢により、必要性審議が大きく混乱する事態が発生した。この事態に対し、JCとして指導性を発揮し対応に当たっていることについては評価をするものである。

その上で、今回の問題は、特定最賃制度そのものが機能不全に陥る危機であると考えており、この状況を踏まえ、再発・波及しないよう、当該産業労使のイニシアティブ発揮による制度本来の趣旨に沿った適切な審議の実施、必要性審議など一連の金額改正の手続きそのものの改善等、特定最賃制度の機能強化に向け、JCとして早急かつ積極的な検討を進めていただくよう、要請したい。

以上の2点について申し上げたが、基幹労連としても、明日の「安心・安定の確保」のために、精一杯の取り組みを展開することを誓い、意見表明としたい。

《全電線》組合員の雇用の安定と生活の維持・向上に向けJC共闘の一員として最大限の努力を

窪田協議委員(全電線)

電線業界を取り巻く経済・情勢認識

まず、経済・情勢認識について申し上げたい。

マクロ的な経済状況については、JCが分析している内容と大差はないので割愛するが、電線業界においては2011年度銅電線需要改定見通しでは、電気機械・自動車・輸出などが前年度および当初予測を下回り、66万8千㌧と3年連続で70万㌧割れという依然として厳しい状況にある。

需要部門別に見ると、通信、建設・電販、その他内需部門が震災の復興需要により一時的には増加したが、電気機械・自動車・輸出などが超円高、サプライチェーンの寸断の影響等により減少し、当初予測比▲3.2%、前年度比でも▲2.2%となり、全体でも減少するものと見られている。

電線大手5社の中間期決算結果につきましても、営業損益ベースでいずれも黒字を確保したものの、4社が微増収ながら大幅減益、1社が微減収大幅な減益となり、経常ベースでは、4社が大幅減益、1社が赤字となっている。

電線産業としては、全体的には未だ厳しい状況にあるとの認識である。

2012年春闘への取り組みについて

このような状況での春闘への取り組みである。

まず、取り組むにあたっては三点ほど留意点があると考える。

ひとつは、世界経済および日本経済の現状と今後の動向。二つ目は電線産業全体としては微増収減益基調で好調な部門が一部にはあるものの、全体としては厳しい状況にあること。そして、三点目に連合・JCにおける、具体的な取り組み方針に対する産業実態に即した設定である。

組織論議として決定はしていないが、これらを十分に考慮していくなかで多面的な角度から日々状況変化を把握しつつ検討を進めていきたいと考えている。

具体的な取り組み項目では、

まず、賃金についてですが、これまで組織内の諸会議において、取り巻く情勢、産業・企業実態やそれぞれの単組動向などの状況把握を行なうなかで検討を行っている。特に「賃金構造維持分の確保」を図りながら、賃金制度上における諸課題も含め、実態に応じて条件の整う単組においては賃金改善に取り組むべく、JC方針を踏まえながら、今後、十分な組織論議を行うなかで具体的な取り組みを決定していきたいと考えているので、ご指導をお願いしたい。

また、一時金の取り組みにつきましては、生活水準の維持・向上を図るための年間賃金の一部として、組合員の生活を守る観点から主張していきたいと考え、これまでの政策を基本に十分な組織論議を加えながら決定していきたいと考えている。

さらにワーク・ライフ・バランスの実現に向けては、心身の健康保持の観点からも、長時間労働を早期に是正する取り組みが重要であると考えているが、全電線では、所定内労働時間は、世間水準にあると考えているが、所定外労働時間や年次有給休暇を含めた総実労働時間では、総じて長時間になっている。

これらの経過も踏まえ総実労働時間短縮については、有効な手段の一つである年次有給休暇の取得促進などに積極的に取り組んでいきたいと考えている。

最後に、60歳以降の雇用確保についてであるが、労働者の立場に立った労働条件の向上に向け、秋の取り組みに引き続き春闘期間中も各単組の実態に即し取り組んでいきたいと考えている。

以上、電線業界の状況と春闘への取り組みを中心に考え方を述べさせて頂いたが、今後についても、組合員の雇用の安定と生活の維持・向上に向け、全電線として、JC共闘をよりどころに産別として精一杯取り組んで参りたく、JC共闘の一員として、最大限努力することを申し上げ、闘争の推進について賛成の意見としたい。

《自動車総連》「人材力」「職場力」を高める取り組みの推進を

安藤協議員(自動車総連)

産業情勢

自動車産業は、東日本大震災以降、サプライチェーンが寸断され、かつてない極めて大規模の操業の短縮・停止に追い込まれ、また夏場には、電力需給問題への対応が求められる中、一日でも早い生産の回復・正常化に向けて取り組むとともに、電力問題への緊急避難的な対策としては、組合員やその家族の相当な犠牲を払いながら、産業全体として全国台で木金休みへと稼働日変更を行うなど、積極的に対応をしてきました。

その甲斐もあり、当初予想を上回る速さで生産能力を回復することができ、この下期は、震災の影響による減産分を挽回し、受注残・在庫不足の解消に向けて大幅な増産が計画となりました。

但し、大増産といっても、今年1月から10月までの暦年で見れば、四輪車の国内生産・販売ともに8割程度というのが実情です。

また、タイにて発生した大規模洪水は、サプライチェーンを寸断し、タイ国内ばかりでなく、日本を含む他国の生産にも影響を及ぼすことになりました。

一方で、長期化する超円高水準や自由貿易協定への対応の遅れなど輸出環境の悪化、また資源制約や電力安定供給への不安など、国内事業基盤を守る上での阻害要因が、我々自動車産業においても、重く圧し掛かっています。

自動車産業は、先が見通せないばかりでなく、国内空洞化の危機に直面している事態となっています。

更には、来年3月末にはエコカー減税・グリーン税制の期限が到来するため、自動車関係諸税の抜本見直しの動向如何によっては、国内市場の更なる収縮も強く懸念される状況にありま

2012年闘争の取り組み

2012年の取り組みでは、まずは労働組合として、こうした産業の置かれた現実をしっかり認識し、共有した上で、労働組合として何をすべきかを考えて臨まなければなりません。

その意味では、労働の質の向上を通じた更なる生産性向上を図ることが必要であり、そのために「人材力」「職場力」を高める取り組みを推進しなければならないと考えます。

【賃金】

よって、金属労協の「2012闘争の推進」(案)で示されている考え方について、理解をするところです。

今後、産別としての具体的な要求方針を詰めていきますが、自動車総連としては、取り巻く環境の厳しさが明らかに前年を上回っているものの、組合員の生活実態や、生産性の更なる向上を図るべく懸命に取り組む組合員への対応等、様々な観点を踏まえ、全ての組合で「賃金カーブ維持分の確保」を至上命題とし、賃金の下支えを図っていきたいと考えています。

加えて、業種間や企業規模間など、依然として存在する格差について、是正に取り組もうとする組合に対して、支えとなるような方針にもしていきたいと考えます。

【特定(産業別)最低賃金】

最後に、特定最低賃金、いわゆる産業別最低賃金について、お願いを申し上げたいと思います。

2011年の金額改正では、多くの県において、夫々の頑張りにより、地域別最低賃金を上回る引き上げを実現することができました。

しかし、その一方で、地域別最低賃金が大きく引き上げられ、特定最低賃金との差額が少なくなっている地域も生じてきています。特に本年の地域別最低賃金の改定により水準が逆転した東京都では、西原議長のご挨拶にもあった通り、使用者側委員の制度の目的・意義さえ理解していない強硬な不要論により、金属労協全体として断じて容認できない結果となりました。

この事態を自動車総連としても極めて重大だと認識しており、今後に向けて課題を整理し、対応を講じていくことが必要だと考えますが、本件は、一産別では解決しえない産別の域を超えた問題であり、また、他の地域にも波及しかねない大きな危険性をはらんでいます。

よって、この問題解決に向けて、金属労協が、その専門性や経験、情報力を活かし、中心的役割を積極的に果たしていただくとともに、ナショナルセンターである連合へも連携し役割の発揮を求めていくことをお願いしたいと思います。

●産別意見・要望に対する本部答弁●若松事務局長
厳しい環境での賃金構造維持と人への投資継続に一致団結して取り組む

若松事務局長

各産別より、産業の実態やJC共闘を補強する力強い下記のご意見をいただいた。

先ほど提案したJCの闘争方針は、加盟各産別との十分な協議のもと策定されていますし、各種会議、委員会の場でもご意見を拝聴している。さらには、闘争の取り組み方針は議長挨拶でも触れられた通りであるが、事務局から若干のコメントをさせていただきたい。

各産別から、いただいた主な意見・要望は、1)賃金構造維持と賃金水準改善の取り組み強化、2)企業内最賃と特定最賃の取り組み強化、3)60歳以降の就労確保、4)ワーク・ライフ・バランスの実現などであある。

まずは、各産別から出された情勢報告について、改めて認識を共有しておきたい。

3月の大震災以降、電力不足、超円高、タイの大洪水と、日本経済および日本のものづくり産業に対して、次から次へと苦難が襲いかかっている。こうした状況の中にあっても、強い責任感と使命感を持って、果敢に日々の努力を続けていただいている組合員のみなさまに対し、心より敬意を表します。

国内にものづくり産業の事業拠点と雇用を維持していくため、すでにご報告しているが、金属労協として、TPP参加、円高是正といった政策・制度、産業政策の取り組みを積極的に推進しているところである。引き続きこうした活動に注力することはもちろんであるが、国際競争力を確保していくためには、産業労使が取り組むべき第一の課題は、自動車総連さん、基幹労連さんからご指摘のありましたように、「人への投資」「人材力・職場力を高める取り組み」が重要であると考えている。

賃金構造維持と賃金水準改善の取り組み強化

賃金構造維持分確保と適正な成果配分、賃金格差の解消、賃金水準是正を柱とする2012年闘争方針については、発言者の皆様より強い支持をいただいた。

超円高、デフレへの懸念拡大、雇用情勢の悪化、解決の糸口が見えない欧州危機など、昨年のこの時期に比べて経済情勢が格段に厳しい中、きわめて重みのある方針であるという認識に立って、勤労者の賃金の底上げ・底支えに向け、労働組合としての重責を果たしていかなくてはならないと考えている。

金属労協としても、来年の1月には闘争推進集会を開催し、交渉参考資料を作成していくなど、産別・単組の取り組みの後押しをすべく、最大限の力を傾注していく所存である。

JAMさんからは、単組ごとの賃金水準や賃金構造維持分の情報開示について、ご提起があった。連合では、代表・中堅銘柄の整備・開示、中核組合における賃金水準開示内容の整備・拡充、中小の代表銘柄の設定や社会的波及力を高めるための情報開示について、強力に推進をしていくものと認識している。

金属労協の各産別におかれても、連合のこうした取り組みに積極的な対応していただけるよう、改めてお願いしたいし、またJC労働政策委員会の場を通じて、議論を深めて参りたい。

非正規労働者の労働条件改善について、電機連合さんから取り組みの紹介がありました。JCとしては、労働者派遣法改正の状況などを踏まえると、いま一度「二重の不安定の解消」、すなわち短期雇用であれば直接雇用、そして間接雇用であれば長期安定雇用という考え方を強く訴え、連合を通じて、世論形成に努める必要があると思っている。

企業内最賃と特定最賃の取り組み強化

今般、東京の特定最賃において、電気・精密と一般機械が「必要性ありに至らず」となったことに関しては、皆様ご指摘のとおり、この制度の様々な矛盾・欠陥を露呈したものと言わざるを得ません。この審議に当該産業を代表する労使が参加できないうえに、全会一致が条件となっていること、特定最賃の重要な役割について十分な共有化が図られていないことなど、多くの検討すべき課題がある。

来年1月には、最賃連絡会議を開催し、この点も含めた対応を協議、取り組みの強化を図っていきたい。

また、企業内最賃の締結拡大、水準引き上げの取り組みをこれまで以上に強化し、特定最賃の維持強化に向けた環境作りに、力を注いで行かなければならないと考えている。

60歳以降の就労確保

60歳以降の就労確保については、厳しい経済環境の中で、若い人の雇用への悪影響や、増加する高齢者に対応した職不足など、消極的な見方が色々と言われている。しかしながら、長期的な観点で見れば、高齢者の人口増大、生産年齢人口の激減に対応して、わが国の成長維持や財政の健全化、社会保障制度の維持、生活水準の維持のためには、高齢者の就労を促すことが不可欠なことは疑いないことである。

将来的にはエイジレス社会をめざしつつ、当面、本当の意味での希望者の全員雇用を実現し、能力に適した職を提供して、賃金についても同一価値労働同一賃金に則り、かつ生活を維持することのできる水準を確保していくことが必要であると考えている。

ワーク・ライフ・バランスの実現

電機連合さん、全電線さんから、ワーク・ライフ・バランス、年休の取得促進の取り組みについてご紹介があった。電力不足への対応のために、この夏には、家庭生活、地域生活に大きな影響が出るところとなりましたが、これを通じて、ワーク・ライフ・バランスの重要性について、再認識をされた方も多いのではないかと思う。在庫の無駄、移動の無駄、無駄にも色々あるが、無駄な仕事をしない、させないということもきわめて重要である。小職の出身労使では、「ワーク・スタイル・イノベーション」と称した活動を展開しているが、仕事の進め方を全面的に見直して、ワーク・ライフ・バランスと省エネの両方を実現するワークスタイル、ライフスタイルを確立していく、そうした議論・改革を進めていくことが必要なのではないかと考えている。

2012年闘争は、例年以上に厳しい環境での闘いになるが、労使が長年にわたり創り上げてきた賃金構造を維持し、人への投資を継続することで、長期的な事業発展と雇用の安定に寄与すべく、JC傘下産別が一致団結して、前向きに取り組んで行きたいと思う。

さらにはその前提として、労使が胸襟を開いて経営や雇用、労働条件などについて徹底した話し合いをすることが重要であると認識している。

皆様方の一層のご支援とご協力をお願いし、答弁とします。

●補足答弁●西原議長

高齢者雇用については政府の労働政策審議会においても提言していきたい。また、東京の特定最低賃金の問題については、その8割を金属産業が占めることを踏まえ、その背景も含めてJCとして総合的に検討し、連合と協力して進めていきたい。

以上、いただいた意見や要望については、引き続きJCの中で検討に含めながら活動に反映していきたい。

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