金属労協第44回大会 来賓挨拶

連帯、信頼、信義、そして友愛と友情を大切にした運動で

連合運動の再構築を!


草野忠義連合事務局長

IMF−Jの第44回の定期大会、心からお祝いを申し上げたいと存じます。また、久しぶりにふるさとに帰ってきたような感じがして、ほかの大会に行くよりも気楽にお話しができるのではないかなと思っています。

 まず、冒頭ですが、古賀議長はじめJC三役の方々は当然のことながら連合の役員の中で重要な位置を占めていただいておりますし、参加されております産別の皆様方にも全国的に大変お世話になっておりますことにまず心から御礼を申し上げたいと思います。と同時に、今回のJC大会の中で、今、議長の方からお話がありましたように、COC(企業行動規範)であるとか、あるいはCSR(企業の社会的責任)、あるいは賃金労働政策をはじめとしまして、非常に重要な課題について新たな提言を含めた問題提起をされておることに心から敬意を表したいと思いますし、ぜひその方向で運動を進めていただくように祈念申し上げたいと思います。<ページのトップへ>

金属部門連絡会への前向きな対応に期待

 また、方針の中で、地方において金属部門連絡会を前向きに対応していこうという取り組みが提起されていると思います。ぜひともその方向で進めていただきたいと思います。といいますのは、10年少し前になりますけれども、連合の中に組織運営検討委員会が設置されまして、私はその委員長をやっておりました。その関係で通称「草野委員会」と呼ばれていたわけでありますが、その中で私は「部門連絡会を連合運動の中核に位置づけることが必要だ」という提起をさせていただきました。それは連合運動の強化、あるいは効率化に不可欠だということと、中小の代表の方々にも重要な役割を担っていただくことが極めて重要である。そのために部門連絡会の強化というのは必須だと考えたからです。

 しかしながら、最近の連合の中の議論を見てまいりますと、産業が非常に多様化してきたということも一つあると思いますが、金属部門と官公部門以外の部門連絡会との間に運動の力量の差等がありまして、どうも部門別連絡会の取り組みに対しては少し後ろ向きな姿勢になってきており、このことについては非常に残念だと思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、十数年たった今も「連合運動の強化、発展のためには、やはり部門別連絡会を強化していかなければならない」との私の考えは変わりません。そういう意味で、IMF−JCの皆様方の運動の強化、発展を心から期待するものです。ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。<ページのトップへ>

自然災害の大きな被害と貧富の差

 ところで、台風14号も大変大きな被害をもたらしましたし、今後、東北あるいは北海道に再上陸する危惧も残されております。被害を受けられました方々に心からお悔やみ、お見舞いを申し上げたいと思いますが、一方で、アメリカでもご案内のとおり超大型のハリケーンが襲いまして、信じられないような大きな被害をもたらしたと報道されています。

 これらの方々にもお悔やみとお見舞いを申し上げますけれども、一つ大きな点を見逃してはならないと思います。それは「貧富の差」ということです。マスコミ報道で皆さんご存じだと思いますし、また、連合から今アメリカに留学している人がおりますが、その方から2日前ですか、極めて詳しいレポートが私のところに届きました。避難命令が出て避難しようにも避難できない。その貧困層の皆さん方が大変大きな被害を受けたという報告です。まさに二極化、貧富の差というものが、自分たちの、そして家族の生命に大きくかかわるということをまざまざと見せつけたのではないかと思っています。<ページのトップへ>

総選挙における民主党への支援強化を

 翻って、我が国はといいますと、今、古賀議長からお話がありましたように、小泉政権の4年4カ月でもたらされたのは二極化であり、格差社会であり、そしてもっと恐ろしいことには、この格差社会が今や定着しようとしている。ここには恐怖感さえ覚えるわけでございます。

 そういった意味で、今時総選挙の課題についても今議長が触れられましたけれども、投票日まで本日を入れて5日間となりました。まさに日本のこれからの進路を選ぶ選挙だと思っております。詳しくはもう申し上げません。民主党の劣勢が伝えられておりますけれども、投票日が9月4日でなくてほんとうによかったなと思っておりますが、思っただけでは何の意味もないわけでありまして、残された5日間にどのような活動ができるかということでなければならないと思っております。ぜひとも組合員、ご家族の皆様方にもう一度徹底をして、必ず投票に行っていただく。もう大きなこと、多くのことはできません。まさに原点に返りまして、今申し上げましたことを皆様方からぜひお伝えいただきたいし、行動をお願いしたいと思っているところであります。

 直近のマスコミの情報によりますと、民主党は確実に上がってきております。ですから、その活動が定着すれば連合組合員700万、ご家族入れればおそらくその倍になると。その票が確実に入るわけでありますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思っております。<ページのトップへ>

大津波への協力と核兵器廃絶への署名活動に対する協力に感謝

 2つほどお礼とおわびを申し上げたいと思います。1つは、今年の6月ILOの総会がありました。ご案内のとおり3年に1回の理事選挙でしたので、その応援も含めて私はジュネーブに行ってきまして、ソマビアILO事務総長とお会いをする機会がありました。幾つかの話を申し上げたのですが、その中でソマビア事務総長のほうから、インド洋スマトラ沖の大地震、大津波に対する日本の労働組合の組合員の皆様方の大変な協力に非常に大きな感謝の言葉が寄せられまして、ぜひとも皆さんにお礼を伝えてほしいという話をいただきましたので、この機会を利用してお礼を申し上げさせていただきたいと思います。

 もう一つは、核兵器廃絶に対する署名活動であります。850万の署名をいただきました。これを持って私ニューヨークに5月の連休に行ってまいりまして、NPT再検討会議、これは5年に1回開かれるわけですが、国連本部で開かれました。たまたま国連本部の総会の演壇でスピーチする機会をいただきましたし、その場で、ほんとうは何百万も持っていきたかったのですが、段ボールも持ち込み禁止だそうですので、わずかひとつづりではありますけれども、NPT再検討会議の議長でありますブラジルのデュアルテ軍縮大使にそれをお渡ししてまいりました。

 しかしながら、残念ながら、NPT再検討会議は完全に失敗に終わったと思っています。核保有国と核を持たざる国の間の利害が対立して、結果としては前進を図ることができなかったことを、おわびを申し上げたいと思います。しかしながら、唯一の被爆国である日本としては、今後とも、世界に3万発以上あると言われている核兵器廃絶に向けて全力を挙げていかなければならないと思っている次第です。<ページのトップへ>

総選挙へもう一押しの支援を

 最後になりますが、この総選挙にもう一度触れさせていただきます。私も随分あちこちに応援に行ってまいりました。やはり小泉さんの強権政治に対して非常に恐怖感を覚えるという方が増えてまいりました。特に鹿児島や大分の地方部の選挙区に行ったときに、戦争経験者の方々とお話ししてまいりましたが、自分の若いころの、あるいは子供のころの戦争に突き進んだあの独裁政権の時代を思い起こされて恐怖感さえ覚える。今まではずっと自民党支持だったけれども、今回はそうはいかないという方々が大分増えてきたような感じがします。もう一歩で、もうひとつ力を入れることによって民主党のエネルギーをさらに高めることができるのではないかと思っていますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後に、労働運動、今逆風が吹いているのではないかと思っています。そういう中にあって、労働運動が今まで大事にしてきました連帯、信頼、信義、そして友愛と友情というものを大切にしながら、そして最も大事なことは民主主義というのが労働組合の原点であります。そのことを大事にしていけば、必ずや私は労働運動の再生はなり得ると、なし得ると思っております。まさに社会改革の旗手として、連合あるいは労働組合が突き進んでいくためにもそのことが大事ではないかということを申し上げまして、連帯のごあいさつにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) <ページのトップへ>