第44回協議委員会

各単産からの意見・要望(発言順)

前田協議委員(全電線)
幸野協議委員(鉄鋼労連)
豊泉協議委員(JAM)
久保協議委員(自動車総連)
藤田協議委員(電機連合)
今泉協議委員(非鉄連合)
津村協議委員(造船重機労連)

前田協議委員
(全電線)

取り巻く情勢について
 まず取り巻く情勢に関しては、日本経済の成長については、実質、名目ともにマイナス成長に陥っている中、経済は危機的状況に直面しており、デフレ状況が進行する中でさらに深刻さを増す状況にあります。
 さらに雇用環境では、過去最悪を記録する失業率、アメリカの景気後退や同時多発テロ事件の影響など、先行きへの不安はますます強まっており、産業・企業動向についても、グローバルな市場経済の拡大、国際競争の一層の進展など、従来以上に厳しい対応を迫られる状況に直面しているものと考えています。


電線産業の置かれている現状
 電線産業についても、産業の指標となる導電線出荷量がピーク時から大きく落ち込み、さらにその状況から昨年比2桁のマイナスと、当初の予想を大きく下回る状況にあります。これは電力部門での投資抑制基調、IT不況の影響を受ける電機・機械部門、民間設備投資、住宅投資の減少による建設部門の落ち込み等によるものであり、これら成熟分野である導電線の部門はまさに過剰な設備状況に陥っていることなど、構造的な課題を抱え、一層の事業の効率化が求められています。
 一方、光ファイバーケーブルについては、通信インフラなどの整備に向けた国内需要等から、今年度も一定の伸びがあるものの、市場での値下げ圧力など価格の下落という厳しい状況にあります。
 さらに昨年度大きな伸びを示した光関連製品、電子関連製品は、今年度に入りIT不況の影響を受け、大幅に需要が後退し、操業も含め足元の状況は日増しに厳しさの増す状況が続いています。
 このような状況の中で、大手企業、中小企業、また、既存分野、新規分野を問わずおしなべて操業が悪化しており、企業における経営諸施策、構造改革に向けた対応など、企業存続に向けたさらなる対応を進めています。


春闘の取り組みについて
 このような状況の中での春闘の取り組みについては、日本経済を中心とする取り巻く情勢、悪化に歯止めがかからない企業業績など、あらゆる角度から日々変化する状況等を把握する中で検討を進めています。組織論議としては決定していませんが、現時点での検討の方向性は次の通りです。
 まず、雇用の維持・確保についてですが、雇用については従来から最重要課題と位置づけて取り組んでおり、基本的な考え方は今後も変わりはないものと考えています。取り組みの具体的な対応については検討中ですが、雇用の維持・確保に向け労使で最大限努力するとの考え方で、JCの方針を踏まえた取り組みを行っていきたいと考えています。
 次に賃上げについては、これまで申し上げてきた厳しい産業・企業実態等を考慮すると、今次春闘においてはベアを要求する環境にないと判断し、既に単組において賃金構造維持分を確保する取り組みに向けて論議検討を進めている状況にあり、今後についても、十分な組織論議を行う中で決定していきたいと考えています。
 また一時金については、全電線の基本的政策を踏まえ、生活保障部分については、年間賃金の考え方に基づき、組合員の生活を守る観点から主張していきたいと考えています。
 今後についても取り巻く環境はさらに厳しく、難しい状況が進むものと考えられますが、所得の安定確保、勤労者生活の維持・確保などを基本に、全電線としましても、JC共闘をよりどころに産別として精いっぱい取り組んでまいりたいと考えています。
 以上、全電線としましても、中期基本政策に基づき運動を推進する中で、JC共闘の一員として最大限努力をすることを申し上げ、方針に賛成としての意見とさせていただきます。

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幸野協議委員
(鉄鋼労連)

雇用危機への一定の歯止めは労組の社会的役割 
 日本経済は景気低迷のもとで失業率は5%台に達し、物価の下落、企業収益のさらなる悪化など、デフレ・スパイラル転落の瀬戸際にあると言えます。世界同時不況のもとで、今後、不良債権処理や財政構造改革など、小泉内閣の構造改革が本格化すれば、デフレ圧力はさらに強まるものと認識せざるを得ません。
 また、先ほど鈴木議長の挨拶にもありましたように、産業の空洞化の問題は、ユニクロ現象に象徴されるように、中国をはじめとしてアジアに生産拠点が移転するという傾向がさらに強まり、日本のモノづくり産業の空洞化は雇用の場が失われる大きな要因となっています。
鉄鋼産業においても、国内需要の急速な悪化や、鋼材価格水準が30年前の水準にまで下落するという極めて厳しい構造問題に直面しています。
 こうした現象は、加工貿易立国という日本経済のあり方を根本から変えようとする動きでありますが、それに対応する政府の政策戦略が明らかでないことが大きな問題です。
 先ほどの説明の中にもありましたように、JCとして引き続き政府に対し、この問題に関する経済・社会政策を明らかにさせるべく、喫緊の重要課題として取り組むよう要請するものです。加えて、ものづくり産業の重要性、ものづくり産業が日本経済の基盤となっていることなどをもっとJCが中心となって労使を含めて社会的メッセージを発信することが重要と考えます。そうしたこともあわせ、JCとしてのリーダーシップの発揮を要請する次第です。


雇用危機への一定の歯止めは労組の社会的役割 
 日本経済は景気低迷のもとで失業率は5%台に達し、物価の下落、企業収益のさらなる悪化など、デフレ・スパイラル転落の瀬戸際にあると言えます。世界同時不況のもとで、今後、不良債権処理や財政構造改革など、小泉内閣の構造改革が本格化すれば、デフレ圧力はさらに強まるものと認識せざるを得ません。
 また、先ほど鈴木議長の挨拶にもありましたように、産業の空洞化の問題は、ユニクロ現象に象徴されるように、中国をはじめとしてアジアに生産拠点が移転するという傾向がさらに強まり、日本のモノづくり産業の空洞化は雇用の場が失われる大きな要因となっています。
鉄鋼産業においても、国内需要の急速な悪化や、鋼材価格水準が30年前の水準にまで下落するという極めて厳しい構造問題に直面しています。
 こうした現象は、加工貿易立国という日本経済のあり方を根本から変えようとする動きでありますが、それに対応する政府の政策戦略が明らかでないことが大きな問題です。
 先ほどの説明の中にもありましたように、JCとして引き続き政府に対し、この問題に関する経済・社会政策を明らかにさせるべく、喫緊の重要課題として取り組むよう要請するものです。加えて、ものづくり産業の重要性、ものづくり産業が日本経済の基盤となっていることなどをもっとJCが中心となって労使を含めて社会的メッセージを発信することが重要と考えます。そうしたこともあわせ、JCとしてのリーダーシップの発揮を要請する次第です。


春季闘争への鉄鋼労連の取り組み
 鉄鋼労連としては、今次春季闘争が複数年協定3ラウンド目の取り組みとなりますが、さきに触れたように、日本経済の低迷や鉄鋼需要の大幅な落ち込み、歴史的な価格の低迷など、産業の危機的状況などを踏まえ、今次春季闘争を雇用に正面から焦点を当てる危機管理型春季闘争と位置づけ、雇用確保と生活防衛との視点で取り組むこととしています。
 具体的には、雇用安定協定の締結、2年間の定期昇給の実施、一時金、実労働時間の短縮、60歳以降の就労確保、業種別関連組合の格差改善の取り組みを中心として要求していく方向で現在、組織内の討議を進めているところです。
 特に雇用安定協定の考え方については、2年間の協定期間において、雇用の維持確保を経営の責任として最大限の努力を行うという趣旨で、個別労使間で協定を結びたいと考えているところです。
雇用不安の解消は最も有効な景気対策
 世界同時不況のもと、10月の完全失業率が5.4%とさらに深刻なものとなり、企業のリストラ計画が新聞紙上をにぎわすなど、雇用は大きな社会問題となっています。政府の緊急雇用対策はもちろんのことでありますが、雇用を安易に扱う風潮が蔓延しつつある社会現象に、労働組合として一定の歯止めをかけることは大きな意味を持つものであり、組織労働者の社会的役割と認識するところです。あわせまして、雇用不安を解消していくことは、萎縮した消費を回復させる最も有効な景気対策と考えます。
 雇用危機に一定の歯止めをかけることができなければ、労働組合の社会的信頼を失うばかりでなく、雇用不安、将来不安はさらに深刻化し、デフレ・スパイラルへの突入といった事態も招きかねないと危惧するところです。
 したがって、10月に連合と日経連が雇用に関する社会合意宣言を結びましたが、これを足がかりに全産業・企業労使が社会的に目に見える形で雇用安定に向けた取り組みをすることが重要であると考えます。これまで春季闘争のリード役を果たしてきたJCとしても、その役割は大きなものがあると考えるところであり、そのリーダーシップの発揮を要請するものです。
 最後になりますが、鉄鋼労連としては、雇用はまさに労働組合にとって最後の砦であり、経営の理不尽な対応により雇用が守られない場合には、断固戦う姿勢で取り組まなければならないと考えるところであります。
 今次春季闘争において、JC共闘を大切にしながら、組合員の雇用安定と生活防衛に向け、精いっぱいの取り組みを展開することを決意として申し上げ、意見とします。

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豊泉協議委員
(JAM)

 

 JAMとして2002年春季闘争に望む基本的な骨子は次の3点にまとめられると思います。
 1つ目は、生活と雇用を守る闘いと位置付けているところです。2つ目は、賃金構造維持分の確保と全従業員を対象とした企業内最低賃金の協定の締結。3つ目が、JAMが継続して取り組んできている一人前ミニマム運動を継続し、さらに強化をしていく、この3点に集約されると考えているところです。
 1点目の生活と雇用を守る取り組みについてですが、JAMは雇用は雇用、そして賃金は賃金として、雇用を守る取り組みを第一義にする取り組みをしていきたい。そして、JAM加盟単組の状況は、昨年は回復基調にあったわけですが、今年は一転して極めて深刻な雇用状況を迎えているところです。これはJAMが四半期ごとに調査をしている企業の業況調査からも明確になってきているところですし、いち早くJAM本部に雇用対策本部を設置したわけですけれども、この中の集計でいけば、11月24日現在で303の単組で企業再編あるいは雇用調整、そして労働条件の切り下げというものが発生しています。
 これらに対しての取り組みの基本的な点については、雇用対策本部としては、まず、全専従者の実践研修を11月段階で東西に分けて実施したわけです。そして、その実践研修を受けた人が中心となりながら、地方JAMの中に雇用対策本部を設置しながら、雇用を予防医学、そして臨床医学、2つの立場で考えてみるのであれば、当面、JAMとしては臨床医学の立場で雇用問題をしっかりとらえながら、雇用の維持に全力を挙げていくというような方針の策定に向けて、現在取り組んでいるところです。
 そして、2002年の春季闘争の中では、雇用安定化協定の締結を目指していく。そして、具体的な雇用問題については、雇用対策本部と連携しながら取り組みをしていきたいと考えています。これが第1点目の生活と雇用を守る取り組みについての考え方です。


賃金構造維持分の確保の取り組み
 2つ目の賃金構造維持分の確保の取り組みについては、次の3つの要求パターンになるかと考えています。JAMの中では賃金制度を持っている単組は約400の単組で、その内容もさまざまな組み立て方であります。したがって、定昇額に職能給、あるいは昇格・昇給を含めた賃金構造維持分としたわけです。
 1つは、賃金制度が整理されている単組については、定期昇給部分を含めた賃金構造維持分の確保を目指す。
 2つ目が、それぞれの個人の賃金をプロットしながら、プロット図からシミュレーションし、そして、その中で賃金構造維持分を明らかにする。そして明らかになった賃金構造維持分の確保を目指していく。
 3つ目が、どうしても賃金のプロット図あるいは実態値から明らかにすることができないところについては、JAMがこの間、継続的に進めている全数調査の中の25万人から出したJAMとしての賃金構造維持分の確保を目指していく。ちなみにJAMの賃金構造維持分としては6,000円となっています。
 そして、全従業員対象の最低賃金要求については、現在、JAMの中では約230の組合で全従業員対象の最賃の締結をしているわけですが、先ほど提案がありましたように、パート賃金の底上げを図り、法定最賃の取り組みを強化する立場で、JAMとしては協定化を目指していく。全単組で要求をしていく。そして、その水準については、地域最賃の120%水準を目指しながら、既に締結をして持っているところについては10円以上の水準を要求していく。このような考え方を持っているところです。


一人前ミニマム運動の強化
 3つ目の一人前ミニマム運動の強化についてですが、継続して個別賃金要求の標準労働者の要求基準については設定をしているところです。この間、JAMとしての取り組みのミニマム運動は、次の4点持っているわけですが、この取り組みについての強化と継続にも取り組んでいきたい。それは1つ目は賃金の一人前ミニマムの取り組み。2つ目が一時金ミニマム、3つ目が全従業員対象の企業内最賃、そして4つ目が妥結のミニマム基準、この4点です。
 最後になりますが、一時金要求については、5カ月基準、そして、最低年間4カ月獲得を目指す一時金ミニマムを設定しているところです。
 先ほど述べましたように、JAMとしては大変厳しい加盟単組の中の企業状況に置かれているわけですが、12月からの全単組オルグ、そして、東西の討論集会をスタートに、それぞれお互いの置かれている立場を理解し、お互いのコンセンサスを図りながら、JAMとしての統一的な取り組みをできるよう全力を挙げていく決意です。

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久保協議委員
(自動車総連)

雇用と生活を守り、デフレ・スパイラルの防止に全力 

 ただいまのJC2002年闘争方針において、雇用の維持・確保を第一義とする方針が提起されたわけですし、また、報告の中でも、金属産業を含めて非常に雇用問題が顕在化されているという報告もありました。
 自動車総連にとっても、この雇用問題というのは大変重要な課題だと認識しています。既に自動車産業内でも雇用問題が顕在化していますし、私どもとしても、最優先課題として対応しています。
 自動車総連としては、従来より雇用の維持・確保に向けて、労使事前協議制度の整備構築、雇用対策マニュアルの整備など、通年での取り組み並びに対応を強化してきました。また、雇用対策本部を設置して、問題発生時の対応にも努めてきました。加えて、産別、企連、単組、それぞれのレベルで雇用確保の理念を労使が確認し、その実現に向けて先手先手で対応し、知恵を出し合ってきたと認識しています。
 今次闘争の中においても、JC方式にのっとり、構成組織が各レベルでの理念と努力を再確認することを通じて、JC共闘に参画し、雇用確保を第一義とするJC方針の実現に向け最大限努力していく所存です。
 また、賃金引き上げについては、マイナス成長に加えて、産業状況も非常に厳しい中、業績もかなりばらつきが拡大しており、内部では多様な角度から検討を進めてきました。その結果として、要求基準としては、1点目としては、すべての組合は賃金カーブ維持分を確保する。2点目として、ベースアップ分については1,000円を基準とするということを執行部原案として確認し、現在、職場討議に付すというところです。
 個々の単組では置かれた環境のばらつきが大変大きいため、ベア要求を断念せざるを得ないというような組合もあることとは思われますが、従来以上に共闘の枠組みを広げ、こうした中で賃金カーブ維持分に全力を傾けるところも、ベア獲得を目指すところも、同じ02闘争の枠組みの中で闘うということで、雇用と生活を守り、ひいてはデフレ・スパイラルの防止に向けて、微力ながらも全力を尽くしていく所存です。まさにJC方針も同様の考え方に立っていると認識しています。
 自動車総連としても、JC方針にのっとり、できる限りの役割を果たしていくことをお誓い申し上げるとともに、新たな枠組みでのJC共闘に強力なリーダーシップの発揮をお願いしまして、自動車総連からの意見とさせていただきます。

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藤田協議委員
(電機連合)

 バブルが崩壊し、国際化、グローバル化が進み、さらには社会的には少子・高齢化による多くの課題が山積している中でのマクロ的な経済情勢、雇用情勢については、いつもながらのJC本部による丁寧な分析論文が報告されていますので、繰り返すことはいたしません。ただ、電機産業においては、現場の感触を含めた雇用を取り巻く状況分析は、さらに深刻の度を増していることについて、具体的な3つの事象を補足的に報告しまして、意見につなげてまいりたいと思います。


 第1は国際競争力の観点です。85年の円高ショックから失われた90年代に至って、残念ながら電機産業の国際競争力をあらわす比較優位係数は大きく落ち込んでいます。この比較優位係数100以上を優位と位置づけているわけですが、88年当時電機産業は270でありましたが、96年にはそれが170程度と6割程度に落ち込み、さらに以降落ち込みを続けているわけです。いまだ平均以上の比較優位は保っていますが、製品輸入比率の増大とあわせて、かつて誇っていた圧倒的な輸出産業としての優位性は完全に失われています。
 第2は国内の空洞化の問題です。電機産業の国内の雇用者の推移は、1992年がピークで約250万人弱でした。これが2000年には210万人程度と40万人弱が減少しています。一方で、海外に進出している現業の雇用者数については、1992年当時80万人弱であったものが、2000年には約150万人ということで、ほぼ倍増しているわけです。
 150万人という数字は、電機連合75万人の倍であり、海外には組織拡大の要素がたくさんあるわけですけれども、残念ながら手が伸びるわけではありません。40万人減に対して海外進出企業の雇用者数は80万人から150万人に倍増しているという事態に立ち至っております。
 第3点目は製品の価格破壊の問題です。電機製品はご承知のとおり、付加価値をつけたものがさらに安くなって売られる、こういう消費生活面では優等生という位置づけだと思うわけでありますが、このことは反面、企業にとっては大きな収益圧迫要因になっていることは事実であります。さらには結果として私たち勤労者の労働条件や雇用をも脅かす要因にもなっているわけです。
 ちなみに電機製品全体として90年対比での価格下落率を2001年時点ではかってみると、おおむね40ポイント近く下落をしています。ご承知のとおり、半導体に至っては1年で5分の1、10分の1というありさまであり、全体としても価格の下落というよりは、まさしく破壊という状況にありまして、売っても売ってももうからず、こういう状況にあるわけです。
 このような中で、電機産業さらには各企業の業績が急速に悪化をしています。この要因は、世界的な景気の低迷という循環的要因に加えて、今申し上げましたとおり、国際的には20分の1、30分の1と言われる労働コストの中国をはじめとするアジア諸国の台頭、これらとの競争による国際競争力の低下、さらには空洞化の問題など、国際化、グローバル化による影響をはじめとする構造的な要因が大きくのしかかっているものだと考えていますし、まさに電機産業にとって雇用対策は正念場にあると言って過言ではないと思います。
 このような中で、電機連合としては、11月6日に臨時代表者会議を開催しまして、2002年闘争におけるベア要求の見送りとあわせ、鈴木委員長を本部長とする緊急雇用対策本部の設置を決定しました。この緊急雇用対策本部は大きく分けて2つの目的を持ちたいと考えています。
 1つは、当面予測される合理化に対して、産別本部、地協、単組、それぞれにおいて弁護士、あるいは中小企業診断士をアドバイザーに加えた具体的な対策の強化を図っていこうということです。
 2つ目に、この秋に設立された電機経営者団体(電経連)に対しては、当面する緊急避難的な雇用確保のための施策の検討と同時に、ワークシェアリングの具体論、さらには雇用システムのあり方、非典型労働者への対応、職業アカデミー構想など、中期的な課題も含めた研究の場として、雇用安定のための労使共同研究委員会の設置を申し出ることにしました。
 具体的にはこれから詰めたいと思いますが、いずれにしても、この2002年闘争を雇用維持安定のための大きな節目として、労使合意など具体的な成果を、労使の英知を結集して目指していきたいと考えています。
 さて、このような状況は電機産業だけに起きているわけではないと考えます。製造業、なかんずく国際化、グローバル化の荒波の真っただ中にあります我が金属産業のすべてに言えることでもありますし、明日は我が身ということが十分予測されるわけです。
 時代が大きな転換期に来ていることはご承知のとおりであります。JCとしての闘争方針で、基本的な考え方、あるいは具体的な取り組みの第1に雇用の維持・確保のための基本的枠組みづくりを挙げていただいたことに対しては、全面的に賛意を表すると同時に、この実現に向けて電機連合としても最大限の努力を傾注してまいりたいと思っています。
 あわせまして、新議長におかれましては、電機連合委員長という立場よりさらに高いJC議長という立場で強力なリーダーシップを発揮していただき、JC並びに構成する産別、単組、それぞれ一体となって雇用の安定に向けた役割をきちっと果たしていくことをぜひご指導いただきたいと思います。
 さらに、肝心なことでありますけれども、一方ではJCの中でも業績動向によってベアを要求できる環境にあるという判断から、ベアを要求される産別、単組があると思います。私ども電機連合として足かせにならぬようJC共闘の一員としてしっかり支えてまいりたいということを加えさせていただいて、電機連合としての意見にかえさせていただきます。

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今泉協議委員
(非鉄連合)

 まず、取り組む環境の認識については、改めて申し述べるまでもありませんが、大きな時代の転換期にあるというとらまえ方については全く同感でして、同時に環境の厳しさを痛感する次第です。
 私どもの産業も、かつて中心事業でありました国内鉱山の閉山という歴史を経て、大きく各企業とも業容転換を進めてきましたけれども、それだけに我々の産別運動の歴史は合理化の歴史といっても過言ではありません。今また、この時点で大きな変化の波にさらされておりまして、ようやく基盤を固めつつある業容の転換もこの不況の需要減で不振を極めておりますし、もちろん中心事業である非鉄金属部門についても、史上最悪とも言える安値攻勢で業績は大幅に悪化しているという厳しい状況の中で、各企業とも事業構造の改革が厳しく進められているという状況です。したがって、産別内で今検討しているところですが、来春闘については統一してベアに取り組むというような状況にはなかなかなりきれないというのが実態だと思っています。
 9月のJC大会においても、私どものほうから雇用確保の重要性について発言させていただきましたけれども、状況はさらに悪化しており、まさに一刻の猶予もならないという危機感を抱いているところです。
 その意味で、JC本部が雇用維持・確保の取り組みを2002年闘争の第1の柱として、雇用の危機的状況に歯止めをかけ、労働組合全体の取り組みにするということについては、まさに時宜を得た判断ということで評価をしたいと思います。
 かつての春闘であれば、今回の方針はおそらく求心力のない離散型の春闘と言われかねないし、労働条件向上を連合でもJCでも放棄したのかというような批判をされたかもしれません。しかし、JCが基本認識としているように、時代は大きく変わろうとしています。これまでの公式なり図式が当てはまらない時代になりつつある中で、我々の取り組みも変わらざるを得ないという認識に立った場合、改めて今次JC本部の提案は妥当な方針だと評価する次第でありますけれども、一方ではまた変化の先が見えないという不安を覚えることも事実です。
 今、日本のものづくり産業は急速に進む空洞化に脅かされており、その中での雇用の維持・確保は容易な取り組みではありません。賃金の切り下げさえも現実味を帯びてきました。そのような状況にあっても、我々は雇用と暮らしを守る取り組みに全力を傾注していきますけれども、一方でJCが提唱するように、公正、有効に機能する市場経済と人間尊重の経済・社会システムづくりを目指す政策制度の取り組みに、今後はより一層力を注いでいく必要があると私どもも考えます。労使合意による社会的合意形成をもとに、日本を変えていく議論に私どもも積極的に参画していきたいと考える次第です。
 これまでもJCは政策制度の取り組みに力を入れ、政府なり経営側への働きかけを積極かつ強力に行ってきました。この点、政策立案に当たるご担当の方々のご努力に深く敬意を表するところです。
 今後もさらに勤労者の立場に立った継続的な取り組みに期待をするところですけれども、求められているのは政策を実現する手段にあると思われます。JCの取り組みとして、各方面に働きかけていくことはもちろん大切なことであり、今後も、ものづくり産業の核として機能していただきたいと考えますが、働く者の視点で日本を変えていく核となるべきは、やはり連合ではないかと考えます。
 その観点から、JCが連合の金属部門を担う立場で、連合運動をより一層強化しようとするさまざまな取り組みを強く支持し、また、期待するものです。非鉄連合も、微力ではありますが、JCの一員としてその方針を支持し、精いっぱいの協力をしてまいる所存であることをここに表明しまして、意見にかえさせていただきます。す。

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津村協議委員
(造船重機労連)

 大変厳しい状況の中で、造船重機労連としましては、従来にない内部論議を重ねまして、最終的にベア要求を決断しました。言うまでもなく来春の取り組みはこれまでとは様相を大きく違え、広い幅を持ったJC共闘になるという受けとめをしています。
 したがいまして、今回のJC共闘の結果が将来にわたっての大きな転換期となる取り組みになるわけですが、7産別それぞれがそれぞれの事情の違いを乗り越え、JC共闘を大事にしようとの意思のあらわれであると認識し、それぞれの立場を認め合うことが必要であり、であるがゆえにでき上がったこのJC方針であると理解をしております。
 問題は来春の結果がJC共闘の将来にわたっての試金石となるということであり、そのためには来春の取り組みにおいて各産別がそれぞれの掲げた方針に対し、JC共闘を軸として方針どおり目的を達成しなければならないということであると思っています。
 つきましては、JC本部を軸とした各産別の連携強化を従来以上に進めていただくよう要請しまして、造船重機労連としての要望とさせていただきます。

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