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2002年12月3日
金属労協

2003年闘争の推進

CONTENTS
T.2003年闘争をとりまく情勢
U.今後のJC共闘の基本的な取り組み方向
V.2003年闘争におけるJC共闘の推進
W.具体的な取り組み
X.2003年闘争のすすめ方

T.2003年闘争をとりまく情勢


@わが国経済は、2001年秋以降の大幅な量的金融緩和の実施、アジア向けを中心とした輸出の好調などにより、一時的とはいえ2002年前半には明るさの見える状況となっていました。しかしながらその後、大幅金融緩和にブレーキがかかったことに加え、アメリカ経済の先行き不安が高まったことや、政府の打ち出した金融機関の不良債権を2004年度に半減するという方針が実体経済に大きな打撃を与えることが懸念されていることなどから、株式市場がプラザ合意後最安値を更新し、一段の下落を見せるなど、雇用を含め経済全体の先行きに対して、まさに底割れが懸念される状況となっています。
・2002年4〜10月期の消費者物価上昇率は、前年比△0.8%となっています。2002年前半には、一時デフレが縮小傾向にありましたが、その後は改善が進んでいない状況にあります。なお内閣府の試算では、2002年度の消費者物価上昇率は△0.7%と予測されています。
・完全失業率は5.4%と、既往最悪の水準で高止まり状態が続いています。失業期間1年以上の失業者も今や100万人を超え、失業者全体の28.6%を占める状況にあります。
金属産業に働く就業者数は、2002年に入るとマイナス幅が拡大し、1〜9月期の平均で前年に比べ26万人も減少しています。
・勤労者世帯の消費支出は、2002年6、7、9月と名目で前年比プラスに転じ、平均消費性向も6月以降前年を上回るなど、改善の兆しを見せていましたが、実収入や可処分所得の前年割れが依然として続いており、持続的な改善は困難と見られています。

A不良債権処理の最終決着は、それ自体は日本経済の抜本的立て直しのために不可欠な政策です。しかしながらその実行に際しては、実体経済に対する打撃を緩和するため、量的金融緩和政策の再強化と行革減税(今後の行革の成果を財源とする減税)の実施など、総合的なデフレ対策を実施し、あわせて雇用を中心としたセーフティーネットを構築することにより、景気底支えとデフレの解消、国民生活の安心・安定の確保を図っていくことが不可欠です。2002年10月に政府が決定した「改革加速のための総合対応策」は、そういった観点からすると不十分といわなければなりません。
とりわけセーフティーネットに関しては、不良債権の最終処理により大量の離職者が生じ、失業率がこれまで以上に悪化することが懸念されることから、金属労協の主張する雇用保険の抜本的拡充、コミュニティ・スキルアップ・カレッジの全国展開、美しい日本再生事業団の創設など、従来の枠を越える抜本的なセーフティーネットの構築が不可欠となっています。

B中国製造業の台頭など、グローバル経済下における国際競争がますます激化し、産業・企業の収益動向も、全体として悪化するなかで優勝劣敗の構図がこれまで以上にはっきりしてきています。
 また、生産拠点の中国への急激なシフトなどにより、ものづくり産業の国内生産基盤弱体化が懸念される状況となっています。わが国金属産業にとって、環境分野などを中心とした最先端製品の開発や、高機能部品を複雑に組み合わせて統合する「インテグラルなものづくり」による高付加価値化の追求、エネルギー・輸送コストなどをはじめとする産業インフラの高コスト是正などが不可欠となっています。

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U.今後のJC共闘の基本的な取り組み方向

2002年闘争は、私たちに、グローバル経済化・市場経済化の進展や、国内外の競争激化・生産拠点の海外移転、国境を越えた産業・企業の再編など、とりまく環境の構造的な変化のもとで、「国際競争と労働コストの関係」をどう考えるかと同時に、「国内におけるものづくり産業の発展基盤をどのように維持・強化していくか」の課題を突きつけました。
こうした課題は、2002年闘争に限らず、中長期的な金属産業自体の構造に関わる課題であるとともに、金属産業の賃金・労働条件のあり方を考える上で、整理しなければならない極めて重要な課題です。
 これまでJC共闘は、右肩上がりの経済成長というマクロ環境のもとで、賃金の引き上げ幅中心に取り組みを展開してきました。しかし、中長期的に経済成長の制約が強まることが想定されることや、当面デフレ経済下におかれるものと考えられることなどの大きな環境変化の下で、JC共闘をさらに強化すべく、新たな共闘軸を構築し、金属産業勤労者のあるべき賃金・労働条件を追求することが必要となっています。
 金属労協は、こうした観点から、今後のJC共闘の推進において、下記の基本方向を見定めつつ、「賃金・労働政策」の補強・見直しのなかで、さらに検討を深めていくこととします。

1.新たな共闘軸の構築による総合労働条件改善の取り組み

 春季総合生活改善闘争をとりまく環境が変化するなかで、賃金・労働条件決定の枠組みの見直しとともに、成果配分の求め方が大きな課題となっています。
 JC共闘は、これまでもその時々の社会的ニーズに応じて、労働時間短縮や60歳以降の就労確保などを先行して提起すると同時に、共闘としての取り組みの推進により、大きな成果を上げてきました。
 金属労協は、こうした観点から、JC共闘を更に強化すべく、賃金・一時金などを含めた社会的に共通化すべき総合的な労働条件改善に向けて、新たな共闘軸の構築を図り、運動の発展をめざしていくこととします。

2.個別銘柄別・絶対額賃金水準による金属産業勤労者の賃金水準の改善

 これまで金属労協は、賃金要求の柱として、「個別銘柄別賃金決定方式の確立」の重要性を提起し、35歳標準労働者の到達水準、および純ベア引き上げ額を中心にして、賃金闘争を進めてきました。今後は、この考え方をさらに一歩推し進め、個別銘柄による絶対額賃金水準を重視し、金属産業のあるべき賃金水準を追求する取り組みをすすめます。
 金属産業の競争力を維持・強化していくためには、高付加価値化戦略等によって、産業基盤の強化を図るとともに、発展途上国の製品との差別化を図っていく必要があります。しかし、そうした対応をとるにしても、金属産業の賃金は全産業平均に比べて依然として低位におかれており、優秀な人材確保の観点から、今後とも人的資本への投資が不可欠であると考えます。
 ものづくり産業として技術・技能を継承・育成し、産業・企業を支える人材を確保するとともに、事業構造改革に取り組む組合員のモラールを維持する観点からも、個別銘柄による絶対額賃金水準を重視した取り組みによって、金属産業のあるべき賃金水準を追求することが必要です。
 また、金属産業勤労者の賃金水準のあり方については、産業・企業間の賃金格差や、生計費、先進国を含む国際比較などについて総合的な検討を行っていくこととします。

3.ミニマム運動の強化による賃金水準の下支え

 金属産業としては、あるべき賃金水準の追求と同時に、賃金水準の下支えとなる年齢別最低賃金協定や企業内最低賃金協定など、賃金水準の最低規制の取り組みをより一層強化していかなければなりません。
 賃金の最低規制強化にあたっては、その水準設定の根拠を理論整理することが重要であり、最低生計費の考え方なども含めて、検討を深めていく必要があります。
 同時に、企業内における賃金の最低規制である企業内最低賃金協定の締結を、法定産業別最低賃金の取り組みに連動させ、未組織労働者も含めた産業全体の最低賃金運動へと社会的な広がりを構築することが重要です。雇用形態の多様化が進むなかで、労働組合の社会的な責務として、非典型労働者を含めた金属産業全体としての賃金のセーフティーネット構築をめざした取り組みを前進させていきます。

4.大くくり職種別の社会的賃金水準の形成をめざす取り組み

 経済のグローバル化と産業構造の転換によって雇用の流動化が進み、非典型雇用が増大するなど、労働市場が変化しています。そうしたなかで、産業ごとに進展に違いはあるものの、仕事や職種を要素とした賃金決定の傾向が強まっています。
 金属労協は、こうした変化を踏まえ、現行の標準労働者銘柄を基点として、大くくり職種別の社会的賃金水準の形成をめざしていくこととし、具体化に向けた課題等について、「賃金・労働政策」の見直し・補強のなかで早急に検討をすすめていきます。

5.公正処遇ルールの確立

 雇用形態の多様化が急速に進展していますが、典型労働者と非典型労働者の賃金・労働条件には格差が存在しており、公正処遇ルールの確立が急がれています。現状では、典型労働者間においても、同一職務であっても賃金・労働条件が異なる実態を踏まえつつ、同一価値労働・同一賃金の観点から、公正処遇ルールの確立を図ることが必要です。
 金属産業における雇用形態の多様化の実態を把握するとともに、公正処遇ルールの確立に向けて、そのあり方や実現に向けた取り組みについて検討を深めていくこととします。

6.連合・部門別共闘強化の観点からのJC共闘のあり方について

 企業間競争が激化していることから、総合労働条件改善にあたっても、産業・企業のおかれた取り組み環境の違いが顕在化し、統一的な共同闘争の推進を困難なものにしています。このため、各産別の自主性(多様性)と共闘としての統一性にどのように整合性を保持するかも課題として認識しておかねばなりません。
 連合は、春闘改革のひとつとして、産業別部門連絡会の機能強化をはかり(機能=共通認識の醸成、構成=再編を含め検討)、部門連絡会の調整のもとで、産別の自主決定に委ねていくとの改革方向を明確に打ち出しています。これは中期的に部門別共闘の強化によって社会的な配分機能を強めようとするものです。
 連合の部門別共闘の強化は、JCの改革視点とも合致するものであり、JC共闘はそうした再編整備を積極的に推進してきた共闘組織として役割を認識しつつ、部門共闘の役割を果たすべく、新たな共闘軸の構築など取り組みを強化していくこととします。

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V.2003年闘争におけるJC共闘の推進

1.改革に向けた第一ステップとしての取り組みの推進

  金属労協は、更に厳しさを増すマクロ経済環境と雇用情勢のもとで、中長期的観点からの春闘改革方向とJC共闘のあり方をにらみつつ、2003年闘争をその改革に向けた第一ステップと位置づけて、取り組みを推進します。
2003年闘争においては、JC共闘全体として、一時金の最低獲得水準の明示など労働条件全体への適正な配分の追求を通じた、総合労働条件改善のための闘争を強化していくこととします。
同時に、「個別銘柄別・絶対額賃金水準による金属産業勤労者の賃金水準の改善」という取り組み視点から、個別銘柄別の絶対額賃金水準を重視し、産業・企業の実態を踏まえて、金属産業のあるべき賃金水準をめざした取り組みを行うこととします。

2.雇用と生活不安払拭のための取り組み強化

  厳しさを増すマクロ経済環境と雇用情勢のもとで、雇用と生活不安払拭のための取り組み強化が必要となっています。
  賃金・労働条件の取り組みにおいては、新たに35歳の賃金の最低到達基準を「JCミニマム(35歳)」として設定し、金属産業勤労者の賃金水準を明確に下支えを図る運動を展開します。また、一時金の最低獲得水準を明示し、年間総賃金の観点から、一時金の安定確保に向けた取り組みを強化することとします。
また、セーフティーネットとしての雇用対策など政策・制度の取り組みによって、勤労者の雇用と生活不安の払拭の実現をめざすとともに、金属産業をはじめとするものづくり産業の国内生産基盤の再強化を図るべく、産業政策の取り組みを展開していくこととします。

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W.具体的な取り組み

1.賃金・労働条件

【基本的な考え方】
 労働条件全体への適正な配分をめざす中で、下記の考え方を基本に取り組みます。

(1) 「JCミニマム(35歳)」などによるミニマム運動の推進
日本経済が更に悪化し、雇用環境についても危機的状況に追い込まれることが懸念されています。生活不安の払拭、雇用形態の多様化に対応した公正処遇の確立などの観点から、ミニマム運動を強化します。
取り組みにあたっては、35歳における4人世帯の最低生計費、賃金実態等を総合的に勘案した上で、35歳の賃金の最低到達基準を「JCミニマム(35歳)」として設定し、金属産業勤労者の賃金水準を明確に下支えを図る運動を展開します。
同時に、18歳最低賃金協定の締結によって、企業内における全ての勤労者の賃金水準の下支えを行うとともに、法定産業別最低賃金の取り組みと連動させることによって、未組織を含めた金属産業勤労者全体の賃金水準の底支えを図るべく、取り組みを強化します。
各産別は、こうした考え方を踏まえ、それぞれの具体的な取り組みによって、JC全体の取り組みを展開していくこととします。

(2) 賃金構造維持分の確保と賃金制度整備による賃金水準の維持・確保
現行の賃金水準を維持するためには、現行賃金制度・体系に基づく制度的な昇給、すなわち「定期昇給(相当)分、昇進・昇格源資など」の実施によって、賃金構造維持分を確保することが必要です。
最近、多くの企業で、賃金制度の見直しが行われ、成果・能力主義的な要素が高まっています。しかし、いかに能力給の比重が高まろうと、能力評価に基づく標準的なスキル・パスは存在しており、賃金構造維持分を確保することによって、賃金水準の維持・確保がされなければなりません。
また、金属労協全体としては、賃金体系が制度的に確立されていないところが多い実態にあり、賃金制度整備が極めて重要な課題となっています。賃金構造維持分を確保できないことによって結果として賃金水準が下がることのないよう、JC共闘全体として、定期昇給制度を含む賃金制度整備を図っていくこととします。同時に、賃金制度整備を通して、配分方式の確立を図ることとします。

(3) 金属産業にふさわしい賃金水準をめざす取り組み
金属労協では、金属産業にふさわしい賃金・労働条件の確立という基本的考え方を堅持し、金属産業の賃金水準の維持・改善を図るため、個別銘柄別の「絶対額賃金水準」を重視した取り組みをすすめます。
2003年闘争においては、経済成長率は名目でマイナス、消費者物価上昇率もマイナスが予想されるものの、産業・企業の状況を踏まえて、賃金水準改善の取り組みを行います。

(4) 一時金水準の安定確保に向けた取り組み強化
一時金においては、業績を反映する傾向が強まる一方、企業業績は、現状・見通しとも格差が拡大している実態にあります。しかし、業績によって過度に一時金の水準が変動することになれば、生活の安定を脅かすことになりかねません。
一時金は、生計費の一部という性格と、業績などの成果還元という性格を持っています。生活の安定確保の観点から、金属労協として最低でも獲得すべき水準を示すこととします。

【具体的な取り組み】
(1) 「JCミニマム(35歳)」などによるミニマム運動の推進
@「JCミニマム(35歳)」の確立
・金属産業で働く35歳の賃金の最低到達基準を「JCミニマム(35歳)」として示すこととします。
・「JCミニマム(35歳)」は、210,000円とします。

A企業内最低賃金協定締結の強化
・金属産業の18歳最低賃金の金額水準は、149,500円以上とし、全単組での締結をめざします。
 協定締結にあたっては、パートタイマーなど臨時従業員も含む全従業員を対象とした企業内最低賃金協定の締結をめざします。パートタイマーなど臨時従業員の最低賃金については、時間あたり賃金で保障することとします。
・18歳以降の年齢ポイントにおいても、年齢別最低賃金の協定化に向けて取り組みを進めます。

B法定産業別最低賃金の取り組み強化
・金属産業に働く勤労者全体の賃金水準の底支えを図るため、法定産業別最低賃金の金額改正、新設に取り組みます。

(2) 賃金水準の維持・確保の取り組み
・金属労協傘下のすべての組合は、賃金水準の維持・確保を図るため、賃金構造維持分確保の取り組みを強力に進めます。
・定期昇給(相当)分込みで取り組む組合については、産別の指導のもとで、実態を踏まえて対応することとします。なお、定期昇給(相当)分は、金属労協全体として2%(6,000円)程度とします。
・賃金制度が確立していない場合は、制度確立に向けた取り組みをすすめていくこととします。

(3) 金属産業にふさわしい賃金水準をめざす取り組み

賃金水準改善については、産業・企業の状況を踏まえて、主体的に取り組みを行うこととします。

(4) 金属労協における標準労働者の目標水準
@標準労働者の到達目標
*集計対象A組合(1,000人以上)の賃金水準に基づき、上位平準化のための取り組み目標として設定
・高卒35歳・勤続17年・技能職を309,000円以上
・高卒30歳・勤続12年・技能職を266,000円以上

A標準労働者の最低到達目標
*金属産業における賃金格差の圧縮を図るため、全単組の到達をめざす水準として設定
・上記、標準労働者の到達目標の8割程度

(5) 一時金水準の安定確保に向けた取り組み強化
一時金の要求は、年間5カ月を基本とします。
年間総賃金の安定確保にむけて、一時金に占める固定的支出部分が4カ月程度あることを念頭に、最低でも年間4カ月を確保することとします。

(6) 60歳以降の就労確保
60歳以降の就労確保は、2000年闘争以来、JC共闘の重要な取り組みの柱として金属労協全体で強力に取り組みを継続してきています。それは年金満額支給開始年齢との接続により生計費を確保するという視点だけでなく、今後のわが国の経済・社会において、「新たな働き方」の構築につなげるとの考え方を踏まえたうえで、労働力の減少を補完し共に国民負担を負うという観点、やりがいのある生き生きとした高齢者生活を実現するための選択肢として、また、技術・技能の継承・育成のための取り組みとして提起したものです。今次闘争においてもこの考え方を踏まえ、現在までに1,012組合で獲得した成果を、更に金属全体・社会的に波及させるべく、以下の3原則を基本に、粘り強く取り組みを展開していくこととします。
(60歳以降の就労確保の3原則)
・働くことを希望する者は、誰でも働けること。
・年金満額支給開始年齢と接続すること。
・60歳以降就労するものについては、引き続き組織化を図ること。


(7) その他の労働諸条件
@退職給付の制度整備

退職金、企業年金などの退職給付制度の改定を行う場合は、制度改定によって給付水準が低下することのないよう、等価転換の原則に留意した制度改定を行うこととします。
 また、産業・企業の実態を踏まえて、退職給付水準の引き上げに取り組むこととします。

A労災ならびに通災付加補償
金属産業に働く者の死亡ならびに障害等級1〜3級(退職)の付加補償水準として到達すべき3,200万円に未到達の組合は、当面3,200万円への引き上げをめざした取り組みをすすめます。
通勤途上災害についても、労災に準じて取り扱うことを基本に、取り組みを強化します。



2.年間総実労働時間短縮を通じた雇用の維持・確保の取り組みの推進

【基本的な考え方】
2002年闘争における雇用の維持・確保の取り組みでは、産業労使会議での確認、企業労使による雇用安定協定の締結・労使共同宣言・議事録確認・回答書などにより、経営として雇用の維持・確保に最大限努力をしていくとの労使確認を行いました。こうした成果を踏まえて、雇用の維持・確保の具体的な取り組みの一つとして、年間総実労働時間短縮を図ることとします。

【具体的な取り組み】
(1) 年間総実労働時間1,800時間台達成に向けた対応
金属労協は、「年間総実労働時間1,800時間台達成を21世紀に持ち越さない」取り組みを進めてきましたが、未達成のままとなっています。労働時間短縮は、これからの「新たな働き方」のベースを規定づける取り組みであるとともに、雇用の維持・確保の観点からも、労働時間短縮の重要性が増しています。
こうした観点から、今後とも、これまでの基本的な考え方を堅持し、各産別・単組の実態を踏まえて取り組みをすすめることとします。

(2) 雇用の維持・確保に向けた年間総実労働時間の削減
失業率が5.4%程度(2002年9月)で高止まりとなっている中で、不良債権処理の加速など、今後、雇用環境が更に悪化することが懸念されており、2003年闘争においては、雇用の維持・確保の観点からも、年間総実労働時間の短縮が重要となっています。産業状況の違いを踏まえれば、現状では一律的な超過労働の上限枠の設定は困難ですが、超過労働削減の問題を交渉のテーブルにのせることによって、産業・企業の実態を踏まえた具体的な取り組みを図ることとします。
さらに今後は、年間総実労働時間の削減に向けて、JC共闘として超過労働の上限枠の設定や、その他の年間総実労働時間短縮のための有効な手段について検討を深めていくこととします。


3.政策・制度、産業政策の取り組み

【基本的な考え方】
わが国経済は、今もってバブル崩壊以降の長期低迷を脱することができず、デフレが進行し、既往最悪の雇用情勢が続いています。2001年秋以降に行われた大幅な量的金融緩和政策と、アジア向けを中心とした輸出の好調により、2002年に入って、いったんは景気に明るさの見られるところとなり、デフレも緩和傾向となりましたが、その後、大幅緩和政策にブレーキがかかり、マネタリーベース拡大が緩やかになったこと、アメリカ経済の先行き不安が高まったことなどから、景気は底割れも懸念されるきわめて困難な局面に追い込まれています。
一方、わが国の閉塞状況を打開し、長期的な発展軌道を取り戻すためには、金融機関不良債権の最終処理などをはじめとする、構造的諸課題の解決が不可欠となっています。しかしながらこうした対策は、雇用問題の発生など、かなりの痛みを伴うこともまた事実です。金属労協は、雇用の維持・回復を図り、このような痛みをできるだけ和らげるための景気回復・デフレ解消策の実現、雇用におけるセーフティーネットの構築に向けて、政策・制度活動を展開していきます。
中国製造業の台頭など、グローバル経済下における国際競争がますます激化しています。とりわけ中国への生産拠点の急激なシフトなどにより、ものづくり産業の国内生産基盤の存続が懸念される状況となっています。わが国金属産業として、環境分野などをはじめとする最先端製品の開発や、インテグラルなものづくりによる高付加価値化の追求、そしてそれらを支えるためのものづくり基本法、ものづくり基本計画の具体化による技術・技能の継承・育成、エネルギーコスト、輸送コストなどを中心とした産業インフラの高コスト是正に取り組んでいきます。

【具体的な取り組み】
(1) 景気回復・デフレ解消に向けた政策の実現
2001年秋から2002年春にかけて実施されたマネタリーベースの大幅拡大は、緩やかながら景気回復基調とデフレ緩和をもたらしました。しかしながら2002年5月以降、日銀はマネタリーベース増加率を抑制するスタンスをとっており、これが景気の悪化につながるとともに、資産価格を下落させ、金融機関の不良債権を一層膨張させることとなっています。
金属労協として、量的金融緩和政策の再強化を求めるとともに、多年度税収中立型ではなく、今後の行革の成果を財源とする行革減税の実施などにより、景気回復とデフレ解消、資産価格の回復を図り、不良債権の最終処理を円滑に進めていくための環境づくりに取り組んでいきます。

(2) セーフティーネットとしての雇用対策三本柱の実現
 失業率が既往最悪水準で推移しているのに加え、金融機関不良債権の最終処理により、大量の離職者が生まれ、雇用情勢はさらに深刻化することが予想されます。こうした状況に対応するセーフティーネットとして、金属労協は以下に掲げる雇用三本柱の実現を図ります。
・雇用保険求職者給付基本手当の給付期間を、中高年を中心に最長2年間に延長することを柱とした雇用保険の抜本的拡充。
・中高年失業者に対するスキルアップ型職業訓練の実施、職業訓練と職業紹介の一体化をめざすコミュニティ・スキルアップ・カレッジの全国展開。
・不良債権の最終処理促進に伴って発生することが予想される離職者を対象とした雇用の受け皿としての「美しい日本再生事業団」の創設。

(3) 金属産業をはじめとするものづくり産業の国内生産基盤の再強化
 グローバル経済・市場経済下における国際競争の激化、中国製造業の台頭などにより、金属産業をはじめとする、わが国ものづくり産業の国内生産基盤の存続が懸念されています。金属労協として、技術・技能の継承・育成を核とした、ものづくり産業の国内生産基盤の再強化を図ります。
・ハイブリッド自動車、燃料電池、太陽電池、マイクロガスタービン、ITS、テクノスーパーライナー、風力発電機、高性能工業炉、二足歩行ロボット、亜音速旅客機など、環境分野をはじめとする最先端製品の開発の加速化、高機能部品を複雑に組み合わせて統合する「インテグラルなものづくり」による高付加価値化の促進。
・基礎教育から大学・大学院、生涯教育に至るまでのものづくり教育の拡充、高度熟練の卓越した技術・技能者の統合的な公的評価制度、顕彰制度の確立、などによるものづくり技術・技能の継承・育成。
・電力料金、ガス料金などエネルギーコスト、高速道路料金、空港使用料、港湾使用料など輸送コストを中心とする産業インフラの高コスト是正。


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X.2003年闘争のすすめ方

1.闘争日程の大綱

 闘争日程の大綱としては、以下のとおりとしますが、具体的日程は闘争情勢を踏まえながら、戦術委員会、中央闘争委員会で決定します。とくに闘争の山場の設定については、これまで同様、JC共闘としての集中回答の枠組みを堅持していくこととします。

(1) 前段の取り組み
 金属労協は2002年7月に「金属労協 政策・制度要求」を取りまとめ、9〜10月にかけて、「労働・雇用政策」「ものづくり産業の基盤強化」「行政改革」「財政再建と財政構造改革」「税制改革」「社会保障制度改革」「規制の整理・撤廃、内外価格差是正」「金融政策」の各項目について、厚生労働省、総務省、文部科学省、環境省、内閣府、国土交通省、経済産業省、財務省の各府省、民主党に対して懇談・要請を行いました。
「労使合意による社会的合意形成」に向けた取り組みでは、「金属産業労使会議」のもとに、ワーキングチーム会議を設置し、金属産業の基盤強化に向けた労使の検討を深め、12月2日開催の「金属産業労使会議」にワーキングチーム会議としての取りまとめを報告することとなっています。
11月13〜14日には、「政策・制度シンポジウム」を開催し、金属労協の政策・制度要求を中心に、政策・制度課題について相互理解を深めました。
11月14〜15日には、「2003年闘争シンポジウム」を開催し、2003年闘争の取り組み方向、各産別の闘争を取りまく状況について相互に理解を深めました。

(2) 要求討議と集約
 各産別・単組は、協議委員会後ただちに要求策定に着手し、2月中旬までにはそれぞれの機関手続きを経て集約することとします。金属労協はこの間、1月16〜17日に闘争方針の理解促進と直近の情勢把握を行うため、2003年闘争中央討論集会を開催します。
また、12月に予定されている日本経団連・経営労働政策委員会報告に対して、金属労協としての反論を行っていくとともに、団体交渉対策資料として「2003年闘争ミニ白書」を作成していきます。

(3) 要求提出と団体交渉の強化
 要求提出は速報対象組合を中心に2月第4週までに行い、ただちに団体交渉を開始することとします。また、金属労協として、統一交渉ゾーンを設定し、交渉ペースを可能な限り揃え、共闘の相乗効果を高めていきます。
 各産別は、統一交渉ゾーンを中心に産別交渉、巡回折衝など産別レベルでの取り組みを強化し、各単組の交渉を支える取り組みを行うこととします。また、3月初旬に開催する2003年闘争推進集会については、あり方を含めて検討をすすめていくこととします。

(4) 闘争の山場の設定と全体の解決目標
闘争の山場については、共闘全体として最大の効果を引き出せるよう、連合とも十分な調整のうえ、具体的には戦術委員会において決定します。
金属労協は、従来より3月月内解決をめざして取り組みをすすめてきました。2003年闘争においても、各産別としてより求心力を高め、金属労協全体として3月月内解決の取り組みを更に強化し、中小組合を含めた相乗効果を追求していきます。

(5) 回答が受け入れがたいものであった場合の対応 
回答が受け入れがたいものであった場合、すばやく闘争体制を確立できる体制を整えておくことが、経営側への圧力を高め、納得ある回答の引き出しにつながる観点から、そうした対応の強化を図ります。

2.闘争機関の配置

 2003年闘争を推進するにあたり、闘争指導機関として次の委員会を設置します。

(1) 戦術委員会
闘争全般にわたる戦略・戦術の立案と推進を目的にした、闘争の最高指導機関として設置します。その構成は三役会議構成員とします。

(2) 中央闘争委員会
闘争全般にわたる戦略・戦術の実践を目的として設置します。その構成は常任幹事会構成員とします。

(3) 書記長会議
戦術委員会の指示に基づき、戦略・戦術の具体的内容の検討、相互の連絡調整を目的として運営します。

3.組織・広報活動

(1) 地方組織との連携 
 金属労協は、地方連絡会(地連)を2002年秋に解散し、地方組織の運営主体を、県単位の連合金属部門連絡会に移行すべく取り組みを進めています。その立ち上げの拠点として地方ブロック(本部直轄組織)を設置し、県単位の金属部門推進に取り組んでいます。
 春季生活闘争の推進に向けて、地方ブロックや県単位の研修会を開き、JC共闘の情報交換と相互理解および諸活動の実践を図るとともに、産業政策や最低賃金の取り組みに関わる研修会の開催についても、積極的に地方ブロック、あるいは金属部門連絡会と調整を行いながら推進していきます。

(2) 広報活動の推進
JC共闘の効果を最大限発揮するため、闘争の進捗にあわせて一体的な広報活動により闘争全体の盛り上げを図ります。また、「JC共闘FAXニュース」も活用効果を一層高めるべく充実を図ります。さらにホームページを活用した情報提供についても、より強化していきます。

4.他組織との連携

(1) 連合・金属部門連絡会との連携強化
金属労協は、連合・金属部門連絡会の活動を実質的に担う組織として、各種会議ならびに行事を積極的に展開し、2003年闘争の成功に向けて役割を果たしていきます。

(2) 化学エネルギー鉱山労協(ICEM-JAF)との連携強化
化学エネルギー鉱山労協との共闘は、これまでの両組織の連携を重視しつつ、闘争の節目節目に担当者会議を開催し、闘争の成功に向けて連携の強化を図っていきます。

以 上

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