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第154号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年1月13日)

スリランカの労働者が高インフレで苦闘

2022-10-27

【JCM記事要約】

  • 10月20日にスリランカ・コロンボにて生活賃金ワークショップが開催された。同国では食品価格の上昇率に賃金が追いついていない状況。ワークショップにて参加者は、生活賃金確保のため、分野別交渉やグローバル枠組み協定、政労使フォーラムなどについての議論を行った。
  • インダストリオール南アジア地域事務所のアプールヴァ所長は、賃金引上げの達成には産業別交渉メカニズムが必要であり、インダストリオールはブランドとメーカーに対し、労働組合とともに衣類部門の産業別賃金交渉を検討するよう要求する、と述べた。

 

10月27日:10月20日にコロンボで開催された生活賃金ワークショップで、労働組合員は、この国の労働者が生活賃金を支払われていない現状に対する懸念を示した。
                                                      

労働組合は全国最低賃金を2万6000スリランカ・ルピー(71米ドル)に引き上げるよう要求しているが、政府は応じていない。

スリランカでは9月に食品価格の上昇率が95%まで上昇したが、賃金は低いままである。一部の工場では、労働者は全国最低賃金の1万6000スリランカ・ルピー(44米ドル)しか支払われていない。自由貿易地域の移民労働者の賃金は住宅費にも足りない。地域で進行中の賃金危機はスリランカで最悪の形を取っており、この国は先例のない経済危機からまだ立ち直っていない。

危機発生前、労働者は低賃金にもかかわらず、超過労働手当、精勤ボーナス、交通機関、その他のインセンティブのおかげで何とか生活することができた。しかし、これらの給付が打ち切られてから、手取りが大幅に減少した。企業はインセンティブ廃止の理由として受注低迷を挙げている。

ワークショップ参加者は、これらの課題を克服するために、組合は現場における組合の力の構築と適正な賃金を求める共闘によって、生活賃金を確保する必要があることを明らかにした。参加者は、分野別交渉やグローバル枠組み協定、政労使フォーラムなど、生活賃金キャンペーンに効果的に利用しなければならないメカニズムについて議論した。

生活賃金の必要性に関する10月21日の円卓会議に出席した世界的な衣料品ブランドの代表は、衣料産業は現在、地球規模の高インフレが原因で生き残りをかけて活動していると述べた。

スリランカのメーカーは、価格を抑えて時間どおりに配達している他の南アジア諸国との厳しい競争にさらされている。ブランド各社は、スリランカの工場を稼働させ続けて労働者が職を維持できるようすると保証した。

インダストリオールに加盟している自由貿易地域・一般サービス従業員組合のアントン・マークス共同書記は言う。

「ブランドは、注文が途切れないようにすることによって社会的責任を果たさなければならない。メーカーが労働者に1万スリランカ・ルピー(27米ドル)の経済救済手当を払えない場合は、ブランドがメーカーを支援しなければならない。今こそスリランカ人との連帯を示すときだ」

組合・ブランド双方が、アパレル産業全体を変革し、労働者が適正な賃金を受け取れるよう保証する必要があることを認めた。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長が述べた。

「労働組合は、スリランカ全国、特に多数の女性労働者(その多くがシングルマザー)を雇用するRMG部門で、賃金を引き上げる必要があることを明確に理解している。それを達成するには産業別交渉メカニズムが必要だ。私たちはブランドとメーカーに対し、労働組合とともに衣類部門の産業別賃金交渉を検討するよう求める」

       

 

 

 

 

 

 

 

 

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