バングラデシュの業務災害保険――社会的保護の重要な役割
2026-01-28

社会的保護は国際的に認められた人権である。これはILO社会保障条約(第102号)やILO雇用の促進および失業に対する保護条約(第168号)のような文書に明記されており、失業保険・業務災害保険、老齢・出産給付、疾病手当といった要素を含む。
社会的保護の提供は国家の義務だが、国際的に認められた権利であるため、国連ビジネスと人権に関する指導原則に従って、企業にもこれを尊重する責任がある。
自社の製品・サービスを生産する労働者に十分な社会的保護を保証することは企業の利益にもなる。なぜなら、ILOが述べているように、社会的保護または社会保障は「生涯にわたって貧困と脆弱性を軽減・防止するために設計された一連の政策およびプログラムと定義」されるからである。つまり、人権の観点だけでなく、強靭な社会と安定したサプライチェーンの観点からも欠かせない。
バングラデシュの雇用保険制度(EIS)パイロット事業は、この国の既製服(RMG)労働者400万人を対象とする初の国家業務災害保険プログラムで、負傷した労働者と死亡した労働者の遺族に生涯にわたって支払いを行う。この基金は政府によって管理されているが、同国からのRMG輸出注文総額の約50%を占める90以上の世界的なブランドや小売業者から、自発的な追加拠出金を受け取っている。EISは複数の利害関係者による公共プログラム参加の成功例である。
インダストリオールは1月27日、労働者資本委員会、企業責任に関する宗派間センター、労働権投資家ネットワークとともに、ILOの技術支援を得て、EISに関するバーチャル投資家会合を共催した。この行事は、インダストリオールが2022年から開催している一連のウェビナーや会合の一環であり、社会的保護の重要性に対する投資家の認識と、EISのような取り組みの強化における投資家の役割を拡大することを目的としている。
参加者は年金基金、信仰に基づく投資家、大手資産運用会社などであり、講演者にはILOや世界的ブランド、スイスの投資家が含まれていた。バングラデシュ労働雇用省の高官がビデオを通じて、EISを制度化するための国家計画の導入に向けた政府の取り組みについて語った。
H&Mとプリマーク、PVHの代表が、EISに加盟した理由について話し、適切なガバナンス、信頼できる請求プロセス、予測可能な資金の流れによって、このパイロット事業の価値が証明されたと述べた。会合の最後に参加者との活発な意見交換が行われた。
「EISがなければ振り出しに戻り、各ブランドが1件ずつ負傷に対応する個別制度になってしまう」
H&M
「EISは『良い制度』がどういうものかを示す絶好の例だ」
プリマーク
サプライチェーンにおける企業の人権デュー・ディリジェンス強化を目指す規制が攻撃されたり弱められたりしているときに、投資家は、企業に人権への影響に対する責任を負わせるうえででますます重要な防護柵となっている。多くの大型投資家が「ユニバーサルオーナー」であり、経済全体で資産を保有しているため、システミックリスクの影響を受ける。
不十分な社会的保護は個々の労働者に影響を与えるだけでなく、生産性やサプライチェーンの安定性に波及する社会的リスクを生み出す。こうした関連性を投資家に明確に示すことは、EISのような重要な取り組みへの支持を確立する1つの方法であり、責任ある調達と労働者の効果的な社会的保護への道筋を示している。
クリスティーナ・ハジャゴス=クローゼン・インダストリオール繊維・衣料担当部長が次のように述べた。
「EISパイロット事業は、政府、ブランド、使用者、労働組合および投資家間の責任分担をうまく実証している。そして、企業のサプライチェーンで働く労働者が、その企業向けの生産中に負った傷害に対して公正な救済を受けることは、投資家の利益になる」
写真:1日の仕事を終えて衣料工場を後にするバングラデシュの衣料労働者
提供:Crozet M./ ILO
【原文記事URL】
Employment injury insurance in Bangladesh: the vital role of social protection | IndustriALL
