新着情報(海外労組交流)

FSPMI全国執行委員会開催(2010年2月7日)

2010年02月07日

インドネシアFSPMIが産別活動のさらなる発展を決意

2010年2月7日、インドネシア・ジャカルタ近隣の保養地であるプンチャックにおいて、FSPMI(インドネシア金属産業労働組合連盟)全国執行委員会が開催された。同会議では、組織拡大の動向、組織機構整備の状況、産業別活動の状況、会費納入状況などについて報告、財政課題などについて対応策を論議した。同会議にはインドネシア全国のFSPMI加盟単位労働組合の代表約200名が出席した。

IMF-JCはこの会議に招待され、若松英幸IMF-JC事務局長、村山恵一自動車総連国際グループ長、岩井伸哉IMF-JC国際局主任、松崎寛IMF-JC政策局主任が参加した。この全国執行委員会では、サイード・イクバルFSPMI会長からの来賓紹介を受け、若松英幸事務局長が来賓の一人として挨拶した。挨拶ではFSPMIの産別労働組合運動の発展や労使紛争の平和的解決への対応に敬意を表し、IMF-JCの労使紛争の未然防止のための取り組みや建設的な労使関係構築のための取り組みを、FSPMIとの協力によって推進していくことを表明した。

FSPMIはこの会議において、組織拡大の動向、組織機構整備の状況、産業別活動の状況、会費納入状況などについて触れ、イクバル会長は概ね順調に推移していると報告した。しかし財政支出の面においては、労使紛争に関わる会社からの提訴への対応として多額の訴訟費用への対応が課題であると述べた。

なお、IMF-JCのほかに、来賓としてAFL-CIOの外郭団体で労働組合支援NGOであるACILS(アメリカ国際労働連帯センター)のアジア太平洋地域担当者などが参加した。

またIMF-JCでは、この機会に、インドネシア国内のIMF加盟労働組合をはじめとする関係組織と、今後の協力関係について意見交換を行った。

充実した地域活動を展開するFSPMI FSPMI地方組織の現地調査で判明

FSPMI地方組織の調査のため、2010年2月9日から10日の二日間にわたり、岩井伸哉IMF-JC国際局主任および松崎寛IMF-JC政策局主任の2名を、FSPMIの地方組織のうち、スラバヤにある東ジャワ地域本部およびシンガポールからフェリーで40分程度のバタム島にあるバタム地域本部に派遣した。

東ジャワ地域本部訪問

FSPMI東ジャワ地方本部パスルアン支部
FSPMI東ジャワ地方本部兼モジョクルト支部

東ジャワ地域本部への訪問では、地域本部の下部組織であるパスルアン支部と、東ジャワ地域本部と併設されているモジョクルト支部の二カ所を訪問した。パスルアン支部は日系企業6社を含む17社の従業員を組織化しており、組織人員は約6,000名とのことであった。モジョクルト支部は日系企業3社を含む25社の従業員を組織化しており、組織人員は約3,400名とのことであった。東ジャワ地方本部にはこのほかにスラバヤ支部とシドアルジョ支部が設置されており、地方本部全体では47社の従業員約1万名を組織しているとのことであった。

この地域の労働組合の直面する課題は、非正規労働者に関する法解釈問題であり、グレーゾーンの解釈をめぐって訴訟となる事例が多く、訴訟費用が労働組合財政を圧迫しているとのことであり、この問題に対して地域の労働組合として地方政府に働きかける取り組みを行っているとのことであった。また、賃金については、特に最低賃金への取り組み課題を挙げた。今のところ地方の三者構成の会議体で決定しているのは地方別最低賃金だけだが、2011年から産業別・職種別最低賃金制度が導入されるとのことで、そこでどう水準を確保できるかが問われているとのことであった。さらに労働組合活動の最大の課題として団体協約締結の取り組みとその実施を挙げた。

労使関係という視点から、労働組合に対する態度や団体協約締結への会社からの理解ということを、この地域に進出している各国資本別に特徴を挙げてもらったところ、もっとも理解を示してくれているのが、日系企業であるとのことであった。次が韓国系企業、そして欧州系企業やインド系企業と続き、外国資本では台湾系や中国系が最悪で、問題が発生すると話し合いもせずすぐ撤退したり、金銭で解決しようとしたりするとのことであった。しかし、もっとも劣悪なのは最低賃金すら守らない当地インドネシア資本の会社であるとのことであった。

バタム地方本部への訪問

FSPMIバタム地方本部

バタム地方本部への訪問では、地方本部の手配にて日系企業2社を訪問し、良好な労使関係を構築している事例を知ることができた。会社側も労働組合からの協力によってスムースな事業展開ができているとの評価を聞くことができた。バタム地方本部は24社の従業員、約1万3,000名を組織しており、半分以上が日系企業であるとのことであった。地方本部の財政も比較的潤沢で、組合費を積み立て、4階建ての町の中心地の建物を独自の資金のみで購入し、地方本部事務所と会議室や組合員訓練施設として使用しているとのことであった。労使関係も概ね良好であるとのことであった。

東ジャワ地方本部とバタム地方本部双方に共通して、欧米の労働組合支援NGOによるセミナー開催などの教育支援を受けているとのことであったが、東ジャワ地方本部については労働組合の日常的な運営、特に事務所賃貸料や専従オルグの給与などへの支援も受けているとのことであった。

KSPSI-FSP・LEM
との懇談

KSBSI-FSP・LEMNIK
との懇談

JJC(ジャカルタ・ジャパン・クラブ)訪問