国際活動

国際労働研修プログラム

国際労働研修プログラムとは

<目的>

JCMでは、「各産別・企業連・単組において国際労働運動を担い得る人材の育成」を目指し、JCM加盟産別より参加者を募り、2008年より年1回「国際労働研修プログラム」を実施しています。
この研修プログラムでは、以下の2つの機会を提供しています。

(1)個人としての能力向上

「広い視野、偏りのないモノの見方考え方の体得」
「異文化コミュニケーションの技術・ポイントの体得」
「実地研修国の労使関係の知識と建設的労使関係構築に向けたポイントの習得」

(2)組織(産別・企業連・単組)が現地の関連企業労働組合とのネットワーク構築を推進するための人的繋がりの獲得

<概要>

国際労働研修プログラムは、国内の事前研修、海外実地研修、そして国内の事後研修の三部構成で実施しています。

事前国内研修(国内研修Ⅰ)

 事前研修(国内研修Ⅰ)においては、各産別からの参加者の相互の顔合わせおよび、事前に国際労働運動や訪問国に関する知識を得る場(インプット)としています。

海外実地研修

 海外実地研修では、「百聞は一見に如かず」を理念として、1週間程度、海外現地で各所を訪問し、それぞれの訪問先でヒアリング・意見交換を実施しています。期間中は、政労使をバランス良く訪問し、訪問国の状況を偏りなく俯瞰的に捉えることを考慮し、訪問の順番も工夫しています。極力実地研修の前半に日本国大使館やジェトロ・日本商工会議所、労働法・労働組合等を所管する省庁等の現地政府系機関を訪問し、全体概略をつかんだ上で、後半の現地労働組合との交流会議、職場訪問につなげています。

 後半には、現地労働組合との交流会議、国際会議を実施しています。テーマは「職場活動」であり、具体的には「日常的な労使間の話し合いの仕組み」「職場におけるコミュニケーションと労働組合の意識」について相互に発表し、参加者間の質疑で深めるという形式をとっています。日本側はJCM参加者から発表者を選出していますが、国際会議自体に触れる機会が多くない参加者にとって、同時通訳を介しての会議は貴重な経験となります。また交流会議後の現地組織との懇親会も、逐次通訳を介してのやりとりとなっており、現地の言葉や文化に触れることのみならず、会議の場を離れての現地の組合役員との意見交換、情報交換を行っており、貴重な経験となっています。

 海外の労働組合の関心事項としては、発表した内容に限らず日本全体に関するものが多いことがあります。実際に現地の組合役員と話すとわかることですが、「海外の組織と話をすること=日本について話すこと」にもつながり、訪問国を知ることのみならず、日本について、自組織についての理解を深めるきっかけともなり得ます。また、会議の平場での個別企業における紛争事例の話題や相談も多く、日本の参加者からすれば忌避しがちな内容でありますが、海外の労働組合との会議においては決して珍しいことではありません。海外の労働組合役員が置かれた立場とその背景を理解することで、彼らの発言の意図を理解できるようになります。このような文化の差を感じるのもまた貴重な経験となります。

 

事後国内研修(国内研修Ⅱ)

海外実地研修後には、国内研修Ⅱとして、実際に参加して得た見聞を報告書・感想文をベースに共有し、理解を深め、「当プログラムから何を学び、どう活かすか」というテーマで、海外事業体における建設的な労使関係構築の重要性や、参加者自らが自組織でどのような活動につなげていくのかを宣言(アプトプット)していただく場となります。

 

 

<ネットワークづくり(海外組織とのネットワーク、JCM5産別の中での仲間づくり)>

 労働組合との交流会議を通じ、現地事業体の組織と知り合い、日本と海外の労組間交流がスタートした実例もあります。「MNC(Multinational Corporation:多国籍企業)労働組合のネットワーク構築」は、インダストリオールやJCMとしても推し進めている活動の一つであり、日頃から顔の見える関係を日本と現地事業体の労働組合間で構築することによるメリットは計り知れません。海外駐在の組合員を訪問することはあっても現地労働組合と接する余裕がなく、元々現地組織とネットワークを構築するきっかけもない日本の労働組合にとって、このような交流の場で現地組合役員と名刺交換することが情報交換をスタートする良い契機となります。

実際に交流してみると、同じ企業のワーキングウェア・バッジをつけた、労働者のための労働組合同志だからこその連帯感が生まれ、組織の内情や職場状況等、得られる情報がとても多いことに気づかされるのです。労使紛争が発生してから初めて現地の組合と関係構築をしておけばよかったと後悔する日本の労働組合も少なくありません。

 また、海外実地研修と事後の国内研修を通じ、参加者間の連帯が深まることもこのプログラムのメリットの一つです。この、単組・産別の枠を超えて、JCM5産別を跨いだ横の連携も、参加者にとって大きな財産であると考えます。

 

 次回の開催は2024年5~7月頃を検討していますので、是非国際労働運動に資する人材育成の機会として、当該プログラムを活用してください。

 

<国際労働研修プログラム報告書>

第16回 JCM国際労働研修プログラム報告書(マレーシア)

第15回 JCM国際労働研修プログラム(WEB開催につき報告書なし)

第14回 JCM国際労働研修プログラム報告書(シンガポール)

第13回 JCM国際労働研修プログラム報告書(タイ)

第12回 JCM国際労働研修プログラム報告書(マレーシア)

第11回 JCM国際労働研修プログラム報告書(ミャンマー)

第10回 JCM国際労働研修プログラム報告書(ベトナム)

第9回 JCM国際労働研修プログラム報告書(フィリピン)

第8回 JCM国際労働研修プログラム報告書(タイ)

第7回 JCM国際労働研修プログラム報告書(インド)

第5回 IMF-JC国際労働研修プログラム報告書(タイ)

第3回 IMF-JC国際労働研修プログラム報告書(インドネシア)

第1回 IMF-JC国際労働研修プログラム報告書(マレーシア)