広報ニュース

第51号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年4月18~29日)

英政府、組合キャンペーンを受けて鉄鋼工場の部分国有化に同意

2016-04-22

 

len_unite_steelイギリス政府は、救済策の一環として、ウェールズのポートトールボットにある経営難に陥ったタタ・スチール工場の株式の25%を取得する意向を確認した。

 中国のダンピングによって全世界で鉄鋼価格が暴落、タタ・スチールは英国事業の売却に追い込まれ、数千人の雇用が脅かされている。

 この救済策は、英保守政権のサジッド・ジェイビッド・ビジネス大臣によって発表された。政府による株式取得は、この事業の購入者を見つけやすくするためのカンフル剤とすることを意図している。

 以前に国有化を除外したジェイビッドは経済的自由主義者で、自由市場を盲信して鉄鋼業救済策を妨害したことで批判されている。保守政権は危機への対応が遅く、中国製鉄鋼に対するEUの関税引き上げ案も拒否した。

 この措置は鉄鋼部門に組合員がいるインダストリオール加盟組合に歓迎された。加盟組織は、銀行救済の規模とサプライチェーンにとっての鉄鋼の重要性を人々に思い出させることによって、この産業への支援を集めることに成功した。

 組合側は、鉄鋼生産を調達やインフラ開発に結びつけ、ダンピングに取り組む持続可能な長期産業政策を支持している。

 ユナイトのトニー・バーク書記次長は、この取り組みについて次のように述べた。

 「今日の発表は解決策の一部にすぎない。次なる課題は、タタ・スチールUK全体を購入し、イギリスで製鋼の長期的未来を確保することを約束する買い手を見つけることだ。組合員は、売却プロセスにおいて年金を確保し、組合員に悪影響が及ばないようにするという約束も求める」「鉄鋼業が繁栄できるようにするうえで英政府がすべきことがまだ山積している」

 労働組合「コミュニティー」のロイ・リックス書記長は次のように述べた。「政府が負債による資金調達を支援する意思を示し、英国事業の株式の25%を購入する姿勢を保っていることを歓迎する。政府は引き続きコミュニティーと緊密に協力しなければならない。私たちは鉄鋼業の未来を確保するためにできる限りのことをする」

フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は以下のように語っている。「自由市場原理主義者のビジネス大臣を擁する英保守政権が鉄鋼業の一部を国営化したとは皮肉だ。これはイデオロギーが現実の壁に突き当たったときに起こることだ」「これは重要な第一歩であり、私たちの主張が勝利を収めようとしていることを示している。しかし、この極めて重要な産業の持続可能な未来を保証するために、する必要のあることがまだ山ほどある」

« 前のニュース  次のニュース »