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第60号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年12月12日)

パキスタン・ガダニ火災事故の犠牲者に直ちに公正な補償を

2016-11-24

 パキスタン・ガダニ船舶解撤場の石油タンカー火災で作業員が死亡してから3週間以上が過ぎ、労働者と遺族は生存と適切な治療のために闘っている。

 

19歳の船舶解撤労働者クーダ・ブクス・ガダニは火災でひどい火傷を負い、足を骨折した。写真:インダストリオール/Amar Guriro

19歳の船舶解撤労働者クーダ・ブクス・ガダニは火災でひどい火傷を負い、足を骨折した。写真:インダストリオール/Amar Guriro

19歳のクーダ・ブクス・ガダニはこの災害でひどい火傷を負い、足を骨折した。「船の上で作業をしていたとき、突然爆発が起こり、あっという間に船が火に包まれた。左足が燃えているのを感じ、もう死ぬと思った。思い切って海に飛び込んだが、水深が浅すぎたので、30メートルほどの高さから飛び下りて右足の骨を折ってしまった。1時間ほど水に浸かって横たわっていたが、何人かの労働者がボートに乗ってやってきて救助され、病院に連れて行ってもらった。病院には大勢の労働者がいた」と彼は語った。

パキスタン・ガダニ船舶解撤場の大爆発で石油タンカーの船体に穴が開いた。

パキスタン・ガダニ船舶解撤場の大爆発で石油タンカーの船体に穴が開いた。

 クーダは当初カラチ市民病院に運ばれたが、その後退院してほしいと言われ、ハブ市の公立病院に移った。その病院には熱傷治療室がない。彼はハエや蚊から傷を保護するためにネットの中に横たわっている。病院には空調設備がなく、窓は開けっぱなしである。ただでさえ非常に貧しく、10人の家族を養うために父親を手助けしているクーダは、治療費の補助も受けていない。

 少なくとも26人が死亡し、50人が負傷、それ以上に多くの労働者が行方不明で、亡くなったと見られている。伝えられるところによれば、事故発生時、労働者たちがタンクの油を抜いていたときに、溶接トーチの火花が原因で大爆発が起こったという。船上の大火災は2日間にわたって猛威を振るい、救助隊は高熱のため船に近づくことができなかった。

 インダストリオール・グローバルユニオンの調査で、犠牲者の遺族が苦しんでいることも分かった。

 ムハンマド・ハッサンの18歳の息子サノーラは、この石油タンカー火災で焼死した。サノーラはガダニ船舶解撤場で働きながら8人家族を養っていた。「息子は唯一の稼ぎ手だった。息子が死んだあと、政府がまったく事故を調査しておらず、私たちに何の支援も提供してくれないことに憤りを感じている」とムハンマド・ハッサンは語った。「息子が死んで精神的に打ちのめされている」とサノーラの母親アジーマ・ハッサンは言う。「私は息子を仕事に送り出したのであって、死なせるために送り出したのではない。調査して火災の責任者を処罰すべきだ」

 ハシル・カーン・ビゼンジョ連邦港湾海運大臣は11月1日に火災現場を訪れ、犠牲者への援助を約束した。

 ガダニで労働者を代表しているインダストリオール加盟組織NTUFによると、政府は死亡した労働者に150万パキスタン・ルピー(1万4,000米ドル)、負傷した労働者に10万パキスタン・ルピー(950米ドル)の補償金を支払うと発表した。しかしNTUFはこの提示を拒絶し、死亡者300万パキスタン・ルピー(2万8,000米ドル)、負傷者50万パキスタン・ルピー(4,700米ドル)を要求している。

 その一方で、労働者の安全に最終的に責任を負う船舶解撤業者と船主は何も申し出ていない。パキスタン税務当局の推計によると、船舶1隻のリサイクルで平均450万米ドルの収入が得られる。パキスタンの船舶解撤産業は中国とトルコに次いで規模が大きい。

 爆発事故を受けて、政府はこの解撤場を閉鎖した。現場では合計約1万2,000人の労働者が働いているが、全員が未登録である。彼らも仕事を失って苦労している。

 ナシル・マンスールNTUF書記長は次のように語った。「そろそろ政府は解撤場における安全衛生基準実施の必要性を認識しなければならない。労働者を社会保障機関と老齢年金機関に登録し、労働組合結成を許可するとともに、団体交渉代表権者を民主的に選ぶ権利を認めることが非常に重要だ。政府は労働者代表と協議しながら、船舶の安全な再生利用のための香港条約とILO南アジア・ガイドラインに従って、船舶解体中止命令を直ちに撤回し、船舶解撤法を制定すべきだ」

 

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