広報ニュース

第70号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2017年8月31日)

グラスベルグ鉱山の紛争長期化で暴力事件が発生

2017-08-21

グラスベルグ鉱山でスト中の労働者

 インドネシア西パプア州にあるフリーポートのグラスベルグ鉱山で土曜日、スト中の労働者が鉱山を封鎖し、衝突が発生した。

 スト中の鉱山労働者数百人が8月19日(土)午後2時から、生産を停止して会社側に労働側と交渉させようと鉱山の入口を封鎖した。警察・警備員との衝突の際、何人かの鉱山労働者がゴム弾で負傷し、オフィスビルと車両数台に火がつけられた。警察と警備員は午後11時ごろに支配権を取り戻した。

 地元の警察署長は、秩序を維持するために軍隊が配備されると述べた。

 この封鎖は直接雇用従業員と契約労働者の両方が実施し、組合が組織または支持した行動ではない。労働者たちはストを理由に解雇され、絶望的な状況にある。

 鉱山の危機が深まる中で事態は悪化している。まだ調査中のある事件では、先週、社用車に向けて発砲があり、運転手が負傷した。グラスベルグ鉱山の労働者は今年5月1日からストを実施している。この鉱山は、アメリカの鉱山会社フリーポート・マクモランの現地子会社、PTフリーポートが所有している。同社はこれまでにスト参加労働者4,200人を解雇した。

 インダストリオール・グローバルユニオンは数カ月前から、深刻な紛争の可能性を警告してきた。グレン・ムプファン鉱業担当部長は5月に声明を発表し、次のように述べた。
 「事態は非常に緊迫している。マリカナ事件の再発を防ぐために緊急に介入する必要がある」

 現下の危機は、ただでさえ不安定な状況をさらに圧迫している。グラスベルグ鉱山はさまざまな理由で論議を呼んでおり、西パプアの主権をめぐって、時には暴力的に闘争が繰り広げられている。これまでフリーポートはインドネシア軍を警備に当たらせ、衝突で何人かが死亡した。

 インダストリオールは先ごろインドネシアにミッションを派遣し、この鉱山の社会危機を確認した。労働者と家族は収入がなく、4カ月にわたって融資や住宅、教育、医療を利用できない状況にあり、その結果、数人が亡くなったと見られる。

 事態をさらに悪化させたのは、2週間前にひどい洪水が発生し、いくつかの地域の住民が避難を余儀なくされたことである。

 このストは鉱山の支配権をめぐるフリーポートとインドネシア政府の紛争の結果である。インドネシア政府は鉱山の利権の51%を求めており、フリーポートがこの要求を拒否すると同社の輸出許可を取り消した。これを受けてフリーポートは、生産ペースを落として労働者をレイオフし始め、これがストの引き金となった。インドネシアのメディア報道によると、フリーポートは現在、政府と新たな契約を結んでいる。

 最近の衝突が発生する前の8月18日金曜日、インダストリオールはガイ・ライダーILO事務局長に書簡を送り、この危機に緊急に介入するようILOに要請した。

 ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
 「インダストリオールは数カ月前から、暴力事件発生の可能性を警告してきた。グラスベルグの労働者はまさに絶望的な状況にある。私たちが再三にわたって警告したにもかかわらず、フリーポートは事あるごとに事態を悪化させてきた」
 「インダストリオールは、フリーポートがインドネシア政府との紛争で政治的な点数を稼ぐために人々の命と暮らしを弄ぶのは、卑劣な行為だと考えている」
 「今こそ、この状況に終止符を打たなければならない。当事者全員が交渉の席に着き、この危機を直ちに解決する必要がある」

 

衣料品ブランド14社、メキシコの労働司法制度改革への支持を表明

2017-08-16

労働司法制度改良と労働者の権利保障をメキシコ政府に求めた国際衣料品ブランド各社

 国際衣料品ブランド14社がメキシコ政府に書簡を送り、労働司法制度に関する憲法改正と、憲法修正を完全に反映させる二次法への支持を表明した。

 アディダス、C&A、インディテックス、ナイキをはじめとするブランドがメキシコのアルフォンソ・ナバレテ・プリダ労働・社会保障大臣に書簡を送り、労働司法制度の改良と労働者の権利の保障を求めた。

 この憲法改正は、三者構成調停・仲裁委員会(JFCAs)を廃止し、JFCAsの法的役割を上級司法裁判所に移管する。これは、労働司法制度がもはや共和国大統領や共謀する州知事、使用者の支配下にある労働組合によって直接管理されなくなることを意味する。

 この独立した分権機関は、透明性のある方法で公平かつ効率的に労働組合と労働協約を登録する専門家で構成される。この改革は、メキシコの労働者が直面している大きな問題の1つ――「保護協約」との闘いを支援する。

 JFCAsは現在、組織化対象の労働者から正当な支持を受けていることを民主的なプロセスによって証明できない、代表権のない労働組合による労働協約の登録を認めている。

 衣料品ブランド各社は、国際的に認知された中核的労働基準と連邦労働法の遵守を支持している。この改革は、ILO第87号条約および第98号条約で保護される結社の自由に対する権利および団体交渉権を労働者がよりよく享受できるようにし、労働司法制度を強化するための道を開くだろう。

 「私たちは、新しい法律がメキシコの労働者に、自分たちが自由に選んだ組合によって団体交渉で代表される権利を保障すること、すべての手続き規則、特に自ら選んだ組合と組合代表を民主的に選出し、登録前に労働協約について採決を行う権利が遵守・尊重されることを期待する」と書簡には書かれていた。

 この合同書簡は、メキシコで衣料・履物製品を調達・製造している国際衣料品ブランドから成るマルチステークホルダー・フォーラムのメキシコ委員会、FLA、国際組織インダストリオール・グローバルユニオン、マキラドーラ連帯ネットワーク(MSN)の発案によるものである。

 上院は2016年10月に憲法改正を承認した。2月24日、連邦官報に憲法のさまざまな条項の改革を定める命令が掲載された。この日から1年後に連邦政府は憲法修正を完全に公布し、その時点で必要な二次法の起草を完了しているだろう。

 「したがって、二次法がこの憲法改正による進展を完全に反映するよう確保するために、圧力を加えなければならない」とインダストリオール・グローバルユニオンのフェルナンド・ロペス担当部長は述べた。

 

インドの組合、モディ政権の反労働者的な政策に対して大規模な動員を要求

2017-08-11

8月8日デリーで開催された中央労働組合10団体の全国大会

 労働組合は何十万人もの労働者に対し、政府の反労働者的な政策に抗議するため、2017年11月9~11日に動員を呼びかけており、無期限の全国ストの準備も促している。

 中央労働組合10団体は8月8日、産業・サービス両部門のすべての独立全国労連とともにデリーで全国大会を開き、モディ政権の親企業・反人民的な政策について深刻な懸念を表明した。

 この大会は4項目の行動プログラムを採択した。その中には、全国で労働者を動員する大規模なキャンペーン、2017年11月9~11日の3日間にデリーでデモを実施する計画、政府の反人民政策に対する無期限の全国ストに向けた準備が含まれている。

 大会の宣言は、失業状況が悪化しており、社会的支出の大幅削減、生活必需品価格の上昇、未組織部門における労働者の貧困化が見られると指摘した。

 モディ政権は社会的対話を弱体化させており、契約労働者の同一賃金・給付や最低賃金基準に関して、インド最高レベルの社会的対話フォーラムである歴代インド労働会議による合意勧告の実施を拒否している。

 組合は反労働者的な労働法改革を非難。既存の社会保障インフラの解体によって社会保障体系を発展させ、労働者が出資した3,000億米ドルを超える多額の社会保障基金を奪い、「社会保障の普遍化」を隠れみのに株式市場での投機に利用できるようにする、政府の措置に反対している。

INMF、INTUC会長のG・サンジーバ・
レディー氏

 インダストリオール加盟組織INMFとナショナルセンターINTUCの会長を務めるインダストリオール執行委員、G・サンジーバ・レディーは次のように述べた。
 「インドの労働組合運動には素晴らしい団結がある。モディ政権の反労働者的な政策のせいで、労働組合は労働者階級の利益を守るために集団的な抗議を開始せざるを得ない。労働組合運動は闘いを続けていく」

 大会を組織した中央労働組合10団体は、INTUC、AITUC、HMS、CITU、AIUTUC、TUCC、SEWA、AICCTU、UTUC、LPFである。

 

インドネシアへのインダストリオール・ミッション、解雇された労働者の人権危機を確認

2017-08-11

8月9日に行われたエネルギー鉱物資源省の首脳との会談

 PTフリーポートとPTスメルティングでストを理由に解雇された労働者と連帯するインドネシアへのインダストリオール・グローバルユニオン・ミッションの結果、人権が危機にさらされており、労働者が食料や住宅、教育、基本医療を利用できない状況にあることが分かった。

 西パプア州で大規模なグラスベルグ金・銅山を経営している米国系フリーポート・マクモラン傘下のPTフリーポートで、4,200人を超える労働者がスト実施を理由に解雇され、グレシックのPTスメルティングでも1月、約300人の労働者がスト実施後に解雇された。

 ミッションは2017年8月8~11日に実施され、オーストラリア(AWUとCFMEU)、オランダ(FNV)、北米(USW)および南アフリカ(NUM)のインダストリオール加盟組合の指導部が参加した。

 このミッションは、インドネシアの組合CEMWUとSPSI、FPE SBSI、FSPMIならびに労働省とエネルギー鉱物資源省の首脳、それにPTフリーポート企業経営陣、この鉱山に出資しているリオ・ティントと会談した。PTスメルティング(株式の過半数を三菱が、25%をPTフリーポートが所有)は会見を拒否した。

 ミッションは、PTフリーポートが「任意退職した」と言う同社労働者の処遇について重大な証言を聞いた。

 「本ミッションに寄せられた情報によると、会社側は労働者を解雇したあと、社宅から強制的に退去させ、会社の病院と学校の利用を拒否し、地元の銀行と共謀して労働者が融資を受けられないようにしたという。私たちは、何人かの労働者と家族が治療を受けられなかった結果亡くなったというショッキングな報告を受けた。家を失った労働者の多くは現在、テントや組合事務所で暮らしている」とインダストリオール・ミッションは8月11日の声明で述べた。

 「PTフリーポートとPTスメルティングはいずれも、解雇した労働者を非人道的に、軽蔑的な態度で扱っている。PTスメルティングは州労働省の要請に反して労働者の給料・給付の支払いを拒否しており、組合は裁判所で解雇無効を申し立てている。PTスメルティングは、労働者の所属組合FSPMIと紛争の解決に向けて交渉することも再三にわたって拒否した。FSPMIの報告によれば、解雇された労働者たちは今、法廷審問でテロリストよりもひどい扱いを受けており、銃器と催涙ガスを携帯した警察が配備されている。これらの行動は、ILO条約に定める労働者の団結権、団体交渉権およびスト権を明らかに侵害している」と声明は続けた。

 ミッションは8月9日の労働省およびエネルギー鉱物資源省の首脳との会談で、PTフリーポートとPTスメルティングの紛争解決を促進するために両省が一層の努力をするよう要請した。

 PTフリーポートとPTスメルティングに対しても、解雇された労働者全員を直ちに復職させたうえで、労働者がそもそもストを決行する原因となった問題の公正な解決をめぐって交渉することを要求した。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
 「これは単なる労働争議でもスト権の侵害でもなく、人権危機だ。PTスメルティングは、労働者が受給権を有する賃金や給付を6カ月にわたって支給しておらず、家族は苦しんでいる。PTフリーポートは、ストをつぶすためにスト参加者と家族、地域社会に深刻な害を及ぼそうとしている。これを続けることはできない。私たちは両社に対し、労働者を復職させるとともに、問題がこれ以上悪化する前に緊急に交渉に入るよう強く促す。その一方でインダストリオールは、さらに支援して両社に対する圧力を強めていく方法について、世界中の加盟組織と議論する予定だ」

以下、声明全文

—————————————————————————————————————————

PTフリーポートとPTスメルティングによるスト参加者の大量解雇に関する
インダストリオール・インドネシア連帯ミッションの声明

 

オーストラリア(AWUとCFMEU)、オランダ(FNV)、北米(USW)、南アフリカ(NUM)の組合幹部は2017年8月8~11日、PTフリーポートとPTスメルティングによるスト参加労働者の大量解雇に関するインドネシア・ミッションを実施した。本ミッションは、140カ国・5,000万人の組合員(インドネシアの加盟組合11団体を含む)を代表するインダストリオール・グローバルユニオンが組織したもので、その狙いは影響を受けた労働者との連帯を表明するとともに、大量解雇を調査し、紛争の公正な解決に向けて関係者を支援することである。

本ミッションは、インドネシアの組合CEMWU SPSI、FPE SBSIおよびFSPMIの指導者と会談し、労働省とエネルギー鉱物資源省の首脳とも会見した。最後に、PTフリーポート(西パプア州グラスベルグ鉱山の過半数株主・経営者である米企業フリーポート・マクモランの子会社)、この口座に投資しているリオ・ティントと会談した。本ミッションは、関連組合と両省、リオ・ティント、PTフリーポートに会合への参加を感謝する。遺憾ながら、PTスメルティング(株式の過半数を三菱が、25%をPTフリーポートが所有)は、私たちの会合要請を拒否した。

本ミッションは気掛かりな事実を数多く確認した。PTフリーポートのグラスベルグ鉱山では過去数カ月間に4,200人以上のスト参加労働者が解雇されており、グレシックのPTスメルティング製錬所では1月に労働者309人がストを理由に解雇された。PTフリーポートとPTスメルティングはいずれも、解雇した労働者を非人道的に、軽蔑的な態度で扱っている。PTスメルティングは州労働省の要請に反して労働者の給料・給付の支払いを拒否しており、組合は裁判所で解雇無効を申し立てている。PTスメルティングは、労働者の所属組合FSPMIと争議の解決に向けて交渉することも再三にわたって拒否した。FSPMIの報告によれば、解雇された労働者たちは今、法廷審問でテロリストよりもひどい扱いを受けており、銃器と催涙ガスを携帯した警察が配備されている。これらの行動は、ILO条約に定める労働者の団結権、団体交渉権およびスト権を明らかに侵害している。

PTフリーポートは、解雇した数千人の労働者、その家族および地域社会に軽蔑的態度を示している。本ミッションが確認したところでは、報酬や雇用保障といった基本的な労働問題をめぐる交渉を会社側が繰り返し拒否したことに抗議して労働者が作業を放棄すると、PTフリーポートは労働者が「任意退職した」という信じられない理由で労働者を解雇した。本ミッションに寄せられた情報によると、会社側は労働者を解雇したあと、社宅から強制的に退去させ、会社の病院と学校の利用を拒否し、地元の銀行と共謀して労働者が融資を受けられないようにしたという。私たちは、何人かの労働者と家族が治療を受けられなかった結果亡くなったというショッキングな報告を受けた。家を失った労働者の多くは現在、テントや組合事務所で暮らしている。

本ミッションは、PTフリーポートの行動が重大な人権侵害であることについて、インドネシア国家人権委員会と見解が一致している。労働者としての基本的権利を行使したために解雇された人々は現在、基本的人権を失っており、自分自身だけでなく配偶者や子どもも食料や住宅、教育、基本医療を利用できない状況にある。

本ミッションの結果、労働者とPTフリーポートとの紛争の原因は、鉱山の今後をめぐる今年初めの交渉の際にインドネシア政府が同社に銅の輸出禁止を課したことに対応して、同社が雇用コスト削減のために一方的に一時帰休を実施したことだと分かった。PTフリーポートは、この一時帰休で労働者の報酬が約30%減少し、雇用保障が弱まることを認めているが、一時帰休の影響を受けた労働者を代表する組合と交渉する義務はないと主張している。しかし、インドネシアの組合も労働省も本ミッションに対し、インドネシアの法律に一時帰休の定めはないと述べた。PTフリーポートは、一時帰休をめぐって組合と交渉すれば労働者にスト権を与えることになるので交渉したくない、と本ミッションに語った。本ミッションは、PTフリーポートに限らずどんな企業でも、労組との交渉を拒否するだけで労働者の基本的なスト権を制限できる、というこの考え方を全面的に拒絶する。これは労働者の基本的な団結権・交渉権に関するILO第87号条約および第98号条約(どちらもインドネシアが批准済み)の明確な違反になる。

本ミッションは、労働省とエネルギー鉱物資源省がPTフリーポートとPTスメルティングの紛争解決に向けて介入していることを賞賛する。私たちは、この2件の争議をめぐる規制環境が複雑で、地区レベル、州レベルおよび国家レベルが責任を分担しており、両社を所有する巨大多国籍企業が規制機構を利用して利益を得ようと資源を配備していることを認識している。本ミッションは、両省の努力を認めつつも、紛争の解決を促進するためにぜひ一層の努力を払うよう要望する。

両紛争ならびにその結果生じた人的被害および権利侵害の根本的原因は、PTフリーポートとPTスメルティングが、労働者を代表する組合と交渉するのではなく紛争を行うことを決定したことである、と本ミッションは結論づける。私たちは両社に対し、そうではなく交渉の道を選ぶよう勧める。そうすれば最終的に、両社の利害関係者全員の利益に資するだろう。

本ミッションはPTフリーポートとPTスメルティングに対し、解雇された労働者全員を直ちに復職させたうえで、労働者がそもそもストを決行する原因となった問題の公正な解決をめぐって交渉することを要請する。

インダストリオールと本ミッションに参加している加盟組合は、これらの紛争の解決を促進するために、できる限りの方法で当事者を支援していく意思を持ち続けている。私たちは、グローバル労働運動の注目を集めているこれらの重要な闘いを主導している加盟組合と連帯する。また、公正な解決に向けて圧力を強めるという目的で、これらの紛争に起因する権利侵害と人的被害に引き続き注目することも約束する。

—————————————————————————————————————————

 

UAW、日産で脅迫・威嚇に遭い投票に敗北

2017-08-07

今年3月に開かれたカントンの労働者を支援する集会に5,000人以上が集結した

 脅迫や威嚇、偽情報による激しい反組合キャンペーンを受けて、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織UAWは、米ミシシッピ州カントンの日産工場で組合結成をめぐる選挙に2,244票対1,307票で敗れた。

 「組合代表を求めて地域社会や公民権運動の指導者とともに根気強く闘った日産の勇敢な労働者は、UAWによって代表されるために努力したことを誇ってしかるべきだ」とデニス・ウィリアムズUAW会長は述べた。「今回の選挙結果は、これらの労働者とUAW、全国各地で働くアメリカ人にとって一歩後退だったが、決して敗北と考えてはならない」

 8月3日、4日の2日間の選挙が発表されるとすぐに、日産はカントン工場で反組合戦術を強化した。監督者はグループ会議や一対一の会談で反組合的なメッセージを伝え、従業員に圧力をかけた。同社は工場内で反組合的なビデオを放映して労働者に「反対票」を指示し、大掛かりな反労組テレビ広告キャンペーンを開始した。

 「私たちはカントンの結果に失望しているが、驚いてはいない」とゲーリー・キャスティールUAW書記長・財政部長/輸送部門担当部長は言う。「日産は組合問題に関して中立を保っていると長年にわたって主張していながら、私がこれまでの人生で目にした中で五指に入る違法かつ非倫理的な反組合キャンペーンを実施した」

 UAWは、この工場で従業員代表を求めて14年前から闘ってきた。

 同労組は、8月4日の投票終了直前に全国労働関係委員会(NLRB)に提出した最新の苦情の中で、追加の全国労働関係法違反を申し立てた。例えば、労働組合活動の広範囲にわたる監視、日産カントン労働者がUAW代表に賛成票を投じれば給付を廃止するという脅し、日産労働者の代表になったら解雇するというある女性労働者に対する脅迫である。

 労働者によれば、日産はリース車を回収するとまで主張し、その一方で、反対票を投じたら長年の念願である昇給と特別自動車購入制度を提供すると申し出た。この間、休憩室で絶えず反組合ビデオが流された。

 米上院議員のバーニー・サンダースはガーディアン紙に次のように書いている。「これは過去数十年間で最も悪質・違法かつ反組合的なキャンペーンとして歴史に残る可能性がある。労働者は、この種の脅迫的なキャンペーンに我慢したり、ただ組合に賛成の投票をするために地雷原を歩かされたりする必要はないはずだ」

 カントンでの組合承認を求めるUAWのキャンペーンは、公民権団体や地域社会、宗教団体、ハリウッドの有名人から支援を受けた。今年3月には、カントンの労働者を支援する集会に5,000人以上が参加した。

 フランス、ブラジル、日本のインダストリオール加盟組織は、カントンの日産工場で労働組合を設立しようとするUAWの取り組みに連帯を表明し続けており、今回の選挙を監視するために立ち会った組織もある。日本の加盟組織JAWは新しい日産CEOの西川廣人に書簡を送り、選挙に際して中立を保つよう要求した。

 カントンは世界の日産工場の中で、労働組合がないわずか3つの施設の1つである。他の2工場は、やはり南部のテネシー州にある。独立組合が承認を得ようと苦心しているメキシコでさえ、日産の組合は国内有数の有利な労働協約を締結している。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
 「極めて激しい圧力や威嚇に負けず組合に賛成票を投じたカントンの労働者1,300人を祝福する。彼らは自分たちが信じるもののために立ち上がる勇気を持ち、会社がどんな攻撃を仕掛けてきても自分たちの立場を固守する覚悟があることを示した。世界中のインダストリオールと加盟組織が協力し、カントンの日産労働者と連帯すべきだ」

 

インダストリオール、インドネシアのフリーポート事業へのミッションを主導へ

2017-08-03

5月に西パプアでデモをするグラスベルグの労働者と支持者たち

 インダストリオール・グローバルユニオンは8月8~11日にインドネシアへのミッションを率い、グラスベルグ鉱山とPTスメルティングでスト実施を理由に解雇された労働者を支援する。どちらの事業もアメリカの大手採鉱会社フリーポート・マクモランが共同所有している。

 このミッションには世界で最も影響力のある数組合の指導者が参加する。

 8月11日午前10時にジャカルタのサリ・パンパシフィック・ホテルで記者会見が予定されている。グラスベルグの組合幹部が出席し、事態の展開を報告する。

ワークショップの目的は以下のとおり。

  • PTフリーポート・インドネシアのグラスベルグ鉱山とPTスメルティングでスト中の労働者との連帯を表明すること。グラスベルグのスト参加者はインダストリオール加盟組織の化学・エネルギー・鉱山労組(CEMWU SPSI PTFI)によって、PTスメルティングのスト参加者はインダストリオール加盟組織FSPMIによって代表されている。
  • PTフリーポート・インドネシアとPTスメルティングで紛争解決を促進するためにエネルギー鉱物資源省および労働省と会談し、国際労働基準と労働者の権利の重大な侵害を強調すること。
  • PTフリーポート・インドネシアとPTスメルティングの当局者と会談すること。
  • フリーポートからの一方的な情報の流れを止め、労働者側の意見を主張すること。

 

このインダストリオール連帯ミッションには世界で最も影響力のある数組合の指導者が参加する。参加者は以下のとおりである。

  • アンドリュー・ビッカーズ・インダストリオール・グローバルユニオン鉱業部門部会長/CFMEU鉱山エネルギー(オーストラリア)書記長
  • ダニエル・ウォルトンAWU(オーストラリア)全国書記
  • ピート・マトサNUM(南アフリカ)会長、ベン・デービスUSW(北米)国際局長
  • ナニー・ナウテンFNV(オランダ)加工産業局長
  • アダム・リー・インダストリオール・グローバルユニオン・キャンペーン担当部長
  • ボニー・ディアナント・インダストリオール東南アジア事務所役員

 グラスベルグでストは行われていないというリチャード・アドカーソン・フリーポート・マクモランCEOの最近のコメントを受けて、ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう言う。
「スト権の行使を理由に解雇された労働者を支援・擁護するために、インドネシアに行く予定だ。ストが行われていないというのはまったく事実ではない。公式に宣言された合法的なストが現在4カ月目に入っている」
「グラスベルグの状況は深刻だが、会社側は大したことでないように見せようと躍起になっている。フリーポートはストを口実に4,000人以上の労働者を解雇し、組合を弱体化させようとしている」

 東ジャワのPTスメルティングの状況も酷似しており、やはり労働者がストを理由に解雇されている。PTスメルティングはグラスベルグに銅精鉱を依存しており、フリーポート・マクモランのPTフリーポート・インドネシアと三菱マテリアルによって共同で所有・運営されている。

 「政府に基本的な労働基準の支持を要求する予定だ。労働者の権利が踏みにじられている。フリーポートとPTスメルティングは、労働者が実際には合法的なスト権を行使したために解雇されているのに、自発的に辞職したと主張することはできない」とウズカン書記次長は言う。