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第78号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年5月10日)

課題に直面するCIS諸国の素材金属労組

2018-04-20

 4月17~18日にジョージアのトビリシでCIS諸国のインダストリオール加盟組織が会合を開き、素材金属部門における傾向と課題への組合の対応について議論した。
課題には、世界的な過剰生産能力、デジタル化、政府・企業による組合の弾圧が含まれる。現在、世界の鉄鋼生産に占めるCIS地域の割合は6.3%である。

 参加者は、鉄鋼・アルミ輸入関税に関する米国政府の最近の決定は、CIS諸国が関税を免除されていないので大きな課題だと指摘した。ロシア鉱山・冶金労組のアレクセイ・ベズィミヤニクが、ロシアには外資系多国籍企業が進出していないと述べた。この産業の生産量はここ数年伸びておらず、これは新しい労働協約の条件に影響を及ぼしている。

 カザフスタン共和国鉱山・金属産業労組のアシルベク・ヌラリン、ウクライナ金属・鉱業労組(PMGU)のセルゲイ・コミシェフ、アルセロール・ミッタル・クルィヴィーイ・リーフのPMGU労働組合委員会のナタリア・マリニュクが、アルセロール・ミッタルとの効果的な社会的対話の不足を強調した。カザフスタンの鉱山労働者は2017年12月の地下スト後、何とか30%の賃上げを達成したにとどまった。

 ウクライナの労働者は集会を開き、アルセロール・ミッタル・クルィヴィーイ・リーフCEOに1万2,000人が署名した請願書を送付、賃上げと安全性向上、社会的対話の改善を要求した。回答がなかったため、労働側は集団争議の開始を票決した。劣悪な状態にある社屋すべての詳細検査の実施を強く要求している。組合員は、反社会的・反組合的方針を実施する経営側から絶えず圧力をかけられている。

 キルギスタン鉱山・冶金労組のエルダル・タジバエフが、環境が悪化する中で効果的な組織化手段となっている労働組合割引プログラムについて話した。150社が組合員に割引を提供している。このプログラムの結果、3つの新組合が創設され、約4,000人の新規組合員が加わった。

 キルギスタンとタジキスタンのインダストリオール加盟組織は、組合中央委員会による労働組合委員長の承認を確保している。これによって、組合を内部から弱体化させる使用者代表の委員長選出が防止されている。

 ジョージア冶金・鉱山・化学産業労組のタマズ・ドラベリーゼが、組合員数減少の問題を指摘した。2017年、Rustavi Azotの労働組合が破壊された。2014年には、鉱山会社リッチ・ミネラルズ・グループが組合員数1,500人の組合を卑劣な手段で攻撃した。その大きな理由は、ジョージアの組合が好戦的な行動を取るよう期待されていることである。そのような行動は常に成果を上げるとは限らない。

 参加者はインダストリー4.0の重要性を強調し、それぞれの労働組合行事の議題に盛り込むことを提案した。当局と企業は新規雇用を創出して労働者を再訓練し、ロボット化が原因で失業することのないようにしなければならない。労働組合は情報キャンペーンを実施し、当局と経営側による緊急措置と労働組合員による新しい技能の習得を奨励すべきである。

 アダム・リー・インダストリオール素材金属担当部長が会議を締めくくった。
 「CISの素材金属労組には、地域レベルで連携してきた長い伝統がある。私たちはこれを称賛し、この部門で組合が直面している数々の課題に立ち向かおうとする努力を引き続き支援していく」

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