広報ニュース

第83号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年9月30日)

インド、パキスタン、バングラデシュの船舶解撤労組が会談し、組合構築を調整

2018-09-05

インド、パキスタン、バングラデシュのIA加盟労組が集まり、船舶解撤労組結成のために連携した
各国労組はこれまでの自らの組合結成・組織化の経験を共有し、各国の船舶リサイクル法についても議論した

 インドとパキスタン、バングラデシュのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が8月31日、9月1日にネパールのカトマンズで会合を開き、船舶解撤労働者の権利を求めるキャンペーンを調整した。

 この会合は、この地域で船舶解撤・再生労働者を組織化するためのインダストリオール/FNV共同プロジェクトの一環として開かれた。バングラデシュ金属労働者連盟、バングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労連、パキスタン全国労働組合連盟およびインド鉄鋼・金属・機械労連が、組合の組織化や結成に関する経験を共有した。厳しい環境にもかかわらず、造船所と川下産業で3万人の労働者が組織化された。

 参加組合は船舶解撤労働者の問題を共同で提起し、標準労働時間、最低賃金、安全な飲料水の供給、夜間労働の廃止、事故発生時の治療、事故による死亡や不可逆的な障害への適切な補償を要求した。船舶解撤は世界で最も危険な仕事であり、多種多様な搾取がある。これらの職場では不利な労働条件、事故(死亡事故を含む)、組合つぶしが猛威を振るっている。

 香港条約批准キャンペーンの強化をめぐり討議した。この条約は2009年に採択され、船舶の再生利用が人の健康や安全、環境に不要なリスクをもたらさないようにするための規則を定めている。インド、バングラデシュおよびパキスタンのインダストリオール加盟組織は過去1年間に、使用者、政府、NGOも含めたすべての主要な利害関係者の代表と、この条約に関する効果的なワークショップや会合を開いた。

 アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は次のように語った。

「船舶解撤は恐ろしいビジネスで、組合はそれを変化させることができる唯一の勢力だ。船主は船舶の活動期間に財を成し、あとはインドやパキスタン、バングラデシュの海岸に放棄して解体させるだけだ」

「彼らは手を尽くして責任を回避しようとしており、これを阻止しなければならない。香港条約を批准させることは正しい方向への大きな一歩になるが、現場の充実した労働組合活動の代わりを務めることは決してできない。したがって、これらの国々で引き続き加盟組織と協力しながら、世界で最も搾取されている労働者が集団的な発言権を獲得し、独力でやっていけるようにしなければならない」

 会合では船舶リサイクル法について議論した。この法律は、2018年にバングラデシュ議会で可決された。インドでは2013年に可決され、2018年に修正された。パキスタンではまだ草案の段階で、組合は間もなく可決されると期待している。船舶解撤労働者の権利と生命を守るために、これらの法律の有効性を高める方法に検討を加えた。

 松﨑寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は述べた。

「船舶解撤量は今後25~30年間で3倍になり、ますます多くの労働者が船舶解撤場で働くようになるだろう。この重要なプロジェクトを通して組織化活動を加速させる必要がある」

 アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は次のように語った。

「南アジアは船舶解撤において非常に重要な地域だ。私たちは3カ国すべての加盟組織と協力して各組織の強化に取り組み、船舶解撤労働者の安全と労働条件の改善に向けて努力できるようにしている」

 会合の引け際に、組織化と組合構築の強化によって船舶解撤産業の安全性を高めるという誓約を再確認した。

« 前のニュース