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第85号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年11月30日)

船舶解撤――船の墓場か、それとも労働者の墓場か?

2018-11-13

バングラデシュ・チッタゴンの解撤場で働く労働者

 バングラデシュのシタクンダ船舶解撤場の一連の事故で労働者2人が死亡し、7人が負傷した。今年に入って、バングラデシュの船舶解撤場で19人が死亡している。この死者数は8年間で最も多い。
 最新の事故は11月7日にゴールデン・リサイクリング・ミルで発生し、ボイラー炉の爆発で労働者4人が負傷した。うち1人は危篤状態にあり、今も治療を受けている。
 同じ日にもう1件事故があり、サゴリカ船舶解撤場でガス切断工1人が大やけどを負い、2人の同僚が軽傷を負った。

 前日の11月6日にはアレフィン・エンタープライズで、労働者が徹夜作業で鉄板を引き抜いていたときに事故が発生。鉄索の先端が1人の労働者を直撃し、その労働者は死亡した。

 夜間の船舶解撤活動を禁止する規則を使用者がたびたび無視しているため、これは多くの事故の1つにすぎない。これらの違反に対する具体的な罰則がないため、使用者は規則を軽視し続けている。

 11月5日、シタクンダのゴールデン・アイアン・ワークス・リミテッド船舶解撤場で鉄板が労働者にぶつかった。その労働者は直ちにチッタゴン医科大学病院に運ばれたが、医師は死亡を宣言した。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長は言う。
「この産業では労働者の死傷事故が続いており、これはまったく容認できない。バングラデシュ政府は2018年船舶リサイクル法を完全に実施し、労働安全衛生に関する国際基準に従うとともに、訓練による技能開発を行わなければならない」

 今年これまでにバングラデシュのさまざまな船舶解撤場で19人の労働者が死亡している。これは少なくとも25人が亡くなった2009年以降最多である。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「使用者と当局は明らかに過去の事故から学んでいない。インダストリオールは、労働者の死を招いているこの冷淡な態度を強く非難する。私たちはバングラデシュ政府に対し、犯人に対して厳しい措置を講じ、労働者が何も心配せずに働ける安全性の高い環境を作るよう要請する」

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