広報ニュース

第90号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年4月26日)

すべてのE-waste労働者のためのディーセント・ワークを求めて行動すべきとき

2019-04-17

世界中の政労使代表がスイス・ジュネーブのILOに集まり、E-wasteの管理におけるディーセント・ワークの促進に関連する目下の問題と新たな問題をめぐり討議した。

この動画はインド女性自営労働者連合から寄せられたもので、E-waste処理の実態を示している。

2019年4月9~11日に電気・電子廃棄物(E-waste)の管理におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)グローバル対話フォーラムが開かれた。このフォーラムの目的は、E-wasteの管理におけるディーセント・ワークの促進に関連する目下の問題と新たな問題をめぐり討議し、国際労働機関(ILO)とその加盟国による今後の行動のための勧告を含む合意事項を採択することである。

インダストリオール・グローバルユニオンは国際労働組合総連合の後援で、6カ国(デンマーク、インド、日本、ロシア、スウェーデン、イギリス)からの労働組合専門家の参加を調整した。

E-waste産業は最も目覚ましく増加している廃棄物の流れである。E-wasteは危険かつ複雑で、環境上適正な方法で処理するのにコストがかかる。多くの国々で、この産業を取り巻く法律や執行がまだ全般的に不足している。発展途上国では、E-waste関連作業の大部分がインフォーマル経済で行われている。このような状況下で、労働者の基本的権利の侵害、児童労働、不安定な労働条件、安全衛生の無視といったE-waste労働者の問題が、特に発展途上国からインダストリオールに報告されている。

テクノロジーが生活のあらゆる分野に行き渡る中で、ICT電機・電子産業に部品を供給するサプライチェーンが拡大し、複雑になっている。テクノロジーは今後もE-waste産業を促進していくだろう。サプライチェーンのステークホルダー全員に安全・健康・清潔で持続可能な雇用を提供する責任があり、労働者にはそのような雇用を期待する権利がある。フォーラムでは、サーキュラー・エコノミーと、この産業でディーセント・ワークを促進する方法を中心に、E-waste労働者の問題・課題を取り上げた。

「E-wasteを扱っている労働者には発言権も交渉力もなく、素手で危険物を解体している。さらに、これらの労働者はE-wasteの処理に伴う多くのリスクに気づいていない」と労働者グループを代表するジェームズ・タワーズ副議長は語った。
「私たち労働者は、E-waste労働者に公正な業務慣例と公正な移行をもたらす仕事の未来を求めている」

松崎寛インダストリオールICT電機・電子担当部長がこう述べた。
「この会議では初めて、政労使がE-wasteに関する現場の問題・課題を徹底的に共有し、労働者の懸念を対象とする合意項目案を真剣かつ建設的に取り決めた。これは持続可能な未来への重要な一歩だ。すべてのE-waste労働者のためのディーセント・ワーク達成に向けて行動を起こすときが来た!」

 

ロシアのフォード労働者が適正な補償を要求

2019-04-16

2019年7月にロシア・フセボロジスクのフォード・ソレルス工場が閉鎖され、1,000人を超える労働者がレイオフされる。労働組合は、新しい所有者のもとでの工場の継続と、補償のために配分された資金の公正な分配を要求している。

4月12日、約150人のフォード・ソレルス労働者が、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の地域間労働組合「労働者協会」(ITUWA)と現地のフォード労働組合組織の支援を受けて、「フォードはロシアで労働者を差別し欺いている」と「知事と市長は私たちの権利を守れ」をスローガンに集会を開いた。

レニングラード地域にある同工場の従業員は、現地のフォード経営陣が立案した任意解雇プログラムに同意していない。ITUWAによると、10人の管理者が1,000人の工場従業員と同額の補償を受ける。

プログラム参加者はロシアの法定基準を明白に上回る補償金を当てにできるが、従業員の権利を制約する条件が課せられる。5日を超える病欠が認められず、懲戒処分を受けてはならない。さらに、生産目標を達成しなければならない。6月24日までに1つでも条件に違反すれば、その従業員は3カ月分の給料しか支給されない。労働組合活動家によると、従業員は理由なく懲戒処分を受けたり、支払われて当然の補償金を支給されなかったりするかもしれない。

レニングラード地域とサンクトペテルブルクのITUWA会長を務めるイゴール・テムチェンコはこう述べている。

「この任意解雇プログラム案は補償資金を公正に配分していないと思う。取締役と管理者は400万~1,000万ルーブル(6万1,200~15万3,000米ドル)を支給されるが、労働者は40万~100万ルーブル(6,100~1万5,300米ドル)しか受け取れない。私たちは交渉中に双方が納得できる選択肢を見つけたいと思っている。しかし、使用者は組合との交渉を拒否している」

フォード・ヨーロッパ経営陣も組合との対話を拒否、十分な資金が割り当てられており、配分はフセボロジスクの現地経営陣の内部問題だと述べた。

組合側は米国ディアボーンに拠点を置くフォード・モーター経営陣(ビル・フォード会長を含む)に書簡を送った。

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車産業担当部長は次のように述べた。
「この工場閉鎖はフセボロジスク市に甚大な社会的影響を与えるだろう。したがってフォードは、直ちに行動を起こして労働組合を含むステークホルダー全員を一堂に集め、数千人の労働者とその家族のために持続可能な見通しを開く共同討議を開始しなければならない」

すでに4月5日、工場労働者は共同声明を採択した。この声明はフォード・フセボロジスクの従業員代表委員会に、ロシア連邦政府に働きかけ、フセボロジスクのフォード工場施設の潜在的購入者との交渉を設定して従業員代表の参加を義務づけるとともに、新会社で働く意欲のある労働者全員を雇用させることを委任している。

バディム・ボリソフ・インダストリオール地域事務所所長が次のように述べた。
「フォードとフォード・ソレルスはロシア市場向けの戦略を立てていなかった。両社が無能であったために、いま労働者が代価を払わなければならない。私たちは公正な支払いを求める労働組合の要求を支持し、政府に対し、可能な限り多くのフォード・ソレルス従業員が新工場で雇用を守れるようにすることを要求する」

 

マレーシアで組合員増加により組合の力を強化

2019-04-16

4月6~7日にマレーシアで全国的統一会議が開かれ、インダストリオール協議会と組合幹部が、国内のさまざまな産業で組合員数の増加による組合の力の強化に対する強い意欲を示した。

マレーシア労働組合局によると、同国の組合組織率は6%にすぎない。組合は今年、輸送・設備産業、電機・電子産業、製紙産業の工場で数千人の労働者の組織化を目指している。 

「私たちは多国籍自動車会社の労働者を組織化しようとしている」とインダストリオール・マレーシア協議会のモハマド・ファウジ議長は述べた。「本国の組合による連帯支援が必要だ」

アクション・プランには、組合と組織化に関する資料の作成が盛り込まれている。会合参加者は、グローバル・レベルの団体交渉の最新傾向に関する出版物についても議論した。これは組合が使用者と交渉する際に役立つ。

「インダストリオール事務所がクアラルンプールに移転した。マレーシアで、より強力な組合の構築を支援する」とアニー・アドビエント・インダストリオール地域事務所所長は述べた。

昨年12月以降、インダストリオール・マレーシア協議会はディーセント・ワーク作業部会と協力し、1955年雇用法、1959年労働組合法および1967年労使関係法の改革に関する一連の協議を開始している。

1月に人的資源大臣に雇用法修正案が提出された。残念ながら、同省が2019年3月に発表した最新の雇用法修正案は加盟組織の要求を無視しており、週44時間労働や98日の有給出産休暇など、2018年9月の最初の草案で示されていたいくつかの改善を撤回している。

参加者は、組合が労働権を求めて闘うために、ILO基準を利用して効果的な議論を展開する方法についても討議した。例えば、いくつかのILO条約の批准によって、国家が労働基準の引き上げや労働者の利益保護に取り組んでいることを示せるか。マレーシアの加盟組織は、もっと多くのILO条約、特に基本条約の批准を支持することに合意した。

 

現代労組と起亜労組がグローバル枠組み協定を要求

2019-04-15

現代・起亜労働組合ネットワークは4月8~9日にチェコ共和国オストラバで会合を開き、チェコ共和国、スロバキア、ドイツ、インド、韓国、ブラジル、トルコから、民主的な独立組合が組織化する全工場の代表が参加した。

会合では、ホスト組合OS KOVOのヤロスラフ・ソーチェク会長が開会の辞を述べた。オストラバで開かれたのは、ここに重要な現代工場があるからである。

参加者は全世界の現代工場と起亜工場、サプライヤーにおける関係を取り上げた。共通のテーマは同社との関係が悪いという問題であり、ドイツとトルコで組合つぶしが行われ、現地経営陣は労働者を他国の工場や組合と競い合わせようとしている。

現代は会合参加を取り止めようとした。同社はオストラバ工場訪問を拒否、組合間の相互信頼を弱めようと、「韓国の組合はチェコの同僚にでたらめな翻訳版の労働協約を送り、だまそうとした」と主張した。韓国金属労組(KMWU)のハ・ヨンチョル自動車担当部長が予備知識を提供し、同社の敵意について説明した。韓国の労使関係は敵対的で、KMWUは承認と労働協約を勝ち取るために何年もの間、長く厳しい闘争を強いられている。

チェンナイの現代自動車インド従業員組合のゴウリシャンカール・サンダラジャン書記長がビデオ通話で会合に参加し、同社はインド代表団による旅行を許可しなかったと説明した。最大の問題は不安定労働者の利用の増加である。生産労働者1万2,263人のうち、約4,000人が請負業者、6,000人が訓練工である。常勤契約を結び、賃金交渉の恩恵に預かっている労働者は2,200人にすぎない。

会合では、ネットワークを構築して同社の事業全体で労働条件を改善する手段として、同社とのグローバル枠組み協定(GFA)締結に努めることを決議した。KMWUは、GFAを求める闘いを牽引するために、他の問題を犠牲にして、この闘いを団体交渉の中核的要求にする意欲を示した。ハ氏は次のように述べた。
「資本が労働組合の団結よりも速く発展しないようにしなければならない」

グローバル協定はヨーロッパの社会的対話と調和するので、ほとんどのGFAが欧州企業と締結されている。韓国は4つの中核的ILO条約(結社の自由に関する条約など)をまだ批准していない。韓国企業とのGFAは、敵対的な環境下で労使関係の重要な先例となるだろう。ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール・グローバルユニオン自動車担当部長は次のように述べた。
「これは通常の会合ではなかった。GFAを目指すという決定は、現代と起亜の労働者が団結し、普遍的権利を求めて闘うという意思を示す証拠だ」
「KMWUは、この地域で組合権の確保に向けた重要な進展をもたらすであろうGFAを求めて、勇敢に先陣を切っている」

 

エレクトロラックスで公正な報酬を求めるストが継続

2019-04-11

何週間もの闘争を経て、ルーマニア・サトゥマーレのエレクトロラックス工場で、今も420人以上の労働者が1日3ユーロの賃上げを求めてストを続けている。

スト開始から1カ月半になるが、経営陣は今なお立場を変えることを拒否しており、労働者とその家族が人並みの生活を送れるようにする賃金を取り決めようとしていない。それどころか、エレクトロラックスは相変わらず1日1ユーロの賃上げと1日1ユーロの精勤ボーナスを提示している。これは労働者が例えば病気で皆勤できなければ、支給されない可能性がある。

経営側は、郡知事(地域の最高権威)や警察による調停の試みを妨害し、現地組合と建設的な対話に入ることを拒否している。

このスウェーデン系多国籍企業はルーマニアの労働者に月およそ360ユーロを支払い、400ユーロ相当の食事券を追加支給している。これは独身者537ユーロ、夫婦に子ども2人の世帯1,410ユーロと推定されるルーマニアの生活賃金を下回っている。

松崎寛インダストリオール電子担当部長は言う。
「エレクトロラックスが、ルーマニアも含めたすべての場所で同等の敬意を払って労働者を扱うよう期待している。経営側は直ちに組合と建設的な対話に入り、生活賃金と適正な労働条件を確保すべきだ」

 

アルセロール・ミッタル労組、グローバル対話の強化を目指して前進

2019-04-11

ネットワークはアラバマのアルセロール・ミッタル労働者への連帯を表明

世界最大の製鉄会社アルセロール・ミッタルの世界中の組合がリオデジャネイロで会合を開き、持続的な課題に取り組むために同社とのグローバルな関係を深めることを決議した。

15カ国のアルセロール・ミッタル労組指導者50人が2019年4月8~9日に会合を開催、行動計画を採択するとともに、インダストリオール・グローバルユニオンに対し、アルセロール・ミッタルのグローバル経営陣に接触し、グローバル枠組み協定の達成を目指して議論を開始するよう求めた。

これは2018年7月にルクセンブルクで設立されたアルセロール・ミッタル・グローバル組合ネットワークの2回目の会合だった。

参加者はネットワークの初会合以降の進展について議論した。例えば、カザフスタンとウクライナで労使関係に対するアルセロール・ミッタル経営陣の姿勢が改善し、紛争を引き起こすのではなく積極的な労使関係を支援するようになったことが挙げられる。

NUMSAのメシャック・ロバートソンズが、南アフリカのアルセロール・ミッタルにおけるストの最新情報を提供した。南アでは、組合が契約労働者の常用雇用と同一労働同一賃金を要求している。

会合参加者は、米アラバマ州カルバートのアルセロール・ミッタル合弁事業で、USWに加盟しようとする労働者の試みが抵抗に遭っているというUSWからの報告にショックを受けた。ネットワークは、現地経営陣が展開している反組合キャンペーンを非難する決議を全会一致で可決した。この決議はアルセロール・ミッタルのグローバル経営陣に対し、労働者がUSWに加入しようとする際にアルセロール・ミッタルが中立を保つという合意を現地経営陣に尊重させるよう求めている。

アルセロール・ミッタル南アフリカ人事責任者のアドリアニ・ダマジオが会合で発言し、参加者からの質問やコメントに対応した。ダマジオは、組合と協力するという会社側の姿勢を明確にし、女性をはじめ社内で歴史的に十分に代表されてこなかった集団に権限を与えるために、アルセロール・ミッタルが講じている措置について報告した。

ブラジルの組合が、アルセロール・ミッタルはブラジル政府による最近の労働法弱体化が突きつける課題に取り組むために組合と協力していないという懸念を表明し、労使関係と団体交渉において王道を行くよう同社に要求した。

ネットワークはインダストリー4.0がもたらす機会と課題について議論した。アルセロール・ミッタルはこの変化の過程でもっと組合を受け入れるようにしなければならない、と参加者は結論づけた。

会合では、女性のネットワーク参加に関するパネル・ディスカッションも行われた。ネットワークは、すべての会合でジェンダー平等を取り上げ、会社との対話でジェンダー問題を議題に盛り込み、これらの会合で女性参画の促進に努めることを決定した。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長がこう述べた。
「アルセロール・ミッタルがこの会合に参加し、支援してくれたことに感謝するとともに、同社がウクライナとカザフスタンにおける最近の労使関係改善に貢献したことを称賛する。しかし、重要な課題が残っている。それらの課題に取り組むにはグローバルな社会的対話が不可欠であり、それを達成できる最善の手段は、アルセロール・ミッタルがインダストリオール・グローバルユニオンとグローバル枠組み協定を締結することだと思う」

 

日本の批准でシップリサイクル条約に弾み

2019-04-02

日本がアジアで初めて香港条約を批准し、世界で最も危険な仕事である船舶解撤の浄化を目指すキャンペーンが大きく勢いづいた。

日本は、国連の国際海事機関が作成した船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港条約を世界で10番目に、アジアでは初めて批准した。

この条約の目的は、環境リスクと労働安全衛生リスクを最小限に抑えつつ、古い船舶を処分できるようにすることである。香港条約は、船舶リサイクル計画の策定など適切な安全対策と環境管理を義務づけ、各船舶のリサイクル方法を指定している。リサイクル対象船舶には危険性物質の一覧表を備え、適切に管理して船舶再生利用施設でリスクを取り除けるようにしなければならない。

この措置の狙いは、2016年11月にパキスタンのガダニ船舶解撤場で起こった爆発事故のような災害を防止することである。事故の原因は、燃料タンクから残存燃料を取り除く前に労働者に船の解体開始を強制したことだった。

香港条約は下記の条件を満たして初めて発効する。
1. 15カ国以上が批准
2. 批准国の商船船腹量が世界の40%以上
3. 批准国が過去10年間に合計船腹量の3%以上を再生利用

造船と船舶解撤の両方で労働者を代表しているインダストリオール・グローバルユニオンは、各国による条約の批准と船舶・解撤場所有者による安全な船舶リサイクルの確保を求めて、長期に及ぶキャンペーンを展開してきた。

条約はベルギー、デンマーク、フランス、日本、オランダ、ノルウェー、パナマ、コンゴ共和国、セルビア共和国、トルコによって批准され、これらの国々は世界の商船船腹量の23%を占めている。今年初めにセルビアとオランダが批准し、キャンペーンが勢いづいているという印象がある。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は次のように述べた。
「日本はアジアの主要海洋国として初めて香港条約を批准した。加盟組織の基幹労連とFNVは、日本政府とオランダ政府に条約の批准を働きかけるために多大な努力を払った」
「インダストリオールの香港条約批准キャンペーンは確実に成果を上げている。働きかけを強化し、条約の発効に必要な中核的船舶解撤国であるインド、バングラデシュ、パキスタン、中国にターゲットを絞っていく」

条約はまだ発効していないものの、インダストリオールをはじめとする団体による集中的なロビー活動の結果、一部の船主は安全かつ環境上適正な船舶再生利用はビジネスとして成り立つと判断するようになっている。船主と出資者は、自分の船が事故に巻き込まれたり汚染を引き起こしたりすれば信用を落とすことを認識している。

これらの所有者は、条約に従う解撤場だけで船をリサイクルすることを保証している。この流れを受けて解撤場はコスト面ではなくコンプライアンス面で競争するようになっており、インドでは現在72の解撤場が条約を遵守している