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第93号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年7月31日)

素材金属労組、団結して課題に取り組み続けることを決定

2019-07-05

2019年6月11日~13日、14カ国から約50人の組合代表がオーストラリアのシドニーに集まってインダストリオール・グローバルユニオンの素材金属運営委員会に出席、この産業の労働者が抱える課題をめぐり討議し、国際連帯へのコミットメントを再確認した。

この会合はオーストラリア労組(AWU)が主催した。現在、世界の鉄鋼生産能力は生産を4億2,600万トン上回り、さらに設備が拡充されている。OECDによると、「すでにこの部門の過剰生産能力を助長している特定の国々が新しい製鋼所を開設すれば、世界の鉄鋼業は新たな供給過剰に直面するおそれがある」。過剰生産能力は、この部門で閉鎖や倒産、雇用削減を引き起こしている。

運営委員会は、鉄鋼業に加えてアルミ産業とその生産チェーンを分析した。

ダニエル・ウォルトンAWU全国書記が歓迎の辞で次のように述べた。
「AWUは、重工業全体で労働者に公正な賃金・労働条件を提供しているグローバルな組合運動の一部だ。インダストリオールがオーストラリア・シドニーで素材金属会議を開催するにあたり、世界中から集まってくれた仲間の労働組合員を歓迎できることを光栄に思う」

運営委員会は各部門に影響を与えている主要問題に取り組んだ。参加者は貿易に関する立場の違いにもかかわらず、素材金属労組はどうすれば協力して過剰生産能力に取り組むことができるか討議した。デジタル化とインダストリー4.0は素材金属労働者にどのような影響を及ぼしているか、組合はどう対応すべきかについて討論が行われた。

参加者は、圧制的な政府や不安定労働者の利用を増やしている企業に直面して、どうすれば組合はより効果的に組織化できるかに関して意見を交換した。

韓国金属労組のオルグ、キム・ソンガーが、世界第5位の鉄鋼メーカーであるポスコが抑圧的な方法を用いて組合をつぶそうとしている実情を説明した。キムのプレゼンテーションはインド、トルコ、インドネシアからの同様の報告によって確認された。委員会は、対ポスコ・キャンペーンにさらに取り組むことに合意した。

この会合では、主要な多国籍企業に対する行動やキャンペーンをめぐり討議した。例えばアルコア、アルセロール・ミッタル、ゲルダウ、グレンコア、リバティーハウス、ノルスク・ハイドロ、リオ・ティント、タタ・スチール、ティッセンクルップ、テナリス、テルニウム、バローレックなどである。ワーカーズ・ユナイティング北米のマイケル・ミルサップがアルコアとアルコニックで進行中の契約交渉の状況を出席者に概説し、ワーカーズ・ユナイティング・ヨーロッパのアントニー・ピアソンと英コミュニティーのロイ・リックスがブリティッシュ・スチールについて報告した。

ウィメン・オブ・スチール

運営委員会はジェンダー政策に関する活発な討議を歓迎した。マリナ・ウィリアムズAWU会長が、この部門における自らの経験と会長就任について話した。女性運動家の元AWU鉄鋼労働者ロビン・マーフィーが、1980年から1993年まで14年間にわたってキャンペーンを実施し、女性がBHPスチール(現ブルースコープ)で働けるようにした経緯を説明した。

マーフィーは自作映画の一部を見せ、次のように語った。


(VimeoにアップロードされているBEフィルムスの『ウィメン・オブ・スチール』予告編)

「製作中の新作映画『ウィメン・オブ・スチール』の予告編は、男性優位の産業で不平等や差別との闘いに成功を収めた女性のキャンペーンの複雑な現実を浮き彫りにしている。この作品が新世代の女性や労働者の刺激になれば幸いだ」

「AWUでは初期のころから女性が活発に活動してきた。現在、ブルースコープ・スチールは積極的に女性を雇用しようとしている。この仕事は誇り高きAWUの男女労働者が闘争の末に勝ち取ったものだからだ。『ウィメン・オブ・スチール』は重要な物語であり、AWUはその製作に一役買ったことを大変誇りに思う」とダニエル・ウォルトンは述べた。

運営委員会の前日にアルコアとリバティーハウスのネットワーク会議が開かれた。アルコアは15カ国で1万4,000人の労働者を雇用しており、組合組織率が高い。ここ11年間、カナダ、オーストラリア、スペイン、スリナムで組織労働者に対する攻撃を強めている。アルコア会議は紛争や交渉における労働者との連帯を表明した。

リバティーハウスは短期間で急速に拡大し、世界の鉄鋼業で重要な企業になった。ベルギー、イタリア、ルクセンブルク、チェコ共和国、マケドニア、ルーマニアにおけるアルセロール・ミッタル鉄鋼事業の買収を受けて、リバティーハウス・ネットワーク会議は、労使関係や労働組合ネットワーク構築の未来について議論した。

両ネットワークは、今後活動を強化する旨決定した。

「3日間の徹底的な交流と討議の結果、素材金属部門における国際連帯の活発かつダイナミックな基礎ができた」とケマル・ウズカン書記次長は述べた。
「この部門の加盟組織とともに、あらゆる困難を乗り越えていく」

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