広報ニュース

第95号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年9月30日)

9月27日に全世界で気候行動を呼びかけ

2019-09-19

インダストリオール・グローバルユニオンは加盟組織に対し、気候変動と闘う世界的運動の一環として9月27日に行動を起こすよう呼びかけている。

2019年9月20~27日にグローバル気候行動週間が宣言されている。この週には重要な国連気候変動サミットが開催される。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「インダストリオール・グローバルユニオンは、持続可能な未来に至る公正な移行を求めて長年にわたり闘ってきた。今一度、極めて強く私たちの主張を通すときだ。私たちの未来、そして子どもたちの未来はそれにかかっている」

インダストリオール加盟組織には、9月27日に独自の取り組みを実施するか、各組織の行動を他の組合やナショナルセンターと統合するよう勧める。

加盟組織にできること:

  • COP21のパリ協定およびCOP24の公正な移行に関するシレジア宣言への強い支持を公に表明する。
  • 労働者を1人も置き去りにすることなく持続可能な未来を達成するために、包括的な公正な移行プログラムを要求する。
  • 地球温暖化に責任を負う企業に圧力をかけ、労働者・地域社会のための改善と公正な移行のコストを支払わせる。
  • 政治家に圧力をかけて公益を優先する持続可能な産業政策を策定させるとともに、経営者に圧力をかけて温室効果ガス排出削減策を緊急に講じさせる。
  • 政治家が明確かつ具体的な気候変動対策を定義するよう要求する。緊急の注意を要する分野はエネルギーと輸送、建設、金融である。

行動週間に計画されている行事のいくつかのリストを下記サイトで閲覧可能:https://globalclimatestrike.net/#join――私たちの行動に加わるか、各自の行動を組織されたい!

「気候危機は現実かつ緊急の問題であり、労働者と地域社会に脅威をもたらしている。この危機には環境的側面のみならず、社会的・経済的側面もある。持続可能な未来と安定した気候への架け橋は、労働者と家族、そして彼らに依存している地域社会を守る公正な移行だ」とヴァルター・サンチェスは言う。

貴組合の行動のニュースや写真をpress@industriall-union.orgまで送付のこと。

 

エリクソン・グローバル労働組合ネットワークが前進

2019-09-19

9月12~13日、スウェーデンの多国籍企業エリクソンの従業員を代表する労働組合がスウェーデンのキスタに集まり、第3回エリクソン・グローバル労働組合ネットワーク会議を開いた。

このネットワークは2016年4月に発足し、その目的は世界中のエリクソン労組の団結、不可欠な情報や慣行の共有、労働者の団結権と団体交渉権の保護、グローバルな対話への同社の関与である。

このネットワークはUNIグローバルユニオン、インダストリオール・グローバルユニオンおよびスウェーデンのエリクソン労組の共同イニシアティブである。

会議の焦点は全世界のエリクソンにおける最新の展開で、議題は以下のとおり。

  • 情報交換と各国の組合活動
  • サプライチェーンも含めた組織化戦略の策定
  • 社会的責任と人権に関するエリクソンの方針
  • 組合間の連絡調整

会議2日目にはエリクソン経営陣を迎え、同社の社会的責任方針とその実施について意見を交換した。

この会議の結果、エリクソン労働組合ネットワークは改訂された戦略計画を採択し、参加者は組織化戦略を開発して全世界で会社側との社会的対話を促進するために、国境を越えた協力と連帯行動について合意した。

エリクソンはストックホルムを拠点とする多国籍ネットワーク・通信機器メーカーである。

 

米ゼネラル・モーターズで5万人近いUAW労働者がスト

2019-09-18

アメリカの自動車部門で過去10年以上ぶりの大規模なストが発生、全米50カ所を超えるゼネラル・モーターズ工場で5万人近いUAW組合員が作業を停止している。

インダストリオール・グローバルユニオンに加盟している全米自動車労組(UAW)の地方組合幹部約200人は、この巨大自動車会社との現行労働協約が9月14日土曜日に失効したあと、スト決行に全会一致で合意した。

労働者はGMに対し、同社のUAW組合員が健全かつ有益な産業を生み出すために行った貢献と払った犠牲の承認を求めている。

「私たちはGMのUAW組合員に、組合員と彼らの未来を擁護すると伝えた」とゲーリー・ジョーンズUAW会長は述べた。

UAW組合員の要求は以下のとおり。

・適正賃金
・手ごろなコストの医療
・利益分配
・雇用保障
・臨時労働者が常用雇用に就くための明確な経路

「私たちはゼネラル・モーターズが労働者を最も必要としたときに同社を守った。私たちは今、組合員と家族、私たちが働き生活している地域社会のために団結・連帯している」とテリー・ディッテスUAW副会長は述べた。

適正賃金と利益分配を要求するGMのUAW組合員
写真:UAW/フェイスブック

2008年、米財務省は総額495億米ドルもの資金を投じてGMを救済し、UAW労働者は米国有数の自動車メーカーの経営を存続させるために大幅な譲歩を受け入れた。GMは過去3年間に北米で350億米ドルを超える利益を上げており、労働者は適正賃金と利益分配を求めている。

同時に、メアリー・バーラGM CEOの2018年の報酬は2,187万米ドルに上り、この金額はGM労働者の平均賃金の281倍である。

同じくインダストリオール加盟組織の全米運輸労組によると、組合員1,000人がUAWと連帯し、全国の販売代理店へのGM製品の輸送を控える予定である。これはGMの流通能力に甚大な影響を与える。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、UAWのゲーリー・ジョーンズ会長とテリー・ディッテス副会長への書簡で次のように述べている。
「貴組合の要求憲章は、GMの経済的成功の正当な分け前と雇用保障、不安定労働者の削減を求めています。これについて、私は世界中の労働運動全体による支援をお約束できます。不安定性と不安定雇用は私たちの地域社会を破壊します。この闘いは私たちの闘いでもあります。私たちは皆さんと協力し合い抵抗します」

このストと並行して、やはりインダストリオール加盟組織である韓国金属労組(KMWU)の組合員1万400人が、GMに対するストの2週間目に入っている。カナダやブラジルなどの他のインダストリオール加盟組織も、各国のGM労働者を守るために大胆な行動を取っている。

インダストリオールは加盟組織に対し、GMのUAW組合員との連帯を表明するために、UAWのゲーリー・ジョーンズ会長とテリー・ディッテス副会長に書簡を送り、マーク・リバーディ(mliburdi@uaw.net)とクリスティン・ピーター(kpeter@uaw.net)に写しを送付するよう呼びかけている。

 

南アフリカの組合が賃金協約を締結

2019-09-18

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の南アフリカ全国金属労組(NUMSA)は、数カ月に及ぶ交渉の末、自動車部門の使用者であるBMW、メルセデスベンツ、フォード、いすゞ、日産、トヨタおよびフォルクスワーゲンを代表する自動車製造業使用者組織(AMEO)と労働協約を締結した。

2022年に失効する9月12日締結の3カ年賃金協約に従って、この部門の労働者は2019年に9%、その後は毎年7%賃金が増える。この賃上げは年1回インフレ調整も行われ、通勤手当は1,540ランドから2,500ランド(105米ドルから171米ドル)に増額される。

協定には、そのほかにも家族責任休暇や一時解雇の場合の支払いといった給付が盛り込まれている。交渉単位の労働者には7,500ランド(510米ドル)の1回限りの給与金が支払われる。さらに、労使協議によって医療扶助と技能等級に関する案を仕上げる予定である。

イルヴィン・ジムNUMSA書記長は言う。
「組合の交渉チームは交渉をここまで進めるためにたゆまぬ努力をしてくれた。その大変な努力に感謝している」

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。
「私たちはNUMSAとAMEOが締結した労働協約を称賛する。この協約は南アフリカ共和国の自動車部門で継続的に労働条件を改善していく内容となっているからだ。自動車部門はインダストリー4.0を受け入れているので、私たちは労働者に利益を与えている技能開発イニシアティブも称賛する」

自動車部門は南アフリカ最大の製造業部門として製造のほぼ30%に貢献し、年間60万台以上の車両を生産しており、南ア経済にとって重要である。この部門は国内総生産の約6.8%に寄与しており、さらにバリューチェーンで10万人以上の労働者を雇用、技能開発や技術・革新、海外直接投資にも貢献している。

南アフリカ共和国の自動車部門には、自動車と部品の製造、流通、整備点検および保守が含まれる。2020年に南アフリカ自動車マスタープランに取って代わられる予定の自動車生産開発プログラム(2013年)は、OEMを支援しており、輸出市場向け生産の重視を目指している。このプログラムは現在37%の南アフリカ製自動車の現地調達率を高めるために、OEMに税金還付などの助成金を与えている。

 

インドの自動車労組がテクノロジー変革の準備

2019-09-18

インドおよび国外の自動車労組代表が9月14~15日にチェンナイで2日間のワークショップを開催、この部門のテクノロジー変革を評価し、労働組合の対応を共有した。

ワークショップ参加者は、労働組合は生産プロセスにおける複雑かつ急速な技術変化と、この変化が雇用保障、労働者の権利および福祉に及ぼす影響を積極的に理解しなければならないと強調した。

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車・航空宇宙産業担当部長が次のように述べた。
「だれも置き去りにされず、今日の労働者が明日の労働者でもあるようにすることは、使用者、政府および労働組合の社会的責任だ。労働者の技能格差を評価し、あらゆる従業員の訓練ニーズを満たさなければならない。訓練・再訓練に十分な資源を充当すべきだ」
「自動車労組は、そのようなニーズを団体交渉プロセスで取り上げ、進歩的な労使関係の構築に貢献しつつ、この変化を労働者に有利な方向に動かすべきだ。労働者は意見を通すために団結する必要がある。組合はプランを立てるとともに、私たちの未来を確保するために組織化する必要がある」

インドの自動車労組は、インダストリオールが先ごろルノー・グループと締結した労働生活の質に関する革新的な協約を利用することができる。この協約は多くの点で、仕事の世界で新たな問題の解決策を見つけるために社会的対話を利用する枠組みを提供してくれる、とゲオルクは付け加えた。

国際労働組合代表が、フォルクスワーゲンやフォードといった企業の社会的対話プロセスと持続可能な組合機構の大要を説明した。自動車総連とIGメタルも、自国での活動状況を共有した。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「インド全国で自動車生産販売が減少しているため、数千人の自動車労働者の雇用が失われている現況を私たちは深刻に懸念している。最も大きな被害を受けているのは契約労働者だ。インドの自動車労組は、組合の力と団体交渉プロセスを強化するために持続可能な組合機構を確立し、テクノロジー変革が突きつける課題を克服するとともに、すべての労働者の利益を守らなければならない」

インドの自動車労組代表は以下のとおり決議した。すなわち、女性と不安定労働者を含むより多くの労働者を組合に加入させること、契約労働者を正規雇用化するために対策を講じること、技術変化とその影響に対する認識を促すこと、団体交渉を促進すること、自動車労組間ネットワークの制度化によって組合の力を強化することである。

会合参加者には、アショク・レイランド、BMW、ダイムラー、フォード、ゼネラル・モーターズ、現代、マヒンドラ、メルセデスベンツ、シュコダ、タタ・モーターズ、フォルクスワーゲン、ボルボのインドの組合代表が含まれていた。

 

マレーシアでILO第87号条約の批准を要求

2019-09-16

マレーシアのインダストリオール加盟組織は他の現地組合とともに、結社の自由と団結権に関するILO第87号条約の即時批准を政府に要求している。

組合によると、新政権は結社の自由の原則に違反している制約的条項の撤廃によって労働組合法(1959年)と労使関係法(1967年)の改革を進めているため、間もなく国内法が同条約に従う予定であり、政府による条約の批准を妨げる障害は何もない。

「マレーシアの組合運動は政府に条約の批准を要請しており、マレーシア労働組合会議(MTUC)の歴代指導部は批准を求めて精力的に運動してきた。組合が批准を支持していないという主張は間違いであり、10年の猶予期間の要求は意味をなさない」とインダストリオール加盟組織である全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)書記長で労働法改革連合(LLRC)共同議長のゴパール・クリシュナムは、9月8日の結社の自由に関するLLRCシンポジウムでの記者会見で述べた。この会合には約100人の全国組合指導者と労働者組織代表が出席した。

「第87号条約は職場で労働組合の乱立を助長し、マレーシアの労働者の分裂を悪化させるという誤解がある。しかし実際には、この条約は政府・使用者から干渉されずに組織化する労働者の権利を保護するうえで役立つ。効果的な民主的組合は間違いなく労働者全員から支持される」とゴパールは付け加えた。

「第87号条約が実施されればマレーシアの労働者は企業別組合よりも産業別組合への加入を選ぶ、と私たちは考えている。産業別交渉のほうが労働者の利益と一般の福祉を保護する効果が大きいからだ」

LLRCは2018年、マレーシア初の連邦レベルの政権交代後に創設された。労働組合・NGO58団体から成る連合であり、以前はディーセント・ワーク作業部会と呼ばれていた。この連合は、雇用法・労働組合法・労使関係法の改革に関する組合幹部との協議会合を開いている。

 

未来のエンジニアリング――機械エンジニアリング労組が課題に対処

2019-09-16

世界19カ国から90人近くの代議員が9月11~13日にドイツのシュトゥットガルトに集まり、機械エンジニアリング部門世界会議を開いた。

この会議にはインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が出席し、向こう4年間の集団アクション・プランを策定した。

討議の中心となったのは気候危機である。この部門は輸送産業や再生可能エネルギー産業、環境に優しい技術に関係のあるすべての産業向けにプロセスと製品の両方を開発しているため、重要な役割を担っている。例えば、農業・建設・採掘機器、自動車部品、機械、エネルギー生成コンポーネント、ベアリング、リフト/エスカレーターなどである。

IGメタルで機械エンジニアリング部門を担当しているウォルフガング・レムと、オーストリア社会民主党の議員でPRO-GE会長のライナー・ウィンマーが開会の辞を述べた。レムは、気候変動を深刻に受け止め、気候目標を達成する良質な雇用に部門の専門知識、資本および資源を振り向ける持続可能な産業政策を策定する必要があると語った。

ウィンマーは、この部門は健全で持続的に成長しており、脅威の原因は外部にあると述べた。
「トランプ、ボルソナーロ、ジョンソンといった新しい政治指導者が現れ、自分のイメージどおりに世界を作り変えて貿易戦争を始めている。彼らは気候危機との闘いを大きく後退させている」

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が、グローバル経済と組合運動、機械エンジニアリング部門が直面している課題を概説した。組合は新しいグローバル協定を考案し、人口動態や労働慣行の変化に対応する必要がある。

「私たちはユニオン4.0になる必要がある」と書記長は述べた。

サンチェスとレム、ウィンマーが記者会見を開き、この部門におけるグローバルな組織化の未来について記者の質問に回答。

 

マティアス・ハートウィッチ担当部長が進行中の転換について概説した。

「これは仕事の進化であり、このプロセスに加わることは組合の責務だ。加わらなければ未来は企業と経営側だけの決定に委ねられ、労働者に有利な変化ではなく不利な変化が起こるだろう。先を見越して行動し、私たちの要求と提案を提出する必要がある」

トーマス・バウアーンハンズル教授

フラウンホーファー研究所のトーマス・バウアーンハンズル教授が、モノのインターネットや機械学習、5G接続、大規模高解像度監視が未来の特徴になりそうな状況について説明した。機械エンジニアリングはプラットフォーム・ベースの企業との競争にさらされている、と教授は警告した。プラットフォームは資本を持っているが、エンジニアリング会社が持っているデータを必要とする。企業は、プラットフォーム用の製品を作るために競争するハードウェアベンダーに成り下がらないように注意する必要がある。

2日目はPRO-GEのクラウディア・フリーベンが最初に発言し、この部門における女性参画レベルの低さと女性が直面している障害を強調した。見習工の40%を女性が占めるフェント・トラクター工場の職場委員をはじめ、何人かの女性代議員が経験を共有した。

シーメンスの溶接工エイミー・ローが経験を共有

インダストリオール・ヨーロッパのローラン・ジベルがグリーンテクノロジーをめぐる討議の口火を切り、組合は生涯学習とキャリアアップによって機械エンジニアリング部門および労働者の開発への投資を支持する必要がある、と述べた。

ケマル・ウズカン書記次長とジベルは、デジタル化の脅威と機会も取り上げた。代議員たちは、新技術によって自分たちの仕事が根本的に変化している実態を示す例を挙げた。ウズカンは次のように述べた。
「仕事の未来の移行を通して人々を支援する制度や政策、戦略への投資を強化する必要がある」

ケマル・ウズカン

 

代議員は、6月11日からストを実施しているリーバの鉄鋼労働者に連帯メッセージを送った。

ウォルフガング・レムが、グリーンテクノロジーとインダストリー4.0を主要な課題として確認する行動計画を紹介し、次のように述べた。
「人類史上初めて、技術の進歩が社会の進歩に追いついた」

レムは活動を推進するための組織機構の重要性を指摘した。すなわち、SKFやティッセンクルップのような企業別ネットワーク、リフトや農業機械器具のようなグローバル・サブセクターネットワーク、グリーンテクノロジー会議のようなサブセクター会議である。

デュール社製のロボット。画像ソース:デュール

労働組合は、社会的、生態的かつ民主的な解決策の一部になる必要がある。

アクション・プランが全会一致で採択された。

9月13日、代議員は従業員代表委員会の招きによりデュール工場を見学した。デュールは年間2,000台のロボットを生産している。この見学で、産業労働者の仕事の割合が低い未来の工場がどのようなものになりそうかを実際に見ることができた。

 

リーバの鉄鋼労働者が4カ月にわたってスト

2019-09-13

ドイツ史上最長の部類に入る労働争議が進行中であり、ドイツ南西部の2つの鉄鋼工場で労働者130人が6月11日からストを実施している。

トリールとホラスのヘニッヒスドルフ・エレクトロシュタールベルケ(HES)工場でストが始まったきっかけは、5月に会社側が団体交渉の決裂を一方的に宣言し、IGメタルと協定を締結するつもりはないと述べたことだった。

HESはイタリア系鉄鋼グループのリーバの傘下で、ほかに2カ所の生産拠点があり、そこでは労働者が労働協約の対象となっている。リーバは2年前にトリールとホラスの施設を買収し、ドイツ子会社のHESに組み入れた。賃金は地域労働協約に定める水準より20~30%低いと報告されている。

労働者に地域の標準賃金を支払えば、コストが年間約100万ユーロ増えるだろう。ストによる経済的な損害は現在のところ約300万ユーロと推定されるが、経営側は態度を変えようとしていない。労働者は、ストの目的はもはや金銭ではないと考えている。リーバはドイツでほかにも鉄鋼子会社を所有しており、同社が組合つぶしの先例を作ろうとしているのではないかという懸念がある。

ストは地域社会、社会民主党、左翼党および緑の党から支持を集めている。トリールでデモが行われ、労働側は何度か代表団をベルリンに送って労働大臣と会談した。

このストは国際的な支持も得ている。9月11~12日にシュトゥットガルトで開かれたインダストリオール・グローバルユニオン機械エンジニアリング世界会議の代議員は、全会一致で連帯声明を可決し、次のように述べた。

「私たち19カ国から集まった90人の参加者は、スト中のリーバ労働者と連帯する」

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長とリュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ書記長はリーバ経営陣に合同書簡を送り、IGメタルとの団体交渉再開を要求した。

書簡の内容は以下のとおり。
「IGメタルはストを指令する以外に選択肢がありませんでした。このストは労働者の絶対的な支持を得ています。労働者はすでに13週間以上ストを実施していますが、状況に変化はありません」
「付言しておくべき重要な留意点は、IGメタルは討議を促進するために仲裁人の指導下で協議を行うことまで申し出ましたが、無駄に終わったことです」
「インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパはリーバ・シュタールに対し、交渉の場に戻って紛争の公正かつ公平な解決を達成するよう要求します」

 

南アジアで持続可能な船舶解撤に向けて前進

2019-09-04

南アジアで船舶解撤労働者を代表するインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、8月末にネパールのカトマンズで会合を開き、世界で最も死亡率が高い部類に入るこの仕事でさらに多くの命が失われている中で、安全性の向上と組合の強化に取り組んだ。

8月31日にバングラデシュ・シタクンドの船舶解撤場で労働者2人が死亡、13人が負傷し、南アジア地域の船舶解撤で基本的な安全対策を実施する必要があることをはっきりと思い出させた。

8月26~28日にオランダの加盟組織FNVのヨープ・バン・オードとマーティン・バン・デ・ブーフトが労働安全衛生に関するトレーナー訓練ワークショップを実施し、バングラデシュ、インドおよびパキスタンの組合から組合活動家16人が参加した。

この訓練では、コミュニケーション、監視、組織、個人用保護具の適切な使用、騒音公害からの保護、事故防止、ワイヤーロープや工具、シャックルの安全な使用など、労働安全衛生のさまざまな側面を取り上げた。

参加者は優良事例を共有し、安全性の問題について率直に語り、安全性向上方法に関して同僚を最もうまく訓練する方法をめぐり議論することができた。

8月29~30日に開かれた後続の地域プロジェクト会合では、より広い世界状況に照らして船舶解撤産業を評価し、進行中の組合組織化活動を調べ、適切な加盟費徴収制度によって持続可能な組合を構築する手段について討議した。

南アジアのインダストリオール船舶解撤部門
加盟組織がネパールで会合

労働組合員は、安全性に改めて焦点を当てるとともに、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准を各国に求めるキャンペーンを強化する必要があると強調した。

国際海事機関の香港条約の発効には、世界の商船船腹量の40%を占める15カ国による批准が必要である。今までのところ、商船船腹量の29.42%を占める13カ国が批准している。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は次のように強調した。
「インドとバングラデシュまたはパキスタンに条約を批准させれば、条約発効に向けて大きく前進する」

会合では、プラスチック・リサイクル処理場や鉄鋼再圧延工場などの活動に従事する、川下の労働者の組織化についても討議した。

川下の船舶解撤産業で働く女性の劣悪な条件
について議論するSEWA組合員

参加者は、南アジア船舶解撤プラットフォームを設置し、労働者および同じ考えを持った組織が一致協力して地域の船舶解撤産業で労働条件を改善できるようにすることも決議した。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は次のように語った。
「船舶解撤は依然、世界で最も危険な産業の1つだ。船舶解撤労働者に、命を危険にさらしながら億万長者の船主の汚い仕事をさせることはできない。インダストリオールとFNVの連帯努力は、解撤場の安全性を高める労働者の能力を強化する」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「加盟組織は、船舶解撤とその川下産業で非常に重要な安全性の問題に対応するために、組合機構の強化を目指して取り組んでいる」

インダストリオール加盟組織のバングラデシュ金属労働者連盟(BMF)、バングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労働者連盟(BMCGTWF)、パキスタンの全国労働組合連盟(NTUF)、インド鉄鋼・金属・機械労連(SMEFI)および女性自営労働者連合(SEWA)が、FNVの連帯支援でインダストリオールが開催した会合に参加した。

 

ブラジルのGM労働者が雇用保護キャンペーンを開始

2019-09-04

ゼネラル・モーターズのサンジョゼ・ドス・カンポス工場の労働者は、同社が17人を解雇した数日後に雇用保障キャンペーンを開始した。

ゼネラル・モーターズ(GM)は今年2月に組合と協約を締結し、労働者に控除なしで2,500ブラジル・レアル(600米ドル)を支払うと約束した。この金額を支給されなかった労働者もいたが、組合がストに入ると明言すると、GM経営陣は締結された協約に従うことに同意した。

2月の協約でGMは工場への投資も約束した。

しかし8月23日、GMはサンジョゼ・ドス・カンポス工場で17人の労働者を解雇した。CSPコンルータス傘下の組合サンジョゼ・ドス・カンポス金属労組によると、GMは現従業員の代わりに低賃金労働者を雇うことによって利益を増やそうと試み、労働者をレイオフしたという。

「GMは解雇と同時に、注目を避けるために週末直前に新規労働者の雇用を発表した」とCSPコンルータス管理機関メンバーのルイス・カルロス・プラテスは語った。

これを受けて組合員は、雇用保障を求めて闘うためにキャンペーンの開始を決定した。

組合は8月29日のGM経営陣との会談で会社側に対し、2月に約束した投資を実行し、労働者の雇用を保障するよう要求した。

マリーノ・バニ・インダストリオール・グローバルユニオン地域事務所所長は次のように述べた。
「労働者の闘いを支援する。私たちは前回のGM労働者の地域会合で、同社に締結された協約を守らせ、労働条件の不安定化によって利益目標を達成しようとするのをやめさせることを約束した」

 

バングラデシュの船舶解撤産業で打ち続く死亡事故

2019-09-04

バングラデシュの船舶解撤産業で悲惨な安全記録が続いており、8月31日にシタクンダのジリ・スベダール船舶解撤場でまた事故が発生、労働者2人が死亡し、13人が負傷した。

悲劇が起こったのは午後5時45分ごろで、重い金属ケーブルが落下し、CSLバージニア号を解体していた労働者を直撃した。亡くなったのはアミナル・イスラム(50)とトゥシャール・チャクマ(25)であることが確認された。負傷者はチッタゴン市の病院に入院した。事故発生時、この解撤場では少なくとも55人の労働者が働いていた。事故はシタクンダ警察署に届け出られた。

2019年7月31日、シタクンダで最も古い船舶解撤場の1つであるマック・コーポレーションのMTアトラス号で事故が発生し、労働者3人が死亡、6人が負傷した。使用者は適切な安全手順に従わずに、労働者に船の燃料タンクを廃棄させた。そのため有毒ガスが漏出し、労働者が死に至ったのである。同じ日に北ショナイチョリのガマリルトルにあるナジア再圧延工場でも、ユーセフ(45)という労働者が鉄片に直撃されて亡くなった。

7月23日にはシタクンダのカビール・スチール船舶解撤場で、労働者のシャヒダル・イスラム(30)が船の上部から空タンクの中に落下して死亡している。

公表資料によると、バングラデシュの船舶解撤産業では2019年に入ってから少なくとも14人の労働者が死亡した。2019年5月にインダストリオールが発表した最近のニュース記事は、今年1月以降の事故の詳細を明らかにしている。

松崎寛インダストリオール船舶解撤担当部長は言う。
「バングラデシュの船舶解撤産業で死亡事故が続発している状況を強く非難する。これらの事故は、政府の監督不足と使用者の怠慢で労働者が命を落し続けていることを示している。バングラデシュ政府は、2018年のバングラデシュ・シップリサイクル法を実施し、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約を批准するために、直ちに行動しなければならない」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「一連の事故のほとんどすべてが絶対に回避可能であることは明らかだ。政府と船舶解撤使用者がだらしないせいで労働者が次々に死んでいる。バングラデシュ政府は船舶解撤場の安全性を高めるために一層の努力をすべきだ」

 

ハーランド・アンド・ウルフ造船所の占拠開始から5週間、支援が拡大

2019-09-04

ハーランド・アンド・ウルフの労働者は5週間前からベルファスト造船所を占拠し、造船所の救済を要求している。

タイタニック号を造ったハーランド・アンド・ウルフ造船所は8月6日に管財人の管理下に入り、資金難のノルウェーの親会社ドルフィン・ドリリングの買い手が見つからなければ、120人を超える雇用が失われる可能性がある。

労働者は7月30日から造船所を占拠し、投機家や資産剥奪者による乗っ取りを防ごうとしている。労働者は管財人による現場への立ち入りを妨害した。職場委員のジョー・パスモアが説明する。
「労働者の利益を深く心にかけず、造船所を乗っ取ろうとする連中を受け入れるつもりはない。この造船所を動かしているのは私たちであり、誰を受け入れるかは私たちが決める」

現場の労働者を代表しているインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のGMBとユナイトは、英国政府に造船所の国有化か救済計画を求めており、「労働者は政府よりはるかに深くこの造船所に対する献身を示している」と述べている。

英国政府が介入を拒否したことは、スコットランド政府が作った先例(8月にポートグラスゴーのファーガソン造船所を国有化)とまったく対照的である。ファーガソン・マリンの労働者が造船所を訪問し、支援を表明した。

スコットランド政府によって国有化されたファーガソン・マリンの労働者が支援を表明

運動家たちは、この造船所は再生可能エネルギー部門向けの設備を生産しており、グリーン・ニューディール政策の一環として保護すべきだと主張している。

労働者は地域社会ならびに全世界から支持を集めている。8月23日に造船所で集会が開かれ、全国の労働組合指導者が演説した。

この強力な支援を受けて、この造船所を継続企業として買い取りたいと考える候補者から真剣な申し入れが何件か寄せられている。

ユナイトのスーザン・フィッツジェラルドは次のように語った。
「現場を訪れて見て回っている入札者は、ただ買収しようとするだけではなく、付加価値の高い雇用がますます増えていく活気ある未来も約束してくれる」
「この造船所はほんの何週間か前には閉鎖を宣告されていたが、今では購入希望者が競って入札している」

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長はこう述べた。
「労働者たちの勇気と決意は感動的であり、この造船所に生命があることを示しており、世界中から支援が寄せられている。真剣な買い手が見つかり、造船所の未来が確保されるまで、自分たちの暮らしを守ろうとしている労働者を引き続き支援していく」

こうした中で組合は、造船所再開まで契約と雇用条件を守る一時解雇を交渉している。