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第97号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年11月30日)

造船・船舶解撤部門で行動

2019-11-08

船舶解撤は世界で最も危険な職業の1つである。インダストリオール造船・船舶解撤アクション・グループは11月4~5日にマルセイユで会合を開催、不安定雇用、香港条約批准キャンペーン拡大とともに安全性が主要議題となった。

神田健一共同部会長が開会の辞で、労働者の安全保護の重要性について語った。

「このアクション・グループは労働者の権利を促進しており、改善が見られる。
しかし、この産業では依然あまりにも多くの命が失われている」

中国が昨年船舶解撤を禁止したので、インドとパキスタン、バングラデシュが世界の船舶解撤の総トン数の92%を占めている。

インドは新しい船舶解撤法を採択しようとしている。やるべき仕事はまだ残っているが、SMEFIのラネー・ビジャーダール・バスエドの報告によれば、この産業は重要な前進を遂げている。社会的対話が始まり、労働条件と安全衛生(新しい病院など)が改善している。持続可能な船舶解撤への投資が行われており、国内の船舶解撤施設の8割が環境に配慮している。

NTUFのナディール・アジズによると、パキスタンの状況は厳しい。船舶解撤に従事する約1万人の労働者は賃金が低く、手袋やヘルメットのような安全対策もなく、きれいな飲料水を飲めない条件下で働いている。民間契約者が食堂と宿泊設備、1台の救急車を運営しているが、法外に値段が高く質は標準以下である。

「インドでは事故が減少しているが、バングラデシュでは今年すでに14人が亡くなった。この違いは国際基準遵守の重要性を示しており、私たちは労働者に対してこの産業を浄化する義務を負っている」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は述べ、安全な船舶解撤に関する香港条約の批准キャンペーン拡大を促した。

今までのところ13カ国が香港条約を批准しているが、条約の発効には、商船の総トン数の40%、リサイクルトン数の平均3%を占める15カ国による署名が必要である。


造船業における各国の経験

造船業には全世界で移民労働者が流入している。国によっては、労働力の最大30%が主に中国、ベトナム、フィリピン、ポーランド、ルーマニアからの移民労働者である。

例えばオランダでは、斡旋業者や使用者に利益を与える取り決めによって移民労働者が大幅に増えているが、労働者は自分たちの権利について知らされず、国の社会保障制度や年金を利用できない状況に置かれている。不安定な状況では、苦情を言えば路頭に迷うことになるかもしれない。

アクション・グループは、移民労働者の権利擁護の重要性と、労働協約に移民労働者の権利を盛り込ませたいという願望を強調した。

チリの造船部門労働者は長い間、労働組合に加入できなかった。造船は軍事部門とみなされていたからである。CONSTRAMETのミケル・ゴッツォン・カペティージョ・カルデナスが、組織化が合法化されたため、自分の造船所では労働者の80%が組合に加入していると報告した。しかし法律は依然、労働協約交渉のような基本的組合権を制限している。

韓国金属労組は、現代重工業と大宇造船海洋との合併に抵抗している。同労組はここ数カ月間に一連のストを行い、常用労働者と契約労働者が並んで参加している。

これに対して同社は、解雇や給料の不払い、組合の銀行口座凍結、労働協約をめぐる交渉の停止によって、1,000人を超える労働者を処罰した。

女性は造船・船舶解撤両産業で十分に代表されていない。船舶解撤は造船所の川下で非常に多くの(ほとんどの場合インフォーマルな)仕事を生み出す。インドでは女性自営労働者連合が、川下でプラスチックやくず鉄のリサイクルに従事する女性を組織化している。


反撃すれば勝てる

オーストラリアの組合AMWUは2013年、「オーストラリアの船は国内で設計・建造・整備」キャンペーンを開始した。このキャンペーンは3年間続き、労働者と地域社会を動員して政治家に働きかけた。最終的に造船業の雇用を守り、「それらは高賃金の良質な雇用である」。

勢力を増し、声を揃えて発言するために、オーストラリアの造船業労組4団体が結集し、オーストラリア造船労連(ASFU)を結成した。

「ASFUは資源の利用を調整・合理化し、使用者、政府および業界との交渉にあたって連帯と強さを表明している。力を合わせて組織化し、産業の力を強化している」とグレン・トンプソンは述べた。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長が、2日間の会合を締めくくって次のように語った。
「2011年にこのグループに船舶解撤を組み入れた結果、私たちはより強くなり、連帯の拡大につながった。これからも支え合い、この部門の持続可能な未来のために組織化と教育・訓練を行う」

アクション・グループは特に以下の措置によって、2020年も引き続き労働者の権利を守り、組合の力を強化していく。

  • 香港条約キャンペーンの拡大
  • 造船・船舶解撤産業における女性参画の改善
  • 既存の労働組合ネットワーク(フィンカンティエリ、BAE、ナバル)の開発
  • 多国籍企業とサプライチェーンに関する調査
  • グローバル枠組み協定の交渉可能性の模索
  • 不安定労働者・移民労働者に関する徹底的なマッピング
  • 不安定雇用の制限に関する優良事例の共有
  • KMWU合併反対闘争への連帯支援の継続
  • 改訂ILO行動規範の促進

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