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インダストリオール・グローバルユニオン造船・船舶解撤アクション・グループ会議

2012-11-21

船舶のライフサイクルと持続可能な雇用に焦点を当て討議

  ブラジルで 造船・船舶解撤アクション・グループ会議開く

11月19~20日にブラジルのリオデジャネイロで、CNM-CUT主催のインダストリオール・グローバルユニオン造船アクション・グループ(AG)会合が開かれ、ブラジル、チリ、デンマーク、フランス、インド、日本、韓国、オランダ、ノルウェーから26人が参加し、以下の議題をめぐって活発に討議した。

●造船・船舶解撤産業における将来の傾向の予想

●労働安全衛生、組織化、不安定労働との闘い

●持続可能な産業・職場の促進

●船舶のライフサイクルにおける公正かつ平等な競争条件に向けた協力

●インダストリオール・グローバルユニオンとしての将来活動の立案

 世界の造船業は2008年の金融危機がきっかけで現在の不況に陥り、厳しい時期を迎えている。主要造船国・地域(中国、韓国、日本、ヨーロッパ)の受注残合計を見ると、造船能力と雇用が現行水準のままだとすれば、もう約2年分の仕事量しか残っていない。同時に、造船労働者の職場が主要造船国から新興経済国、すなわちブラジルやインド、フィリピン、ベトナムに急速に移転している。

 現在、ブラジルには20万人(直接雇用4万人、間接雇用16万人)の造船労働者がいる。ルーラ/ジルマ政権が実施した産業活性化政策の結果、造船労働者数は2002年から260%以上増加した。組合は、組合職場委員会を結成する自由や外部委託労働者へのCBA適用など、いくつかの課題に直面している。CNM-CUTのエドソン・カルロス・ダシルバ氏は次のように述べた。

「ブラジルの造船業には、組合と使用者団体と政府による政労使協議制度がある。この制度を利用して、先端技術や労働者向け技能訓練も含め、組合権と持続可能な雇用を確保したい」

 アクション・グループ(AG)参加者は、造船産業と船舶解撤産業はともに依然として多くの地域で不安定かつ危険な職業であるという共通認識に達した。韓国では造船労働者の運動が、けがや病気のない仕事を求める闘いの一環として、筋骨格障害(MSD)の治療と予防を勝ち取るために闘った。この経済危機下で韓国の造船労働者は、企業がすべての痛みを労働者に押しつけようとした際に抵抗した。その成功例は、労働者全員が復職した昨年の韓進闘争である。KMWUのホン・ジウク氏はインダストリオールに対し、造船・船舶解撤産業労働者の人数を反映させるようにAGへの参加を拡大するとともに、今後の会合に共通の行動や連帯の基盤を盛り込み、世界の造船・船舶解撤における不安定労働の増加や現下の危機における労働者の保護など、差し迫った問題に対処することを求めた。

 インド、バングラデシュ、パキスタンの南アジア地域は、総トン数で世界の船舶解撤の70%近くを占めている。12万人以上の船舶解撤労働者が労働安全衛生や労働者の基本的な権利に関する適切な知識を持たないまま、危険物質にさらされていると推定される。IMF-FNV組織化プロジェクトに基づき、過去9年間にインドで1万人以上の船舶解撤労働者を組織化するにあたって重要な役割を果たしてきたSMEFIのV・V・ラネー氏が、インドの船舶解撤労働者の現実について説明し、造船労働者が起こした連帯行動の重要性を強調した。AGではSMEFI、ISCOSおよびインダストリオールが製作した船舶解撤労働者に関する新しいドキュメンタリー『The Wire Nest』も上映され、小冊子『船舶解撤労働者の消費パターンに関する調査』が各参加者に配布された。インドの船舶解撤労働者を支援しているFNV合同労連は、30年前の造船労働者の知識に基づいて船舶解撤労働者を重大事故から守ることができると主張した。 「造船労働者は実際に過去に船を造ったのだから、どこに危険があるかを指摘することができる」

デンマークのCOインダストリは、スクラップ再利用は南アジアの船舶解撤産業だけの問題ではないと指摘した。世界中のさまざまな部門に何百万人ものリサイクル労働者がいる。 「造船・船舶解撤部門は船舶解撤労働者の組織化に成功を収めているが、自動車、航空宇宙、エレクトロニクスのような他の部門のことも考える必要がある」

 AGは、1つの同じ部門として造船労働者と船舶解撤労働者との戦略的連携を引き続き深めていくことで合意するとともに、インダストリオール傘下の製造業部門すべてが、それぞれどのように未組織リサイクル労働者に接触するかの検討に入るべきことを確認した。

 フランス、日本、ノルウェーから参加した組合は、造船労働者の雇用を守るために持続可能な開発が必要だと指摘した。既存の造船所にとってオフショア船や海洋構造物に事業の軸足を移す大きな機会があり、環境上適正な船舶が代替海洋エネルギー源として調査されている。基幹労連の弥久末氏が次のように述べた。「日本では、受注量がこのペースで縮小し続ければ2014年に造船活動がほとんどなくなってしまう。私たちは現在、既存の造船所を利用して造船労働者5万3,000人の雇用を守るために、高付加価値海洋製品への移行に真剣に取り組んでいる」

 議論の結果、AGは2013年度の優先課題・活動として以下を確認した。

○2011年の造船・船舶解撤部門における持続可能かつ安全でグリーンな雇用に関するIMF-EMFグローバル会議の結論を引き続きフォローアップする。

○機械エンジニアリング、化学、石油・ガス各部門との共同活動を推進する。

○未組織労働者に接触し、造船・船舶解撤両部門で労働安全衛生を促進する。

○各国政府に対し、IMOの「船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約」を可能な限り早く批准するよう要求する。

○他の産業部門に対し、関連リサイクル産業・労働者に接触する方法について議論を開始するよう勧告する。

○インダストリオール欧州労働組合との合同調査・研究を実施し、造船・船舶解撤労組の現状を精査するとともに、組合活動や目下の問題(不安定労働・下請労働など)を確認する。

○今後の会合で、世界の造船活動に大きく貢献している労働者を代表する組合の参加を拡大する。

○連帯の基盤を構築し、この部門における不安定労働の増加と闘って造船・船舶解撤労働者の権利を守る。

○インダストリオール欧州労働組合やITF、OECD WP6、ILO、IMO、EU委員会、NGOなどの国際組織との協力・連携を深める。

○多国籍造船会社でGFAを取り決めたり新しいネットワークを創出したりする可能性を探る。

 2011年12月の旧IMF中央委員会でこの部門の部会長が承認されなかったため、AGは2014年まで同ポストを空席にしておくことを決定した。2013年のAGで部会長の選出・選定プロセスについて議論・決定し、2014年の会議で選挙を行う。次のAGはデンマークで開催する。

 AGは11月21日、リオデジャネイロ州ニテロイにある2つの造船所、Estaleiro MauaとSTX OSVを訪問した。この地域は伝統的に造船業が盛んで、ブラジルの主要油田地域にごく近いことでよく知られている。参加者は、海洋石油・ガス産業が造船所の事業を促進し、石油・ガス産業向けの生産活動(海上プラットフォーム、掘削、パイプ敷設船など)にかかわる雇用を創出していることを学んだ。

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