広報ニュース

第108号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2020年7月15日)

ベトナムの組合、強制労働の廃止に関する条約の批准を支持

2020-07-07

ベトナムのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、ベトナム国会が強制労働の廃止に関するILO第105号条約の批准を全会一致で承認したことを歓迎し、製造業で強制労働をなくすために主導的な役割を果たすべく取り組んでいる。

ベトナム政府は2019年以降、国内法を国際労働基準の法的枠組みに統合する努力の一環として、国内労働法を改革するために断固たる措置を取っている。

2019年7月、政府は団結権・団体交渉権に関するILO第98号条約の批准書を寄託した。この文書は2020年7月5日に効力を生じる。

同年12月、国会は結社の自由の原則を含む新しい労働法を承認した。2021年1月以降、独立組合の設立が認められる。

国会は6月8日、欧州連合・ベトナム自由貿易協定を承認。この協定により、今後それぞれヨーロッパで7年、ベトナムで10年かけて、すべての貿易関税が段階的に廃止される。国会は強制労働の廃止に関するILO条約の批准も承認した。

チャン・クアン・フイ・ベトナム全国工業・商業労組会長は言う。

「批准の決定を支持する。労働組合として、職場で条約の実施を確保するうえで役割を果たす。強制労働は国内法にも違反するため、禁止しなければならない」

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。

「私が2019年8月にハノイを訪れてから、大きな進展があったことを喜ばしく思う。ベトナムの組合指導者は、さらに多くのILO条約の批准が進んでいると述べていたが、いま非常に大きな成果が上がっている」

「同僚たちが引き続きEU・ベトナム自由貿易協定の実施を監視し、労働者の権利を保護して強制執行できる労働基準を求めて闘うことを願う。組合は今、国内諮問団メカニズムを利用して労働者に発言権を与えることができる」

 

インドの安全性が危機的状況に――COVID-19期間中の労働災害で少なくとも75人が死亡

2020-07-07

インドでは5月以降、30件を超える労働災害が発生し、少なくとも75人の労働者が死亡、100人以上が負傷している。この人数は報告された事故に基づいており、実数ははるかに多いかもしれない。

インド国民がCOVID-19ロックダウンを経て職場に戻っている中で、少なくとも2日に1回は労働災害が発生して労働者が死傷しており、周辺地域が汚染されて健康と環境に長期的な影響が及んでいる。

5月7日にアンドラプラデシュのLGポリマーズ工場で発生した有毒ガス漏出事故は、ボパールの悲惨なガス爆発事故を思い出させた。グジャラート州ダヘジのヤシャシュビ・ラーサヤン・プライベート・リミテッドでのボイラー爆発では、少なくとも8人が死亡し、約40人が負傷した。タミル・ナードゥのネイベリ・リグナイト・コーポレーションの火力発電所では5月7日に、さらに7月1日にもボイラーが爆発し、少なくとも20人の労働者が亡くなっている。

7月に入ってからも、化学工場や炭鉱、鉄鋼工場、発電所ボイラーで事故が続発している。契約労働者の幅広い利用、安全検査の不足、安全基準違反に対する不十分な罰則、使用者責任の欠如が、事故を助長している重要な要素である。

一連の事故で、組織的な失敗のパターンが明らかになっている。適切な運転停止手続き抜きの産業活動の休止、不十分な計画によるプロセス、ロックダウン中の十分な保守点検の省略が、産業プロセスが再開される中で事故を招いている。

インダストリオールはインド首相への書簡で、この種のミスはプロセス安全管理の失敗に該当すると強調、インド政府に対し、この安全管理上の組織的破綻に直ちに取り組み、1984年のボパール災害に相当する規模の大惨事の再発を防止するよう警告した。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、今日の記者会見で次のように述べた。

「回避できる死亡事故の続発を深く憂慮している。これは産業殺人にほかならない。インド政府は全国レベルで直ちに警鐘を打ち鳴らし、事故防止に向けて適切な安全対策・手順を義務づけるべきだ」

国際基準、特に労働者の権利は安全性向上において中心的役割を果たす。政府は組合に関与し、組合の要求に耳を傾け、総合的に安全対策を実施・監視しなければならない。インダストリオールは、すべての利害関係者と協力しながら、安全性を高めるために技術サポートを提供する準備ができている。世界の国々とインドでボパールの悲劇を再発させるわけにはいかない」

INTUCとインダストリオール加盟組織インド全国金属労連の会長を務めるG・サンジーバ・レディー博士も記者団を前に発言し、次のように語った。

「インド政府は専門家委員会を設置して労働災害を分析するとともに、この安全上の危機に直ちに対処し、潜在的事故を防止すべきだ。政府は将来の事故を回避するために、全国レベル・工場レベルの両方で組合を意思決定プロセスに関与させなければならない」

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

 

 

 

ドイツ現代で組合つぶし

2020-07-03

6月末にドイツ・フランクフルトの地域労働裁判所で、1人の組合員が、現代研究開発センターの労働者、労働組合員および従業員代表委員会メンバーとしての自らの権利を擁護した。

彼は献身的な労働組合員であり、従業員代表委員会メンバーである。今回の一件は現代が、2003年3月にドイツの現代自動車ヨーロッパ技術センター(HMETC)で雇用されたこの設計者を排除しようとするさらなる試みだった。

裁判の結果、両当事者は和解した。労働契約は2021年12月31日まで失効せず、この組合員は退職金を受け取る。

「個人的には、この和解は容認できる。しかし、労働者の権利の観点からは、裁判所が判決を下すよりも和解を選んだことは残念だ」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。

「彼を窮地に追い込んで最終的には排除しようと圧力をかけ続ける現代の組織的な画策は成功した。企業が、しばしば専門法律事務所の支援を受けて、組合つぶし戦術を取ることがますます簡単になっているようだ」

今回の訴訟は、この組合員が自身を解雇しようとする会社側によるいわれもない非難と闘うために、この韓国系自動車メーカーを相手取って起こさざるを得なかった2回目の法的紛争だった。

現代の行動はこの個人的な事件にとどまらず、ドイツの自動車労働者の大多数を代表するIGメタルに対する侮蔑でもある。現代は対話も対立も回避するために、シーメンス経営陣の支援で設立された黄色労働組合AUBを後押ししている。

 

ICT電機・電子部門で課題に対応

2020-07-01

COVID-19パンデミックは深刻な医療・経済危機を招いており、世界中で失業水準が上昇している。ICT電機・電子部門のインダストリオール運営委員会の6月に開かれた会合では、ICTに対する影響が話題の中心になった。

家電製品、航空、自動車など、ICT電機・電子産業の一部のセグメントでは労働者が大量に解雇されているが、データセンターや5Gのような次世代の高速通信ネットワークシステムに関連する半導体や装置への需要は着実に伸びている。

このパンデミックは、ロボット化や人工知能のようなインダストリー4.0関連技術を加速させそうである。電気通信、エネルギーおよび医療部門のICT電機・電子労働者は、いつもより仕事量が増えていると報告している。

世界中の組合から、使用者がCOVID-19を口実に労働者を解雇したり、労働協約を停止したり、賃上げを取り消したりしている事例が報告されている。

下請女性労働者12人がレイオフされ、タイの組合TEAMは苦情を申し立てた。

スウェーデンの組合ユニオネンは、危機に際して有効に機能する解決策に焦点を当て、国の支援による短期労働に関する政労使協定について報告した。生産が停止しているため、組合はこの時間を利用して技能開発や職業訓練、通信教育を行うことも強く要求した。

特にパンデミックがまだ加速しているラテンアメリカの工場で、労働者の安全衛生の権利の確保をめぐって強い懸念がある。ブラジルの組合の報告によると、COVID-19の結果、各国で構造的不平等が明るみに出ており、女性が大きな困難にさらされている。保育施設や学校の閉鎖が相次いでいるため、多くの人たちにとって職場復帰は難しい。組合は、女性がもっと長期にわたって在宅勤務を続けられるようにするための規定を求めて、企業と交渉している。ブラジルで家庭内暴力が25%増加している状況に取り組むための対策の導入も大いに推進している。

世界各地で労働者が職場に戻り始めているため、安全な職場復帰を保証することが最も重要である。

日本では、電機連合出身の女性国会議員の主導で、安全衛生措置に関するCOVID-19関連指令をめぐって妊娠女性向けに改善があった。

インドネシアFSPMIのプリハナニ・ボエナディ共同部会長は、今後常態化しそうな在宅勤務下において、労働者にアプローチするための新しい組織化戦略の重要性を強調した。

「組合は、COVID-19後の時代に労働者を組織化するために、新しいコミュニケーションのツールや方法を開発する必要がある」

世界の国々がCO2排出を削減するにはバッテリーが不可欠になっているため、インダストリオールと加盟組織はバッテリー・サプライチェーン全体の労働者を代表して、バッテリー・サプライチェーン戦略を開発している。バッテリー生産にはいくつかの重要な鉱物が必要なので、適切な労働条件と環境的・社会的に健全な産業の確保に特に注意しなければならない。

運営委員会は、2020〜2021年度下半期の部門別活動を以下のとおり確認した。

  • COVID-19関連問題を中心に、必要に応じて特定のジェンダー問題も対象に、労働安全衛生に関する(オンライン)教育・訓練を提供する。
  • セクター下のより小さな部門単位での新しい労働組合ネットワーク創出の可能性を探る。
  • バッテリー・サプライチェーンのように他の部門とともにサプライチェーン戦略を開発する。
  • 持続可能な産業政策はCOVID-19時代に重要性が高まるので、引き続き促進していく。

「労働者の組織化と労働者の権利確保に関与する必要がある」と松崎寛インダストリオールICT電機・電子担当部長は述べた。

「5月の執行委員会で採択されたインダストリオールの政治声明は今後数年間、この部門の活動の指針となる。前途に待ち受ける課題を克服するには協力と国際連帯が必要であり、COVID-19後の産業政策について討議するときは組合が参加しなければならないと考えている」

野中孝泰共同部会長がメッセージの中で次のように述べた。

「私たちは大きな変化の時代を経験している。ICTの利用が活発になり、デジタル社会の到来が加速するだろう。しかし、その変化にどのように立ち向かうにせよ、私たちの使命は人を優先する社会を築くことだ