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第111号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2020年9月15日)

インドの造船所事故で安全上の危機が露呈

2020-08-31

<JCM記事要約>

  • インドの造船所で8月1日にクレーンが倒れる事故が発生、労働者10人が死亡
  • 以前から指摘されていた欠陥が原因とされ、公共部門であるヒンドゥスタン造船所(HSL)経営による責任の追及と適切な補償金の支払いが求められる
  • インダストリオールは「造船・船舶修繕における安全衛生に関するILO実務規程改訂版(2018年)」に基づいて、安全衛生訓練を予定

 

8月1日にヒンドゥスタン造船所(HSL)で事故が発生し、労働者10人が死亡した。この事故もまた、インドにおける安全上の危機の実例を示している。

HSL従業員たちが70トン・クレーンの荷重試験をしていたとき、クレーンが大きな音を立てて倒れ、労働者10人が死亡した。

亡くなった従業員10人の内訳は、ヒンドゥスタン造船所4人、グリーンフィールズ社3人、リード・エンジニアリング2人、EMMSスクワッド・セブン1人である。

報告によると、このクレーンは2009年5月にグジャラートに拠点を置くアヌパム・インダストリーズに発注して建てられた。アヌパム・インダストリーズは2017年に設置を開始したが、HSLは試運転の段階で、いくつかの修理と負荷試験の実施を求めた。しかし、同社は作業を完了せず、この仕事を2019年にグリーンフィールズ社に外注した。8月1日に死亡事故が発生したのは、グリーンフィールズ社が負荷試験を実施していたときのことである。

警察は第304A条(過失致死)に基づいて、HSLとグジャラートのアヌパム・インダストリーズならびにグリーンフィールズ社に対する事件を登録した。事故の直後に2件の調査(HSLによる調査とビシャカパトナム県長官による調査)が開始された。最近提出された報告書は、設計と建設の不備が事故原因であることを強調している。

ヒンドゥスタン造船所従業員・労働者組合のラム書記長は言う。

「HSL経営陣は、死亡者の扶養家族に500万ルピー(6万8,000米ドル)の補償金を支払うと発表した。この補償金は、死亡した常用労働者と契約労働者の両方に、法定給付に上乗せして支払われる」

「組合は補償金の受け取りにあたって遺族を支援している。会社側からは、犠牲になったHSL常用従業員の家族1人に常用雇用を提供することも通知された」

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は言う。

「HSLは公共部門企業であり、安全操業のために最高レベルの基準を設定しなければならない。この欠陥は以前に確認されていたが、速やかに修正されず、回避できる死亡事故を招くことになった。調査を行うべきであり、担当者に責任を負わせなければならない。そして、犠牲者の遺族に適切な補償金を支払うべきだ」

造船・船舶修繕における安全衛生に関するILO実務規程改訂版(2018年)は、この産業でOSHを改善する方法に関する包括的な指針を盛り込んでおり、改善にあたって政府、船主、使用者、労働者および労働者代表がどのように協力すべきかを規定している。

インダストリオールは、この規程(ヒンディー語版もある)に基づいて、組合に労働安全衛生訓練を提供する予定である。

 

 

                                                                                          

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