広報ニュース

第113号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2020年10月15日)

ミズノ

2020-10-13

10月1日、インダストリオールと日本のスポーツ用品・スポーツウェア企業であるミズノが2011年に最初に締結したグローバル枠組み協定を更新した。日本の組合のUAゼンセン、ミズノユニオンも締結者である。

インダストリオールのサンチェス書記長は、次のように述べた。

世界中のミズノの事業とサプライチェーン全体で発生する事項のモニタリングにおけるミズノの積極的な活動及び支援をいただいたUAゼンセンとミズノユニオンに感謝する。

アクセスに関する文言、強力な紛争解決メカニズムが新しいGFAに盛り込まれた。これらの重要な事項についてミズノが我々の考えを共有していることを歓迎する。

ミズノは、インダストリオールとGFAを締結した最初の日本の多国籍企業である。GFAには、世界のミズノの工場およびアジア数か国にあるサプライヤー全体において最低限の労働者の権利の実施へのコミットメントが含まれている。

ミズノ株式会社は新協定について、「今後も皆様と協力して、ミズノのグローバル・サプライチェーンにおいて国際労働基準を適切に実施していけるよう努めたいと思います。」と述べた。

最初のGFAはインダストリオールの結成組織の一つであるITGLWFと2011年に締結された。GFAの実施の経験を重ね、ミズノとインダストリオールはGFAの向上に共に取り組み、10月1日の締結に至った。

ミズノユニオンは、「ミズノグループに関わる世界中の仲間がともに明るい生活を送れるよう、引き続き労働環境の整備に協動して取り組みます。」、UAゼンセンは「ミズノのサプライチェーンにおける労働者の権利とディーセントワークのために、新たなGFAの下で締結4者の引き続き協力できるよう支援をします。」とそれぞれ述べた。

ミズノは衣料、ゴルフクラブ、アスレチック・シューズなどスポーツ関連製品を製造している。

ミズノ グローバル枠組み協定(英語・日本語)

 

インドネシアでオムニバス法の成立めぐり騒動

2020-10-09

<JCM要約>

  • インドネシア・雇用創出に関するオムニバス法が可決されたことへの抗議として、インダストリオール加盟組合7団体の労働者数千人が全国ストに参加した。
  • 組合指導者は、オムニバス法は労働の柔軟性を高めることで労働者の権利を侵害していると非難し、法律に矛盾する条項に関しては憲法裁判所に司法審査訴訟を提起する準備をしている。
  • インダストリオールは、いくつかの国においても労働コストを削減し外国投資にとっての魅力を高めようと労働法改革が行われているが、そのほとんどは不安定雇用をもたらしたにすぎない、と主張している。また、組合員に対する逮捕や警察による暴力が報告されており、調査を進めていく。

 

インドネシア30州で労働者数千人が作業を停止して街頭に繰り出し、10月5日の雇用創出に関するオムニバス法の可決への怒りを表明した。

労働者たちは「労働者万歳」のスローガンを唱えながら、工場から出て行った。労働者が掲げるプラカードには、「議会の冥福を祈る」、「オムニバス法で孫たちの将来が台無し」、「植民地支配は終わったが、労働者の植民地化が始まる」というメッセージが書いてあった。

10月6〜8日の全国ストは、インドネシア労働組合総連合(KSPI)、全インドネシア労働組合総連合(KSPSIAGN)、KSPSI Yorrys、インドネシア統一労働者連盟(KPBI)、国民福祉運動(GEKANAS)によって組織された。インダストリオール・グローバルユニオン加盟組合7団体が組合員を動員してストライキに参加した。

KSPIとFSPMIの会長を務めるサイド・イクバルがこう述べた。

「KSPIに加盟する200万人の労働者が、オムニバス法を拒否するために全国ストに参加する。私たちは、この法律が労働者の権利を著しく侵食することを改めて指摘する。この法律は部門や自治体の最低賃金を撤廃し、退職金を減額し、労働の柔軟性を高める

「政府は2003年労働法に定める既存の保護措置、特にレイオフ、使用者に対する刑事制裁、外国人労働者の雇用に関連する規定を変更してはならない」

インドネシア福祉労働組合総連合(KSBSI)のエリー・ロジータ・シラバン会長が次のように述べた。

「労働者が行動を起こした理由は、政府がパンデミック下における労働者の状況を理解していないことだ。さらに、新法は労働者の権利を弱め、労働者が現在享受している恩恵のほとんどを排除する。これらは特に賃金、雇用契約、アウトソーシング、退職手当に関する重要な問題だ。私たちはこの法律に反対し、大統領が同法を撤回できることを願っている。法律に矛盾する条項に関して、憲法裁判所に司法審査訴訟を提起する準備をしている」

グローバル・ユニオン評議会は全国ストの直前に共同声明を発表し、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領に、オムニバス法を廃止して労働組合と再交渉するよう要求した。同評議会は政府に対し、将来のいかなる立法も労働法で保障された権利・給付を削減しないようにすることを強く要請した。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は述べた。

前回の世界危機以降、27カ国以上が、労働コスト削減によって外国投資にとっての魅力を高めるという誤った目標の下で、何らかの形の労働法改革を推し進めてきたが、事実上、そのほとんどは不安定雇用をもたらしたにすぎない。インドネシアでそのようなことが起こってほしくはない」

インダストリオールは、皆様が先導して全国ストを実施したことを祝福する。私たちは皆様の行動と連帯している。皆様方全員の成功をお祈りする」

労働組合員に対する逮捕や警察による暴力が報告されており、インダストリオールが調査している。

 

インドの組合が結集して全国スト

2020-10-08

<JCM要約>

  • インド・モディ政権は十分な討議をすることなく労働法を変更し、さらにCOVID-19ロックダウンの中多くの労働者が生計を失ったものの、政府は救済措置を講じず、協議の実施も拒否している。
  • 政府に対する抗議として、インドの複数の組合および独立系連盟の組合指導者は労働者に対し、11月26日に全国ストを実施し貧困家庭への毎月の現金給付や反農民的・反労働者的法律の撤回を政府に要求するよう呼び掛けている。
  • インダストリオールは、インド政府に対し、これ以上労働者の声を無視することなく、解決策を見つけるために組合と協議するよう要求した。また、他のグローバル・ユニオンとともにインドの労働組合運動と連帯している、と強調した。

 

インドの組合は、モディ政権による労働者の権利攻撃と不十分なCOVID-19対策に対する抗議として、11月26日に全国ストを要求している。

9月22〜23日、野党が議会をボイコットして反農民的法案に抗議する中で、モディ政権は十分討議することなく3本の労働法を可決した。

INTUC、AITUC、HMS、CITU、AIUTUC、TUCC、SEWA、AICCTU、LPF、UTUCおよび独立系連盟の労働組合指導者は、10月2日の全国大会で全国ストを要求し、非民主的な手段を用いて抜本的な労働法変更が可決されたこと、国民生活を疲弊させるCOVID-19ロックダウンの影響に政府が十分対応していないことを強調した。

インド全国労働組合会議の議長を務めるG・サンジーバ・レディー博士は言う。

「COVID-19ロックダウンの結果、何百万もの労働者が生計を失い、窮状に陥っている。モディ政権はインド史上有数の反労働者的な政権であり、同政権による労働者の福祉への対応は植民地支配下より悪い。確立された民主主義と憲法に基づく規範・原則が尊重されていない。過酷な闘いを続けなければならない」

組合指導者はCOVID-19ロックダウンの影響を懸念している。数百万人の労働者が生計を失い、海外で失業した数十万人のインド人労働者が帰国した。いくつかの工場が操業を再開しているが、パンデミック前の状況にはほど遠い。

モディ政権は信頼できる救済措置を講じておらず、真の協議の実施を拒否している。

これを受けて組合指導者は労働者に、11月26日に結集し、貧困家庭への毎月の現金給付、無料の食料配給、反農民的・反労働者的法律の撤回、公共部門の民営化中止、公共部門の製造施設やサービス機関(鉄道・港湾等)の企業化中止などを要求するよう呼びかけている。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

「インドの労働組合は、労働法の変更と無差別な公共事業民営化に猛反対している。私たちはインド政府に対し、これ以上労働者の声を無視せず、懸念事項の解決策を見つけるために組合と協議するよう訴える。インダストリオールは他のグローバル・ユニオンとともに、インドの労働組合運動と連帯している」

 

欧州鉄鋼行動デー

2020-10-01

<JCM要約>

  • 10月1日、COVID-19により欧州の鉄鋼生産が減少し、多くの労働者が一時解雇や労働時間短縮に直面していることを受け、労働者を保護する行動を要求するため欧州全域の鉄鋼労働者及び組合が結集した。
  • 行動デーでは、鉄鋼労働者が政治・産業指導者に雇用保護、不公正貿易対策、ヨーロッパ産のグリーンスチール実現への方針策定を要求した。また当日は、鉄鋼生産現場でのデモ行進や政府代表・議員・鉄鋼部門使用者との会合が含まれている。
  • インダストリオールは、鉄鋼業は地球的規模でCOVID-19危機や世界市場の低迷、中国が一因とされる供給過剰に悩まされており、全世界で鉄鋼業を保護するため固く連帯する、とした。

 

欧州全域の鉄鋼労働者・組合が10月1日、鉄鋼部門と鉄鋼労働者を保護する緊急行動を要求するために結集している。欧州全域の鉄鋼労働者はEU政策当局、各国政府および鉄鋼企業に対し、この部門を保護して雇用を守るよう求めている。

ヨーロッパの鉄鋼部門は何年にもわたって世界市場で過剰設備に陥っており、他の国々と同様に鉄鋼業の未来をめぐる懸念がある。COVID-19危機で事態が悪化した――欧州の鉄鋼生産は40%落ち込み、新規受注は最大70%減っている。

これは労働者に壊滅的な影響を与えており、少なくとも45%が一時解雇や労働時間短縮に直面し、先行き不透明な労働者も多い。対照的に、この期間中に中国は補助金を与えられた鉄鋼の生産を増やした。

欧州では多くの鉄鋼工場が稼働を停止しており、溶鉱炉の閉鎖には莫大な費用がかかるため、労働者は炉が再開されず、一時解雇が永久解雇になってしまうのではないかと深く憂慮している。

ヨーロッパの鉄鋼組合は、鉄鋼はCOVID後の回復に不可欠だと主張している。鉄鋼労働者と鉄鋼労組は今日、欧州全域で以下のために行動を起こす。

  • 欧州鉄鋼業における持続可能な鉄鋼雇用の要求
  • 不公正貿易への反対
  • 公正な国際競争の要求
  • 工業生産に弾みをつける景気刺激策の要求
  • よりグリーンなヨーロッパ産鉄鋼の要求
  • ヨーロッパの鉄鋼および鉄鋼労働者に持続可能な未来を保証する新しい欧州鉄鋼アクション・プランの要求

ヨーロッパのインダストリオール・グローバルユニオン姉妹組織であるインダストリオール・ヨーロッパは、欧州鉄鋼業の持続可能な未来に不可欠な要求を盛り込んだアクション・プランを策定した。行動デーでは欧州鉄鋼アクション・プランを強調し、鉄鋼労働者が政治・産業指導者に雇用保護、不公正貿易対策、ヨーロッパ産のグリーンな鉄鋼に至る方針の策定を要求する。

10月1日の行動には、鉄鋼生産現場でのデモ行進、労働者の集合、従業員代表委員会の会議、広報活動、ソーシャルメディア・キャンペーン、政府代表・議員・鉄鋼部門使用者との会合が含まれる。インダストリオール・ヨーロッパはEU議長国ドイツの代表と会談し、鉄鋼アクション・プランを提示する。

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール素材金属担当部長は述べた。

「鉄鋼業は地球的規模で、COVID危機、世界市場の低迷、供給過剰(補助金付きの中国産鉄鋼が一因)に悩まされている。私たちは欧州ならびに全世界で、鉄鋼業を保護するために同志である皆さんと固く連帯する。今日は欧州の同僚が鉄鋼業の衰退に反撃する番だ」

 

パキスタンの女性、メディアの反女性的傾向に反抗して決起

2020-09-30

<JCM要約>

  • パキスタンの女性組合指導者に対する反女性的発言があったことを契機にし、在宅女性労働者連盟(HBWWF)がデモを行いメディアでの反女性的傾向に抗議した。
  • 女性差別の傾向は、子ども、トランスジェンダー、少数集団、その他脆弱な層の搾取を招くこととなる。国家が女性の権利や人権に反対する勢力を支持すれば、最終的には街頭や自宅においてさえ、女性や子どもなどが弱い立場に置かれることになる。
  • 国際的に承認された女性の権利の確保と人権を尊重する必要があるとし、デモ参加者は、メディアの反女性的コンテンツの禁止の他、女性差別的な法律の廃止、性別による賃金格差の根絶などを要求した。

(JCM注:パキスタンでは高速道路で故障した車に乗っていた女性が集団強姦された事件を発端とし、全国規模での性暴力に対する抗議活動が発生)

 

テレビ番組で女性組合指導者のゼーラ・カーンに対する反女性的・女性嫌悪的発言があったことをきっかけに、パキスタンのカラチ市で女性だけの抗議行動が実施され、労働組合員、政党指導者、活動家が結集した。

メディアで反女性的傾向が強まっていることに対して明確な態度を打ち出し、パキスタンのインダストリオール加盟組織、在宅女性労働者連盟(HBWWF)は9月25日にカラチでデモを行った。

講演者たちは、封建的な部族社会の古風な習慣や伝統の再燃が現代的・多元的国家の基礎を弱め、女性差別傾向の強まりを助長していることを強調した。この傾向は、社会において女性や子ども、トランスジェンダー、少数集団、その他の脆弱な層の搾取も招いている。

女性の権利や人権に反対する勢力を国家が直接間接に奨励すれば、最終的には街頭や教育機関、職場、さらには自宅においてさえ、女性や子ども、女子、トランスジェンダーが弱い立場に置かれることになる。

HMBWWFのゼーラ・カーンは言う。

「作家のハリルール・レーマンによる女性嫌悪的コメントは、パキスタン社会における進歩的・民主的精神の衰退を示している。これは女性に対する暴力の増加にも表れており、女性の命に脅威をもたらしている」

「パキスタンの女性は、もはや黙っていることはできない。あらゆる形態の家長制度を打破するために団結するつもりだ。パキスタン国内外の組合運動は、メディアによる女性の取り上げ方が現代的見解に従い、国際的に承認された女性の権利と人権を尊重するよう確保する必要がある

デモ参加者の要求は以下のとおり。

  • メディア(電子メディアを含む)における反女性的コンテンツの禁止
  • 女性に対する性的暴行、嫌がらせ、女性に対抗するプロパガンダの非合法化
  • 教科書の反女性的内容の削除
  • 女性差別的な法律の廃止
  • 性別による賃金格差の根絶                                                                 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

 

 

ドイツの組合、コンチネンタルに抵抗

2020-09-30

<JCM要約> 

  • タイヤ・自動車部品大手のコンチネンタルによる、アーヘン工場を閉鎖しドイツ国内の雇用を大幅に削減するという発表を受け、ドイツの組合IGメタルとIG BCEがデモ活動を行った。
  • コンチネンタルの従業員代表委員会は会社に対し、労使交渉が終了するまでレイオフを停止するよう要求し、雇用保障と持続可能な見通しが最優先事項であるとして、今後の決定への参加を求めている。
  • インダストリオールは、ドイツ政府はCOVID-19下において企業に多額の支援を提供しており、この機会をとらえてドイツ工場を閉鎖し低賃金国に雇用を移動することは裏切り行為であると主張している。                             

 

インダストリオール加盟組織のIGメタルとIG BCEはコンチネンタルのドイツ工場閉鎖決定に抗議しており、9月29日と23日のデモで数千人がハノーバーとアーヘンの街頭に繰り出した。このタイヤ・自動車部品大手はアーヘンの1,800人を皮切りに、ドイツ国内で最大1万3,000人の雇用を大幅削減する計画を立てている。

コンチネンタルによると、削減発表の背後には、パンデミックに起因する車両生産の低迷と経済危機のダブルパンチがある。コンチネンタルはドイツで合計1万3,000人の雇用削減を計画しており、最終的に全世界で3万人が「調整、移転または解雇」される。

ドイツの組合IG BCEとIGメタルは、この突然の発表の理由は事実ではないと述べ、「削減のための削減」と指摘している。

2021年末までにアーヘン工場を閉鎖するというコンチネンタルの発表を受けて、同市では9月23日に数千人がマスクを着用して安全な距離を保ちながら抗議した。

9月29日にはコンチネンタル監視委員会が会合開催中のハノーバーのビル前で2,000人がデモをした。

ミハエル・バシリアディスIG BCE会長がデモ参加者を前に演説した。

「この1件は、ドイツ企業が影響を受ける人々と地域社会の未来を考慮することなく、これまで今回の危機を乗り切る指針となってきた連帯・社会的責任方針からの離脱を決定したというものだ。企業所有者は社員に対するこの攻撃をやめ、知的な代替案への道を開かなければならない」

イェルク・ホフマンIGメタル/インダストリオール会長は言う。

「企業が税金を財源とする支援を受けていながら、この危機に乗じて低賃金国に雇用を移転するというのは恥ずべきことだ。危機が長引くほど、雇用に対する圧力が強まるだろう。しかし企業は、脱炭素やデジタル化に適応できるようにするために研究開発に投資すべきだ」

コンチネンタルの従業員代表委員会は請願を開始し、組合との交渉が終了するまで、発表されたレイオフを停止するよう要求している。組合側は、全従業員の雇用保障と持続可能な見通しを引き続き最優先すると繰り返し、今後の決定への参加を求めている。

「私たちは従業員代表として、従業員・会社双方のために解決策と創造性を見いだしたいという意欲を繰り返し示している」と従業員代表委員会は言う。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、インダストリオールはドイツの加盟組織2団体の共通の怒りを共有すると言う。

アーヘン工場を閉鎖して全世界で3万人の雇用を削減するというコンチネンタルの発表は裏切り行為だ。ドイツ政府はCOVID危機下で企業に多額の支援を提供しているのだから、企業がこの機会をとらえて低賃金国に雇用を移転させることは絶対に受け入れられない

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

 

インドネシアで論争中のオムニバス法案阻止に向けて全国スト

2020-09-30

<JCM要約>

  • インドネシア政府による雇用創出オムニバス法案の撤廃を求め、インドネシアの複数の労働組合総連合は、10月6~8日の3日間に渡る500万人規模の全国ストを行うと発表した。
  • 組合側は、オムニバス法案は投資の促進のためアウトソーシングが緩和されており、臨時雇用が容易に出来るようになり、「終身契約雇用」が可能になると指摘している。
  • インダストリオールは、インドネシア政府はむしろCOVID-19の影響による大量解雇を防ぐべきであり、オムニバス法案から人的資源クラスター(労働関連分野)を削除するべきと主張している。

 

インドネシアのいくつかの労働組合総連合が、雇用創出に関するオムニバス法案を議会通過前に廃案にするよう要求するために、10月6~8日に3日間の全国ストを行うと発表した。

インドネシア労働組合総連合(KSPI)、全インドネシア労働組合総連合(KSPSI AGN)、KSPSI Yorrys、国民福祉運動(GEKANAS)の組合指導者が9月28日の記者会見で発言、議会と政府に対し、10月8日にオムニバス法案を可決しないよう求めた。

サイド・イクバルKSPI会長は言う。

「30州と300都市・地区の組合員500万人が3日間にわたって生産を停止し、平和的な全国ストに加わる。9月29日から、議会と経済担当調整大臣府の前で抗議行動を続ける」

「COVID-19禍を悪化させるつもりはないが、政府がオムニバス法案の審議にあたって労働者の要求を飲まなかったため、公の行動を起こさざるを得ない」

組合は政府の提案に失望しており、オムニバス法案が実施されれば、契約期間や職種に対する規制なしでアウトソーシング条項が緩和されると指摘する。終身契約雇用が可能になる。

組合側は、政府が最低賃金と退職手当に関する規則を修正して少し減額する一方で、訓練条項を挿入しようとしていることを批判した。

「労働者の訓練にはまったく悪いところがない。私たちは実際に、投資促進のための規則改訂に関しては政府に同意しているが、2003年労働法で保護されている労働者の権利・給付を削減してはならない。組合は、臨時雇用を非常に簡単にする条項に懸念を抱いている。労働者の休暇も影響を受ける

「これらの提案はインドネシアの労働者の福祉を危険にさらす」とイクバルは言う。

アニー・アドビエント・インダストリオール東南アジア地域事務所所長は言う。

インダストリオールは、オムニバス法案と闘っている加盟組織と連帯する。政府に対し、この論争の的となっている法案から直ちに人的資源クラスターを削除するよう強く促す。そうではなく政府はCOVID-19との闘いに焦点を当て、国内で大量解雇を防止すべきだ」